シミュレーション
セリオンは橋の上にいた。
この下を列車が通り過ぎる予定だ。
セリオンはあるミッションを行っていた。
「いいか、セリオン。列車はテロリストに占拠されている。おまえの任務はテロリストを倒し、乗客を解放し、列車を止めることだ。わかっているな?」
「わかっている」
セリオンは列車が来るのを待った。
するとそこに列車が遠くから姿を現した。
列車が橋の下を通り過ぎていく。
「行け、セリオン!」
「ああ!」
セリオンは橋から跳び下りた。
セリオンは列車の上に着地した。
すると前方から回転する刃を持つクラッシャーがやって来た。
セリオンは大剣を振るうと、クラッシャーをあっさりと切断した。
切断されたクラッシャーは爆破、炎上した。
セリオンはとっさに大剣を振るった。
セリオンの前に矢があった。
セリオンは前方を見る。
そこにはボウガンを構えた兵士がいた。
セリオンは全身から蒼気を放出した。
蒼気を刃とし、セリオンはボウガン兵に向けて放った。
ボウガン兵は蒼気の刃で斬られた。
これは蒼気の刃を放つ技『蒼波刃』だ。
セリオンが列車を前へと進んでいく。
すると前方から長弓で射かけてくる兵がいた。
あれはロングボウだろう。
ボウガンより威力は劣るが射程は上回る。
ロングボウ兵が矢でセリオンを攻撃してくる。
セリオンは大剣を振るって矢を叩き落す。
セリオンに矢は通じない。
セリオンからすれば止まっているように見える。
セリオンは大剣を構えると、蒼波刃を二発、横に向けて放った。
蒼い刃がロングボウ兵を襲う。
蒼波刃はロングボウ兵に命中し、彼らを列車から落とした。
セリオンはそのまま列車の中に入る。
内部には剣を持った兵士たちがいた。
「何者だ!?」
「何だ、おまえは!?」
彼らは混乱しているらしい。
セリオンは彼らに拳で打ちかかっていく。
蒼気をまとめた拳は兵士たちを薙ぎ倒した。
「ぐはっ!?」
「があっ!?」
「ぎゃっ!?」
セリオンにとってこの程度の兵は敵ではない。
セリオンは格闘術も身につけていた。
「大丈夫か?」
人質とされた乗客は無事のようだ。
セリオンは人質の安全を確保すると、再び列車の屋根に上った。
「クックック、よくここまでやってくれたものだぜ。それはほめてやるよ」
「誰だ、おまえは?」
「クックック、俺様はスラッシュ・レオだ」
スラッシュ・レオは筋肉ムキムキの、ライオンの頭をした亜人だった。
両手にはクローが取り付けられている。
「おまえがボスか。おまえを倒せば、ミッション・コンプリートだな」
セリオンが大剣を構える。
セリオンはスラッシュ・レオを見て油断のならない相手だと見て取った。
スラッシュ・レオは傲然とセリオンを見おろす。
スラッシュ・レオは190センチメートルはあるであろう。
セリオンは175センチメートルくらいしかない。
スラッシュ・レオは強敵だと、セリオンは判断した。
スラッシュ・レオは全身から燃えるような闘気を放出した。
「いくぜ?」
スラッシュ・レオはニヤリと笑うと、その爪から闘気の刃を放った。
セリオンも蒼気を出す。
飛んでくる刃をセリオンは蒼気の斬撃で斬り捨てた。
その瞬間、スラッシュ・レオは一瞬にしてセリオンとの間合いをつめてきた。
その爪は鋭いが、さらに闘気がドッキングされている。
そんな攻撃を受けたら一撃で致命傷だ。
セリオンは大剣でそれを受け止めた。
大剣と爪が交差する。
「ほお、やるじゃねえか! この俺の突貫を受け止めるとはよ! だが、こいつをくらいな!」
スラッシュ・レオがもう片方の爪でセリオンを突いてくる。
セリオンはバックステップで後退した。
スラッシュ・レオの爪が空を切る。
セリオンは蒼気を練った大剣でスラッシュ・レオに斬りかかる。
スラッシュ・レオはそれをやすやすと受け止めた。
「くっ!?」
「クックック! やるじゃねえか! おまえは強いな! だが、俺とおまえじゃフィジカルが違うんだ! 俺の方がパワーは上だ!」
「力がすべてじゃない!」
スラッシュ・レオはその瞬間後方に下がっていた。
セリオンの大剣が振るわれる。
今のはスラッシュ・レオにとって危ない一撃だった。
もしあのままガードしていたら、セリオンの斬りはそれを破って振り下ろされ、スラッシュ・レオにダメージを与えていただろう。
スラッシュ・レオはセリオンへの認識を改めたらしい。
スラッシュ・レオの肌には切り傷があった。
血が少しずつにじみ出る。
「フン! こいつで踏みつぶしてやるぜ!」
スラッシュ・レオは大きくジャンプすると、その強靭な脚でセリオンを踏みつぶそうとしてきた。
セリオンはスラッシュ・レオに合わせて斬り上げる。
「雷電昇!」
雷光の斬り上げがスラッシュ・レオに決まった。
「ぐおあ!?」
スラッシュ・レオが斬られる。
雷光の斬撃がスラッシュ・レオを斬った。
セリオンはうまく着地する。
その時、アンシャルが列車の上に出現した。
「ミッション・コンプリートだな」
アンシャルは『端末』で『装置』を止めた。
すると周囲の風景が消えて無機質な部屋が現れる。
ここはシミュレーションルーム。
ミッションを行って訓練をする場所である。
これまでの風景は映像だったのだ。
「さすがだな、セリオン。いい訓練になったか?」
「ああ、こういう訓練もいいな。また新しいミッションが追加されたら教えてくれ」
二人が話ていると鐘が鳴った。
礼拝の合図だ。
「セリオン、昼食の前の礼拝だ。聖堂に向かおう」
「ああ」
二人は礼拝のために聖堂に向かった。