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ハルピュイウス

アオイは一人でテンペルに戻ってきた。

アオイは着替えもしないで、ベッドにダイブする。

アオイの心は沈んでいた。

最愛の婚約者が消えてしまったからだ。

彼はどこに行ったのだろう?

アオイにはそれはわからないことだった。

だから、彼の妹のディオドラに尋ねてみた。

その言葉がアオイの心に刺さっている。

信じて待ちなさい、兄さんはあなたのところにきっと帰ってくるわ。

アオイは不安だった。

不安が膨らんでいって、破裂しそうなくらい。

セリオンもエスカローネも心配いらないと言った。

三人はみなアンシャルが帰ってくると思っているし、確信しているようだ。

アオイはテンペルの戦士がどういう者か知らない。

アオイはまだテンペルに入って日が浅い。

だから、わからないこともある。

「アンシャルさん……」

アオイはこうしてアンシャルがいないことで、強烈な不安感を感じた。

アンシャルがいかに大事か、いかに好きか、それを思い知らされた。

アオイにとってアンシャルは必要不可欠な人なのだ。

愛しているからこそ、アオイにとってはアンシャルの存在が必要なのだ。

アンシャルは今、どこで何をしているだろうか?

アオイの胸が締め付けられる。

アオイは苦しかった。

最愛の人の不在はアオイに苦しみを与えた。

アオイはただアンシャルのことを想う。

アンシャルに早く帰ってきてほしい。

自分のそばにいてほしい。

アオイはアンシャルの無事をただ願うしかできなかった。



アンシャルとパトリックは高速道路を歩いていた。

ここは道ではあるが、車はほとんど通っていない。

「ん?」

「? どうしたんでやんすか?」

「いや、何か気になってな」

「?」

「まさか、な」

アンシャルはアオイが自分のことを強く想っているように感じた。

そのころ、アオイはベッドでアンシャルのことを想っていたのだ。

以心伝心――まるでアンシャルはそう感じたのだ。

「気持ちを切り替えよう」

「アニキー、最後の四番人を倒せば、チェックメイトでやんすね!」

「ああ、そうだな。ここから出られる日も近いな」

「風のハルピュイウスは四番人の中でも最強と名高いでやんすよ。準備はできているでやんすか?」

「もちろんだ。同じ風を使う者として、どの程度の実力か、会うのが楽しみだ」

アンシャルはパトリックに先行させて歩いていた。

当然、パトリックが前にいる。

アンシャルは突然、パトリックを後ろに引っ張った。

「ア、アニキ!?」

パトリックが戸惑う。

パトリックがいた位置を風の刃が通過していった。

「私が引っ張っていなかったら、おまえは死んでいたぞ?」

「ア、アニキー!?」

パトリックが顔面蒼白になる。

アンシャルは緑のプロテクトスーツを着た男を見た。

男は悠然と構えていた。

その手には二本のレーザーソードが握られている。

「おまえは?」

「私はハルピュイウス。風のハルピュイウスだ」

「おまえがハルピュイウスか。おまえは四番人最強らしいな?」

「そうだ。私以外の三人は倒れたようだが、この私はそうはいかん」

「それではお相手願おう」

「フッ、この私に挑むつもりか? 言っておくが私は強いぞ?」

「それはわかっている」

「それでもあえて私に挑むか。いいだろう。この私の風の刃を受けるがいい!」

「パトリック、下がっていろ。死にたくないのならな」

「はい、でげす!」

パトリックはすばやく後退した。

見事なほどの逃げっぷりだった。

「ゆくぞ!」

ハルピュイウスが一気に間合いをつめてきた。

速い!

そのままレーザーソードを振るう。

アンシャルはそれをガードする。

ハルピュイウスの高速疾風斬こうそくしっぷうざんだ。

ハルピュイウスはそのまま斬り上がり、上昇し、空中に滞空した。

ハルピュイウスが剣をしまう。

そして、空中に矢じりをたくさん作った。

「これで死ぬがいい! ゆけ!」

ハルピュイウスが矢じりを一斉に発射した。

アンシャルはとっさに風の防壁を出す。

風の防壁は矢じりを振るい落とした。

アンシャルの防壁はかなりの強度を持つ。

「死ね、多連・風翔槍ふうしょうそう!」

「無駄だ! 多連・風翔槍!」

ハルピュイウスの風の槍に合わせて、アンシャルも風の槍を放つ。

二人の風の槍はぶつかってはじけた。

大波斬だいはざん!」

ハルピュイウスが大きな風の刃を飛ばしてきた。

ハルピュイウスは空を滑空し、アンシャルの上を取る。

アンシャルは風の刃を風の剣で迎撃する。

「風切刃!」

アンシャルの風のカッターをハルピュイウスは泳ぐように回避する。

ハルピュイウスが地上に降りた。

ハルピュイウスはレーザーソードから一発ずつ、風の刃を飛ばし、さらに交差させて風の刃を撃ち、それから大波斬を繰り出した。

アンシャルはそれに立ち向かう。

風の剣で風の刃を斬り裂き、交差された風の刃を迎撃、大波斬を風月斬で斬った。

「よもやここまでできるとは思わなんだぞ。だが、これをくらうがいい! サンダーストライク!」

ハルピュイウスが雷の弾を撃ちだした。

放電しながら、雷の弾がアンシャルに向かう。

それをアンシャルは風の斬撃で斬った。

「サンダーボルト!」

上方から雷が次々と落下してくる。

アンシャルは障壁でそれを防ぐ。

しかし、完全には防ぎきれなかった。

「うおあああああああ!?」

アンシャルはくらってしまう。

アンシャルは倒れた。

「フッ、所詮はこの程度か。とどめだ!」

ハルピュイウスがレーザーソードを投げつけてきた。

それをアンシャルはくるりとかわす。

アンシャルはまだ生きていた。

アンシャルはそのまま風のカッターで反撃する。

「何!?」

ハルピュイウスが驚愕する。

ハルピュイウスの肩を風切刃はかすった。

「ぐっ!?」

「私はまだまだ戦えるぞ」

アンシャルが宣言する。

ハルピュイウスは地上に降りた。

「フン! 忌々しい奴だ! だが、これは防げまい? はあああああああ!! サンダーストーム!」

雷が猛烈にアンシャルに襲いかかる。

雷はアンシャルを蹂躙し、死へといざなったかのように見えた。

それはすさまじかった。

塵と埃が舞う。

その瞬間、アンシャルが現れた。

長剣を構えて、ハルピュイウスに突き刺す。

「があああああああ!?」

アンシャルの長剣はハルピュイウスを貫いた。

ハルピュイウスが血をはく。

「かはっ!? ぐうう……まさか、私が敗れるとは……ヒュオン様……申しわけありません……」

ハルピュイウスは倒れた。

これによって結界はすべて破壊された。

アンシャルはヒュオンにチェックメイトをかけたのだ。

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