1/4
・
早起きのセミが、我先にと鳴き始めた。
今日も暑くなりそうだ。
寝癖を直しながら、空いてる方の手で、日めくりカレンダーの昨日を剥ぎ取る。皮がむけてピカピカの今日の日付を見るなり、僕の動きがフリーズした。
八月十三日。
この日が金曜日に当たるなんて、祭り好きの僕は花火大会のことで頭がいっぱいで、まったく気づかなかった。
毎年八月十三日は、白河花火大会の日。
何もないこの町が、キラキラ輝きを放ちながら活気付く日である。
それが、こんな不吉な日付になるなんて。
今日は何も起こらない平和な日になりますように・・・と願いはするけれど、何も起こらないはずがない。第一、花火大会という夏の一大イベントがある。町中が浮かれるのだ。無事でいられるはずもない。むしろお祭り野郎な自分が、今日一日音無しくしていられるかの方が問題である。
とにかく、自習帰りに見れたら見る、と家に云い残して、自分に云い聞かせて、僕は家を出た。