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ファーブス

アンシャルとパトリックは南の砂漠に向かった。

情報ではファーブスは軍の訓練に参加しているらしい。

ファーブスは『闘将』と名高いことでも知られている。

ファーブスは軍隊の司令官も務めていた。

「砂漠か……熱いな……」

「アニキー! 少し、休憩しませんかい?」

「まあ、それもいいか。このままでは死んでしまいそうだ」

二人は砂漠を歩いていた。

充分な水分を携帯してだ。

アンシャルは水分を補給した。

その時、影が二人を覆った。

静かな音を立てて、輸送機がやって来た。

「パトリック、下がっていろ」

「アニキ?」

「敵だ」

輸送機から一つ目の兵士たちが降りてきた。

この兵士たちは人間ではないらしい。

右手にはレーザーガンを持っていた。

アンシャルは長剣を構えた。

アンシャルは周囲を見渡す。

この兵士たちはパンテオ(Pantheo)といい、兵士人形だった。

「人形がいったい何の用だ?」

アンシャルは一目でこの兵士たちの素性を見抜いた。

パンテオたちはアンシャルを狙ってレーザーガンを向けてきた。

「投降するのなら、命は助けてやる」

「それともこのまま死にたいか?」

「人形がしゃべれるのか……投降は拒否する!」

「バカな……」

「なら死ね!」

パンテオたちが一斉にレーザーを撃ってきた。

アンシャルは大きくジャンプし、手近なパンテオに斬りかかる。

まず一人。

さらにアンシャルはレーザーをはね返して、二人のパンテオを打ち倒す。

アンシャルの攻撃は止まらない。

アンシャルは大きく半円を描くように、スライドし、そのまま三体のパンテオを斬り捨てる。

それからアンシャルは長剣で一体のパンテオを貫く。

パンテオたちは次々と爆発していった。

「へえ、パンテオがこんなあっさりと倒されるとはね」

「!?」

輸送機から赤いボディースーツを着た男が現れた。

地面に向かって、跳び下りる。

「おまえがファーブスか?」

「そうだぜ。俺は闘将ファーブス! あんた強そうだな? いいねえ! 強い相手……燃えてきたぜ!」

「おまえがファーブス……私はアンシャル・シベルスクだ」

「アンシャル・シベルスク? テンペルの副長だ。なるほど。ヒュオン様に用があるんだな?」

「そうだ。私はこの亜空間から出る」

「それなら、この俺様を倒すことだぜ! なんせ、ヒュオン様の神殿は俺たちの結界で守られているからな!」

「それでは、お相手願おう」

「いいぜ! いっちょやろうじゃねえか! こいつでくたばりな! オラ!」

ファーブスが手から炎の弾を出した。

合計三発。

アンシャルは長剣でそれを斬った。

「ははは! やるじゃねえか! ならこっちもマジで行くぜえ! オラアア!」

ファーブスは右手に魔力を収束し、大きな炎の弾を撃ちだした。

アンシャルはそれを見ても、冷静だった。

アンシャルは風の剣を出す。

そして、そのまま風の剣を振り下ろし、炎の弾を斬り捨てた。

炎の弾は一刀両断にされた。

ファーブスが動いた。

ファーブスは大きくジャンプすると、上から炎の弾を撃ってきた。

アンシャルは上を見ずにそのままダッシュしてすり抜け、炎の弾をやり過ごす。

「はーはははははは! いいぜ! もっと燃えようぜ! 楽しいなあ!」

ファーブスは右手を輝かせながら、そのまま、アンシャルに近づいてくる。

アンシャルは紙一重でそれをかわした。

「はあっ! 爆炎壁ばくえんへき!」

ファーブスは爆炎の壁を作って、アンシャルに向けて放った。

アンシャルは大きくジャンプしてそれをやり過ごす。

「ははははは! あんたいいな! 楽しくて楽しくて仕方がねえ! これで決めるとするか! 爆炎斧ばくえんふ!」

ファーブスは斧を形成した。

さらにファーブスは斧に爆炎をまとわせて、アンシャルに叩きつける。

「くっ!?」

アンシャルは風の剣でそれを受け止める。

風と炎が衝突する。

「はあああああ!! 死にさらせえ!! 火山波かざんは!」

ファーブスから炎の列が噴き上がる。

これに巻き込まれたら、一撃で死ぬだろう。

回避不能、防御不能!

アンシャルは膨大な風を集めると、それを刃に乗せて叩きつけた。

火山波は粉砕された。

「なっ!? この俺の技が……!?」

「終わりだ」

アンシャルはファーブスの背後に回り込むと、そのまま長剣を振るった。

一閃――。

この一閃がファーブスの命を奪った。

「がはっ!? ぐ、ぐぞ! この、俺が……」

ファーブスは倒れた。

「よし、次だ。次は水のレヴィアだな」

アンシャルは次なる目標に向かって歩き出した。



夜、アンシャルは砂漠でたき火をたいた。

パトリックが保存食を持っていたのだ。

アンシャルとパトリックはその保存食を食べた。

「ふむ……缶詰のわりになかなかいけるな」

「そうでしょう、アニキ。これはうまいって評判なんでし」

「スープがついているのもいいな。おいしい」

アンシャルはテンペルでの食事を思い浮かべた。

テンペルの食堂では妹のディオドラが料理を作っている。

いわばディオドラは料理の総監だ。

テンペルで出される料理でディオドラの目が入っていないものはない。

野戦で出される料理もディオドラが作っている。

野戦ではあまり贅沢な食事はできない。

テンペルでは将校も一般兵士と同じ料理を食べる。

それはスルトやアンシャルも同じだ。

もっともテンペルの料理は粗食でもおいしいと評判である。

それはディオドラが作っているからだ。

ディオドラには料理の才があった。

テンペルの食事はディオドラに一任されていた。

アンシャルはそんなディオドラの料理を何十年と食べてきたのだ。

一般の聖堂騎士やヴァルキューレ隊員もディオドラの料理を食べて訓練に臨んでいる。

そんな贅沢からすると、保存食はあまりいいとは言えない。

とはいえ、この保存食がよくできていることに違いはないのだが……。

この場合、比較の対象が間違っているのだ。

ちなみにこれがノヴァ―リア軍だと高級将校と一般兵士の間には明確な格差が存在する。

高級将校の食事はノヴァ―リア軍では高級シェフが作る。

それに対して、一般兵士の食事は刑務所なみの粗食だそうだ。

これには一般兵士たちも憤慨しているが、ノヴァ―リア軍の伝統なのでそう簡単には変えられないのだろう。

とはいえ、外国の軍隊が批判することではあったのだが。

彼らは将校と兵士には格差があって当然と考えているようだ。

「パトリック、おまえはここから出れたらどうするんだ?」

「あっしですか? そうですねえ、あっしはプリンでも食べるでやんすね」

「プリン? 好きなのか?」

「はいでさあ。これでもあっしはプリンにはうるさいんですよ」

「そうか。食べられるといいな」

「アニキについていけばここから脱出するなんて簡単でっしゃろ?」

「簡単に言ってくれるな。まあ、不可能ではないと言っておこう。さて、今日はもう寝るぞ? 体力や魔力を回復させないとな」

アンシャルは墜落した輸送機の影で毛布をかぶった。

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