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龍骨兵

アンシャルは塔の前までやって来た。

アンシャルの手には銀の長剣――名は風王剣イクティオン。

アンシャルの前に多数のキノコバナが群がっている。

キノコバナは毒の牙を開けて、アンシャルを待ち受けていた。

「キノコバナか……こいつらがこんなところにいるとなると、先の襲撃の犯人はこの塔のあるじか?」

アンシャルはそのアイスブルーの瞳で、キノコバナを見る。

キノコバナの戦闘力はそれほど高くはない。

アオイでも大して苦労せず、キノコバナを倒すことができるだろう。

キノコバナはそれほど知能があるわけでもない。

危険なところはその毒の牙だ。

アンシャルの実力からすればキノコバナはザコ同然である。

アンシャルは目の前のキノコバナを一匹ずつ相手をするつもりはなかった。

アンシャルは風を長剣にまとわせる。

穏やかな風が吹いた。

アンシャルは強力な風の衝撃をキノコバナに叩きつける。

アンシャルの技『風衝』である。

キノコバナたちは一瞬にして肉片と化した。

「よし。先に進むぞ」

アンシャルは塔の中へと歩みを進めていった。



塔の頂にて。

ウンベルトが妖しい顔で水晶球を見ていた。

水晶にはアンシャルが映っている。

「こやつ……やりおるわ。セリオン・シベルスクがいないうちがチャンスかと思ったが、他にも優れた戦士がいるとはのう。最悪はこのわしが相手をしなくてはなるまいな」

ウンベルトは忌々しそううにそうつぶやく。

ウンベルトの声は部屋に消えていく。

ウンベルトはすぐれた魔道士だった。

ウンベルトは魔道に自分の人生をかけてきた。

ウンベルトとしては人生に何か偉大な事績を残したかったのだ。

それが魔道の道であった。

ウンベルトは魔道の研究をしてきた。

そして自分自身でさえも、研究の成果とした。

ウンベルトはアンシャルに負けるとは思っていない。

ウンベルトには研究の成果があるのだ。

ウンベルトは一人ほくそ笑む。

「フォッフォッフォ、塔にはあやつを配置してある。あやつをこ奴は撃破できるかのう? ここでみじめに斬り刻まれる様を観察させてもらうぞ」

ウンベルトの瞳に闇が宿っていた。



アンシャルは塔を上へと進む。

塔の中は円形に階段が続いており、上へと続いていた。

アンシャルはくるくると回るように階段を駆け抜けていく。

アンシャルに疲れや、汗はない。

アンシャルは戦士でもあるため、自分の肉体を鍛えている。

そして、セリオン以上に実戦を経験していた。

それからすれば、この程度の塔などたかが知れたものだ。

「いい加減に塔の頂上についてもおかしくないはずだが……どうやら、内部の空間が歪んでいるらしいな」

アンシャルは塔の内部の空間が歪められていることに気づいた。

この中は普通の空間ではない。

明らかに作為が加えられている。

このまま登りつつけても道があるかは分からない。

「さて……この先に進むことで道が開けるか?」

アンシャルは不安になった。

意図的に空間が歪められているなら、馬鹿正直に進んでも、道は開けない。

さて、どうしたものか。

アンシャルはそんな時に、扉にたどり着いた。

「ここは? この先に何があるかは分からないが、行くしかないだろう。罠とわかっていても」

明らかにこれは罠だ。

塔のぬしが意図的に設けた、罠だ。

だが、アンシャルには好都合だった。

むしろ、それにかかった方が、事態を切り開ける。

「ではいくぞ」

アンシャルは扉に入った。

その先は廊下だった。

緑色の廊下が広がっていた。

そこに龍の戦士がいた。

体は人型で、骨で構成されていた。

龍骨兵りゅうこつへいか。相手にとって不足はない」

龍骨兵――龍の骨から作られた、外法のアンデッドである。

アンシャルは長剣を構えた。

龍骨兵のうつろな瞳がアンシャルを捉える。

龍骨兵はすみやかに間合いをつめてきた。

そして、右手の曲刀でアンシャルに斬りつける。

アンシャルはそれを受ける。

龍骨兵は左手の曲刀を横から斬りつけてきた。

アンシャルはすばやく後退する。

そのままアンシャルは龍骨兵に斬りかかる。

アンシャルの長剣はバスタードソードだ。

いわば突きにも斬りにも適した剣である。

どちらかと言えばアンシャルは突きより、斬りを得意といていた。

アンシャルの長剣を龍骨兵はやすやすと受け止める。

どこにこんなパワーがあるのか。

邪悪な外法によって生み出された魔物らしい。

どうやらこの塔のあるじは外法に術に優れているようだ。

アンシャルと龍骨兵は互いに剣で斬り結ぶ。

それはすさまじい攻防だった。

アンシャルが攻めれば、龍骨兵はガードする。

龍骨兵が攻めれば、アンシャルはかわす。

互いに一進一退の攻防だった。

アンシャルは光の剣を出す。

アンシャルの技『光明剣こうめいけん』である。

龍骨兵が危険を察知したのか、後退する。

しかし、アンシャルの攻撃は龍骨兵をかすっていた。

通常なら龍骨兵の体は再生する。

だが、光属性の攻撃は再生を無効化する。

「少しは楽しめた。だが、そろそろ終わりにさせてもらうぞ」

アンシャルが勝負を決めようとする。

ところが龍骨兵は闇の力を高めた。

龍骨兵には闇の力が備わっているらしい。

龍骨兵が闇を曲刀にまとわせる。

そしてそのまま斬りかかってくる。

『ダークスラッシュ』だ。

龍骨兵の闇はアンシャルの光明剣を圧倒した。

「くっ!?」

アンシャルは溜まらずに後ろに跳ぶ。

龍骨兵はアンシャルと間合いを空けないように追撃してくる。

龍骨兵の曲刀が上から叩きつけられた。

『ツインスラッシュ』だ。

アンシャルはむしろ反撃した。

光の剣で龍骨兵の曲刀を吹き飛ばす。

そしてそのままアンシャルは長剣で龍骨兵の胸を貫いた。

「グギャオオオオオオオオオオオ!?」

龍骨兵がこの世のものとは思えないような絶叫を上げる。

アンシャルはその隙を逃さなかった。

アンシャルは光の剣で龍骨兵を真っ二つに両断した。

龍骨兵が割れる。

龍骨兵はそのまま浄化されて消えていった。

「まあ、こんなところか」

アンシャルはニッと笑った。

それは勝利の宣言だった。

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