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誤文の修正をしました。御迷惑をおかけしました。(2/5)
暗闇に落ちる寸前
ぼやけた視界に、エメラルド色がひろがった
それが、はじまり
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リアは、足をからませながらも懸命に長い長い廊下を走っていた。
こういう時は、この広々とした王宮を忌わしくも感じる。
途中であった下女仲間にも声をかけた。その子によると今日は偶然第一騎士団以外は野外訓練や第二王子の付き添いの為大半が不在とのこと。全くもってついていない。
「っはッ…あ!」
運動音痴とまでは言われないが、こんなにも走ったのは3年前以来で。
案の定床の小さな窪みにつまづき、勢いよく床に倒れこんでしまう。
ゴツンと鈍い音がしたと同時に、膝に鈍い痛みがよぎる。
「っ……痛っぁ……」
止まらない息切れ
なんとか、両手で身体を押し上げるように立ちあがろうとすれば、無いはずの感覚が掌をじんわりと覆う。
「っ……此処には、砂利なんて…無いのに…」
あの時と同じように白くなった掌。
違うのは、ただ伝わる床の冷たさ。
「こんな暇、ないっ……!」
昔に引き戻そうとする思考を振り切るように、忌々しい思い出から逃げるように、勢いをつけて走り出す。
第四騎士団は、黒い防具で全身を包み黒馬を巧みに操ることで有名だ。
王の剣として全てを切りつくすごとく。
第一騎士団が王を守る大剣ならば、第四騎士団は王が持つ懐刀の役割を果たす。
そんなに簡単に破れる騎士団ではないはず。
リアの中に嫌な言葉が思い浮かぶ。
(魔法を、戦に)
月夜が照らす廊下をひたすら東へ走った。
静かな静かな王宮。
ただ、リアの足音だけが反響する。
ひたすら走り続けた後、開けた空間にでれば、東の塔のまわりで数人の兵士が談笑しているのが視界に入る。
訓練の後なのだろう。防具を身にまとっていない。
「っ、あのっ……!」
リアの声が空間に響く。
「ん……?」
「お、おいどうした!?」
「ご無礼をっ、承知でっ…」
「落ちついてください。……貴方は、レヴァン様の…」
「今、第四騎士団が、帰還。多数負傷者、との、こと、で…どうか、手伝いの方をっ」
「わかった!俺が、隊長達に連絡をとってくる」
「じゃあ、俺達で先に様子を見てくる」
兵士たちは二手に分かれて動き始める。
その様子を見て、リアはほっと一息した。
まだ、どれほどの状態かは不明だが人員は足りるはずである。
その時、不意に揺れる視界。
「っへ!?」
「お姉さんも来る!」
「え、ちょ!下ろしてください!」
気づけば高くなる視界。
兵士の内の一人の肩に担がれるような体勢にリアはうろたえた。
「だって、お姉さんもう体力ないでしょ?」
「っ、それで「はいはい、舌噛むよ。喋らないでね!」
その言葉と同時に過ぎゆく景色。
なんとなくこの強引さ、レヴァンに何処となく似ているような気がして、少し笑ってしまったのは秘密。
これから見るであろう真っ赤な世界を脳裏に描き、気を引き締めた。




