第4章 第1節 アカリの食堂が大盛況となる一方、自分の指示を無視して手作り料理を提供しツカサや役員から称賛されるアカリに対し、上司のサメジマは激しい嫉妬と怒りを募らせていた
第4章 嫉妬の牙と営業停止の危機
第1節 アカリの食堂が大盛況となる一方、自分の指示を無視して手作り料理を提供しツカサや役員から称賛されるアカリに対し、上司のサメジマは激しい嫉妬と怒りを募らせていた
アカリの料理が社内にもたらした奇跡は、日を追うごとに確固たるものとなっていた。食堂は連日、一般社員から重役までが長蛇の列を作る大盛況ぶりを見せ、誰もがアカリの生み出す至高の定食に舌鼓を打ち、活力に満ちた笑顔で午後からの業務へと戻っていく。彼女の存在は、今や会社にとってなくてはならない太陽のようなものになっていた。
しかし、その光り輝く状況を、ただ一人、食堂の入り口から憎々しげに睨みつける男がいた。総務部課長であり、食堂責任者としてアカリの直属の上司にあたるサメジマである。
彼は壁の陰に隠れ、アカリが次期社長候補であるツカサや役員たちから親しげに声をかけられ、チヤホヤされている姿を見るたびに、奥歯をギリギリと鳴らしていた。
サメジマは本来、アカリを自分の思い通りに動く都合の良い手駒だと見下していた。地味で大人しく、反論一つしない彼女に、原価の安い市販のレトルト食品を湯煎して出すだけの単純作業を強要し、食堂を最小限の労力で回そうとしていたのだ。それなのに、あのアカリが自分の指示を完全に無視し、早朝から手間暇をかけた手作りの料理を提供し始めた。しかも、それが全社的な大絶賛を浴びているのである。
「あの冴えない女が、生意気にも私の顔に泥を塗りおって……!」
サメジマの胸の中では、激しい嫉妬と怒りの炎がどす黒く渦巻いていた。自分が責任者であるにもかかわらず、誰も自分の功績を称えようとはせず、アカリばかりが称賛を独占している。さらに、自分が頭の上がらない幹部たちまでもが、アカリにはへりくだってまで定食を求めているのだ。その屈辱的な光景は、サメジマの肥大化したちっぽけなプライドを容赦なくズタズタに引き裂いていた。
彼にとって、アカリが周囲から愛され、社員たちの心と胃袋を掴んでいく姿は、自分に対する明らかな反逆行為にしか見えなかった。自分が管理する小さな王国で、底辺の存在だったはずの女が女王のように君臨している。その事実が、サメジマの歪んだ自尊心を限界まで刺激し、彼女をどうにかして失脚させてやりたいというどす黒い欲望へと変貌させていったのである。




