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鬼術士

鬼術士きじゅつしはふしぎな術を使うという。

鬼術きじゅつについてはアンシャルもよく知らない。

ツバキから鬼術について気をつけるよう報告が上がっていた。

アンシャルはシンゴの行動を見逃さない。

シンゴは刀を構えてアンシャルを凝視する。

互いに慎重な構えを取っている。

「アンシャル・シベルスク、おまえは風の術を使うそうだな?」

「よく知っているな」

「フン、テンペルの情報は仕入れてある。その中にはおまえの戦闘データもある」

シンゴがサングラスを動かした。

まるでこちらのことはすでに知っていると言わんばかりだ。

「おまえは我らのことは知らないだろう? 我らに慈悲を請うのなら、一思いに殺してやってもいいぞ?」

「断る。誰が、おまえの慈悲など請うか」

「フン、ならばむごたらしく殺してくれる。我らに逆らったことを後悔するがいい!」

その瞬間、シンゴが動いた。

シンゴはすばやく間合いをつめて、アンシャルに斬りかかる。

シンゴの刀がアンシャルを襲う。

アンシャルは長剣でシンゴの刀をガードする。

ここまでは何も特別なことはなかった。

アンシャルは再びシンゴが刀で斬りつけてくるものだと思っていた。

ところが、シンゴは意表をついた。

シンゴが革靴で蹴りを出してきたのだ。

「くっ!?」

アンシャルは下がってよけたが、完全には蹴りの威力を殺せなかった。

まさか蹴りが来るとは、さすがのアンシャルも予想していなかった。

シンゴが追撃してくる。

シンゴは刀で再び斬りつけてきた。

アンシャルはそれを受け流す。

だが、シンゴは今度は左手で殴りつけてきた。

この男! 

刀より、拳を使う!

こいつは拳法家か!

「ぐ……」

「どうした、アンシャル・シベルスク? おまえの実力はこの程度か?」

アンシャルはシンゴの拳をかわしたが、かすかにダメージが残った。

シンゴが左手に魔力を込める。

「奇遇だな。俺も風の技を使えるんだ」

「ほう……どこまで風を操れるんだ?」

「フッ、そいつを今から見せてやろう! 行くぞ!」

シンゴの腕が風をまとう。

シンゴはそのまま風の拳をアンシャルに叩き込む。

「はっ! 旋風拳せんぷうけん!」

シンゴの拳がアンシャルにヒットした、かに見えた。

旋風拳はまるでドリルのように回転してアンシャルに迫る。

アンシャルは風の防壁を出して、旋風拳を受け流した。

「なんだと!?」

シンゴが驚愕する。

「おまえの風は荒いな。ただの暴風ではこの私には届かない」

「なめるな! 裂風脚れっぷうきゃく!」

シンゴは大きくジャンプした。

そして、風をまとった蹴りをアンシャルにぶつけた。

しかし、それをまともにくらうほどアンシャルはノロマではない。

アンシャルは蹴りの軌道を見切って。回避する。

シンゴがぶつかった地面ははじけ飛んだ。

すさまじい威力だ。

さすがのアンシャルもこれを受け止めることはできない。

爆風の中赤いオーラをまとったシンゴが現れた。

まるで赤い気だ。

「こおおおおおおおおおお!!」

シンゴが叫ぶ。

シンゴの周りには赤い気が渦巻いていた。

「風切刃!」

アンシャルが風のカッターを撃ちだした。

シンゴはそれを赤い気を拳から撃ち出して、貫いた。

風切刃は破られた。

アンシャルは目を細める。

「これぞ、鬼術の力! 赤鬼あかおにの力よ!」

シンゴは脚に赤い気をまとわせて足から赤い衝撃を出してきた。

アンシャルは風を長剣に集める。

そして荒ぶる風の斬撃を赤い衝撃に向けて叩きつける。

風月斬ふうげつざん!」

荒ぶる風は赤い衝撃を打ち砕いた。

「なにっ!?」

アンシャルはその隙を逃さなかった。

アンシャルはシンゴに接近すると、風の衝撃をシンゴの体に叩きつける。

「は! 風王衝破ふうおうしょうは!」

「ぐっはああああああああああああ!?」

シンゴの体が宙を舞った。

シンゴの赤いスーツは風で斬り裂かれた。

シンゴが落下する。

「ぐううう……」

そのままシンゴは失神した。



一方、アオイとルリカが対峙していた。

その隣ではアンシャルとシンゴが熱く戦っていた。

「あーあー、先輩ったら熱くなっちゃって。こっちもやりますかね」

アオイは緊張感を持っていた。

このルリカという者、ただ者ではない。

少なくともアオイが剣を交えたものの中では最強だろう。

アオイは武術もたしなんでいたが、殺し合いはしたことがない。

アオイは霊刀・月華を構えつつ、ルリカの攻撃を待った。

「簡単にやられないでよ? はっ!」

ルリカが刀で攻撃してくる。

ルリカはアオイの力量を測るつもりだ。

それはアオイにもわかった。

アオイは刀で受け止める。

ルリカの刀はやや短い。

意図的に短い刀を扱っているようだ。

ルリカがなぶるようにアオイに攻撃してくる。

「そらそらそら!」

「くうっ!?」

これはアオイにとって初めての実戦だ。

実戦経験ではアオイはルリカに負けている。

アオイは不利な戦いを強いられていた。

だが、アオイはそれを言い訳にするつもりはない。

アオイはアンシャルに惹かれていた。

アンシャルの父のようなところに惹かれていたのだ。

弱くては、アンシャルのそばにはいられないだろう。

アンシャルは一流の戦士だ。

そのそばにいたいのなら、それなりの戦闘力は要求される。

ルリカに負けるようではその資格がない。

アンシャルの恋愛がうまくいかなかったのは、アンシャルのそばにいる資格も持つ女がいなかったからだ。

アオイはそれに気づいていた。

アオイはアンシャルといっしょにいるためにホームステイをしたのだ。

アオイはルリカに合わせて刀を振るう。

「へえ……」

アオイの剣閃はルリカの注意を引いたようだ。

「月光斬!」

アオイが月光の斬撃を繰り出す。

「おっと!」

ルリカが後退する。

アオイの斬撃は空振りした。

「さっすが、アオイお嬢様。武術もできるなんてね。じゃあ、あたしも本気を出しますか! はああああああああ!!」

ルリカから赤い気が放たれる。

それはどこか禍々しさを感じさせた。

「その赤い気……邪道ですね……?」

「これが闇の力だよ! さあ、行くよ!」

ルリカが赤い気を刀にまとわせて、斬りつけてくる。

アオイはそれに月光斬を合わせた。

月光と赤い気がぶつかり合う。

光と闇はスパークを生じさせた。

「くううううっ!?」

「かああああああ!?」

二人は吹き飛んだ。

互いに間合いを空ける。

「ちいっ! やってくれるね! これでどうだい! 赤鬼砲せっきほう!」

ルリカが赤い波動砲を放った。

赤い波動砲はアオイに直線的に迫る。

アオイは月光斬でそれを斬り裂いた。

赤電刀せきでんとう!」

ルリカが赤い電撃を刀にまとわせた。

そのままアオイに斬りかかる。

アオイは月の光を刀に収束してそれを防ぐ。

赤竜斬せきりゅうざん!」

月天光斬げってんこうざん!」

月の光が上から降り注ぎルリカに下る。

月の光は赤い気を圧倒した。

月光がルリカに叩きつけられる。

「ああああああああああ!?」

ルリカの叫びは月光のきらめきの中に消えた。

アオイは立っていた。

恐ろしい戦いだった。


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