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事の真相②―結美視点―

 それから数日後、結美は生徒指導室に呼び出されていた。

「で、最近のお前はどうしたんだよ。」

 問いかけるのは担任且つ生徒指導担当の武田和也だった。

「別に何もないですよ。」

 爪を弄りながら興味なさそうに答える。

「何もないって言われてもなー。」

 頭を掻きながら、困ったような顔をする。

「実は他の教職員の中でも話題になっているんだ。この前職員室でも話したように、面倒事になる前に相談してくれよ。」

 どこまでも自己保身の塊である。だからこそ都合がいい。

「実は私、先生のことで相談したいことがあります。」

 もじもじした姿を演じ、媚びるような上目遣いをする。何かを察知したのか、下品な笑みを浮かべる。

 武田先生が近づいて手を伸ばした瞬間、結美はスマホを取り出す。どんな内容か楽しみにスマホを覗き見る。

「な、何だこれ。」

 そこには、武田先生が女性とベットでイチャイチャしている姿である。

「先生、既婚者でしたよね。でも、この女性は違う人みたいですけど。」

 武田先生はあからさまに動揺する。

「ほら、こんな姿勢で、こんなプレイがお好きなんですね。」

 結美が次々にスクロールさせていく。暴かれる教師の性事情。武田先生の顔が見る見る真っ青になる。

「しかも複数の人と、中には未成年にまで手を出してますね。」

 同世代から未成年まであらゆる女性との情事が写真に残されていた。

 武田先生にはその写真の出所が分かっていた。それは武田先生のスマホである。彼には行為に及んだ時の写真と動画を保存する癖があった。

「ど、どうやってその写真を…。」

「どうもこうもないですよ。」


 それは柴崎が2度目の告白をした次の日―――。

 職員室で結美と武田先生は向かい合っていた。

「それで、急にどうしたんだ。その髪型やメイク、言動も変わりすぎじゃないか?」

「別に…。」

「別にって、それではいそうですか、とはならないんだよ。」

 気まずい沈黙が流れる。そこで結美は話題を変えることにした。

「先生はご結婚されてますよね。奥さんも着る物や雰囲気が変わることもあるでしょう?」

「……まあ、そうだな。」

 武田先生が一瞬言い淀んだのを見逃さなかった。

「そう言えば、奥さんってどんな人なんですか?写真とかないですか?」

 武田先生は嫌な顔を見せたが、渋々携帯を取り出した。武田先生としては数分は結美と話し合いをしたというポーズを他の職員に見せたいという目的もあった。

 いくつか夫婦の写真を何枚か見せてくれた。どれも数年前の写真ばかりだった。

 その時、

「武田先生はいらっしゃいますか?」

 柴崎が職員室のドアを開き、武田先生を呼ぶ。

「ちょっと待ってろ。」

 武田先生は一言掛けてから、携帯を画面を下にして置き、柴崎に向かって歩みだす。

 残された携帯のLI〇Eを開き、自身のスマホと同期させる。通知を即座に消し、元の位置に戻す。パスワードは先ほど写真を見せた時に盗み見たのを採用した。

 続々出てくるあられもない証拠の数々。

 柴崎という協力者を得た時点で、このミッションの難易度は遥かに低くなった。

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