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旅行

ノヴァ―リアは風光明媚な国である。

古代レーム帝国発祥の地として有名だった。

古代レームはエウロピアの大部分とオリエントを征服した大帝国である。

今のノヴァ―リアはレームとはほとんど関係を持っていなかったが、古代レームにあやかろうと躍起になっていた。

ノヴァ―リアの国民食はパスタである。

ノヴァ―リアは気候は温暖で、ツヴェーデン人がよく旅行に訪れる。

ツヴェーデン人にはこの国に対するあこがれがあった。

休暇でよくツヴェーデン人が訪れるのがこのノヴァ―リアなのである。

アンシャルとアオイはこのノヴァ―リアを訪れていた。

ノヴァーリアの公用語はノヴァーリア語である。

ノヴァーリア語は地方さが大きく、北部と南部では発音が違う。

二人が訪れたのは港町メッチーナ(Meccina)である。

この町はシキリア(Sichilia)島への玄関口だった。

「アンシャルさん、ノヴァ―リアは太陽が燦燦としていますね!」

「ああ、そうだな。この気候はツヴェーデンの気候になれた私たちには暖かい」

アオイは白いワンピースを着ていた。

白い肌がむき出しになっている。

頭には麦わら帽子だ。

アンシャルもいつも着ている白いコートではなく、白いシャツだった。

ノヴァーリアでは冬でも温暖で気候が心地よい。

アンシャルの服装ではノヴァーリアでは熱いだろう。

二人は結婚前の旅行だった。

ブリュッセル共和国に行く案もあったが、ノヴァ―リアの魅力の方が優った。

「そろそろ、お昼ですね」

「どこか、料亭で食事でもとるか」

「いいですね」

「そうするとしよう。まずはホテルにチェックインだな」

「荷物を片づけたいですしね」

二人は旅行中なので大きなカバンを持っていた。

まずはこれをどうにかしなければならない。

今は観光シーズンではないのでホテルは空いているだろう。

二人はホテル・ロマーノにチェックインして、荷物を部屋に置いた。

その後、手ぶらで外に出る。

「ほんとに温かいですね。まるで南の国に来たかのようです」

「ははは。私たちは南の国にいるんだよ」

「むうう、そうですけど……私、外国旅行なんて初めてです」

「私はノヴァ―リアは何度かセリオンたちと来たことがあるな。まあ、家族サービスとしての一環だったが」

「まずは、料亭で食事をしましょう! ノヴァーリアの料理、私は楽しみです!」

「そうするとしよう」

二人はノヴァ―リアの町並みを歩いた。

ノヴァーリアの町は色がカラフルだった。

「ノヴァーリアは家がカラフルですね」

「そうだな。これはノヴァ―リアの特色だと言っていい」

「ノヴァ―リアには温泉があるんですよね?」

「ああ。この町、メッチーナにもあったはずだ。食事の後は、温泉にでも入るとしようか」

「それはいいですね。あ、店が見えてきましたよ?」

二人が見つけたのは伝統的なノヴァ―リア料理店だった。

パスタ専門店だそうだ。

「パスタが食べられるのか。ここにしようか」

「料亭プリマヴェーラ(Primavera)って書いてありますよ?」

「ブオン・ジョルノ(Buon Giorno)!」

「いらっしゃい、あんたたち旅行者かい?」

「そうですが」

「それじゃあ、ぜひうちで食べてってくれないかい!」

Grazieありがとう!」

アンシャルとアオイはこの店でスパゲティーをいただいた。

気心が知れたマダムが切り盛りしている店らしい。

「今時旅行者なんて珍しいね。あんたち、どっから来たんだい?」

「私たちはツヴェーデンから来たんだ」

「ツヴェーデン! 北国じゃないか! ツヴェーデンは寒いんだろう?」

「まあ、ノヴァ―リアと比べると寒いかな」

「あんたらは夫婦なのかい?」

「ふ、夫婦!?」

アオイが盛大に照れた。

「ははは、おばさん、まだ、私たちは夫婦じゃないんだ。彼女は私の婚約者だよ」

「そうかい! 結婚後もぜひノヴァ―リアに遊びに来てね!」

「ああ、また来るよ」

アンシャルとアオイは晴れやかな日々を過ごした。



ある島にて。

ここでは陰謀が練られていた。

島に居座るのは海賊である。

海賊長アンニーバレ(Annibale)を頭領とする、アンニーバレ海賊団だった。

「先生よう、メッチーナは今繁盛しているんだって?」

「うむ、そうですな。海賊にとってはいい稼ぎ時だと思いますが?」

アンニーバレは洞窟の奥でワインをいっぱいやる。

『先生』と呼ばれた人物は赤ワインに口をつける。

この人物はヤギの頭の亜人――グランシャイトだった。

グランシャイトは海賊団の欲望に火をつけようとしていた。

それは海賊団にメッチーナを襲わせるためだ。

すでにアンシャル・シベルスクの動向はつかんである。

海賊団がメッチーナに襲いかかれば、アンシャル・シベルスクと戦闘になるだろう。

グランシャイトは海賊団を利用して、アンシャル・シベルスクに差し向けようとしているのだ。

もちろん、そんなことをすれば海賊団は壊滅して逮捕されるが、そのような末路はグランシャイトには関係ない。

それを思うと、グランシャイトは失笑を禁じ得ない。

それをアンニーバレが好ましく解釈してくれた。

アンニーバレは儲けのチャンスだと解釈してくれたようだ。

結構、結構。

グランシャイトにとって、海賊団は使い捨てでしかない。

この手の社会のクズでも利用価値があるのだから、それには感謝するべきだ。

この男アンニーバレは没落した貴族の出で、その体から貴族臭がプンプンした。

愚かな男だ。

まあ、所詮海賊など目先の利益しか見えない愚か者なのだろうが。

「マゴーネ(Magone)、ジスコーネ(Giscone)!」

「「はっ!!」」

マゴーネとジスコーネは若い海賊だった。

アンニーバレの信頼が厚い人物だ。

「ビジネスに行くぞ! 船の準備をしておけ!」

アンニーバレが二人に命じる。

「「わかりました」」

二人はすみやかに行動に移っていく。

「先生はどうするよ?」

「そうですな。私もごいっしょさせてもらいましょうか。船から見物してますよ」

グランシャイトはそう言うとほくそ笑む。

愚か者は愚かだが、ここまで思惑通りに踊ってくれるとむしろすがすがしい。

かくして、海賊団がメッチーナを狙うことになった。


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