ディートリヒ
セリオンとエスカローネは再びディートリヒの館にやって来た。
すると、ゴロツキたちが角材を持ってセリオンたちを出迎えた。
「へっへっへ!」
「くっくっく!」
「がはははははは!」
ゴロツキたちはセリオンたちを見下した。
セリオンは冷ややかに接する。
「何だ、おまえたちは?」
セリオンは悪びれない。
セリオンはこの程度の連中を恐れることはない。
いったい何をするつもりだ。
「ここからは通行禁止だ」
「ディートリヒ様の命令だ」
「あんたたちには死んでもらう」
セリオンは大剣を取った。
「エスカローネ、ここは俺がやる」
「セリオン……」
セリオンが大剣をかかげた。
雷がセリオンの大剣から放電する。
セリオンは雷の剣を地面に突き刺すと、強烈な雷の衝撃を発生させた。
「雷光閃!」
雷のひらめきがゴロツキたちを呑み込む。
彼らの悲鳴は雷光によってかき消された。
ゴロツキたちは一人たりとも立っていなかった。
「ハーッハッハッハッハッハッハ! さすがですねえ、セリオン・シベルスク!」
「ディートリヒ……」
館の前にディートリヒが現れた。
彼はいつものように白いスーツを着ていた。
「グンババにあなたを殺させ、私の配下にする計画であったのに、見事にやられましたよ! ヤムコは役に立ちませんでしたし、ここは私が出るしかありませんねえ!」
「まだ、何かコマがあるのか?」
「フッハッハッハッハッハ! 私はネクロマンサーなのですよ! 出なさい! デュラハン!」
ディートリヒの前に緑の魔法陣が現れた。
その中から、屈強な鎧騎士が姿を現す。
「幽騎士デュラハンか」
「さあ、デュラハン! 奴を殺しなさい!」
デュラハンは首がなく、大剣を持っていた。
闇の戦士でもあり、アンデッドでもあるため、通常の物理攻撃は効かない。
「セリオン!」
エスカローネが叫ぶ。
セリオンは光輝刃を出した。
光の大剣である。
それに対してデュラハンは闇の剣を出した。
二人が刹那に消えた。
二人は互いに激しく剣で打ち合う。
こいつ、できる!
セリオンはデュラハンと斬り合いながら思った。
このデュラハンのもとになった剣士はかなりの強者だ。
ディートリヒが求めるのはこのような剣士なのだろう。
デュラハンがセリオンに斬りつけてくる。
セリオンはそれを受け止める。
デュラハンはディートリヒがいる限り、無限の魔力で動き続ける。
長期戦は不利だ。
剣技では、向こうが上か。
セリオンはいったん距離を取った。
デュラハンはますます剣に闇をまとわせる。
そしてそのままそれをスラッシャーとして繰り出してくる。
セリオンの大剣が輝く。
セリオンは光のスラッシャー、『光波刃』を出して迎撃する。
光の刃と闇の刃が交差した。
光と闇は爆発した。
デュラハンとは戦いづらい。
それは視線や表情で相手の攻撃を予想できないということだ。
唯一感じるのは邪念だろうか。
厄介極まりない。
デュラハンが闇の炎を剣に収束させる。
それがどす黒く膨らむ。
デュラハンがジャンプして闇の剣を大地に突き刺した。
闇の爆発が地面から生じた。
そしてそれはセリオンに向かって突き進む。
「くっ!?」
セリオンは闇の爆発から逃れた。
すかさず、デュラハンが斬りつけてくる。
セリオンがそれをガードする。
光の大剣と闇の大剣がぶつかり合い、スパークを巻き起こす。
そのままつばぜり合いに入る。
「くうっ!?」
セリオンは押された。
「ハーッハハハハハハハ! どうですか、セリオン・シベルスク! 幽騎士デュラハンの力は! さあ、あなたもデュラハンに殺されなさい! そしてこの私のしもべとなるのです!」
ディートリヒが哄笑する。
ディートリヒは楽しくて仕方がないらしい。
それがセリオンの気に障る。
ディートリヒの奴め……言いたいことを言う!
セリオンは一気に勝負を決めることにした。
セリオンの大剣に光の粒子をまとわせた。
セリオンの光子はデュラハンの大剣を圧倒し、そのまま叩き斬った。
「なっ、なんだと!?」
ディートリヒは驚愕に目を見開く。
セリオンは無防備なデュラハンに光子の一撃を叩き込む。
「光子斬!」
セリオンの声と同時に光の粒子がデュラハンの鎧を斬る。
デュラハンはパーッと光り、光によって浄化された。
デュラハンの体が消滅する。
デュラハンは倒れた。
次はディートリヒだ。
「次はおまえだ。覚悟はいいか、ディートリヒ?」
セリオンがディートリヒに大剣を向ける。
「くっ……バジーリオが倒されただけでなく、あのデュラハンまでも倒されるとは……」
「! バジーリオの一件もおまえのしわざだったのか」
「フッ、その通りですよ。私は残念ながら戦いは得意ではありません……そのため今は撤退を……ぐっ!?」
ディートリヒが急に苦しみだした。
苦悶に顔を歪める。
「!? どうした!?」
「ぐ……が……ま、まさか……あのお方はこの私も使い捨てに……!? そんな……かあっ!?」
ディートリヒは血をはいてそのまま倒れた。
セリオンはディートリヒに近づいて、脈を調べる。
もう息をしていなかった。
ディートリヒはこと切れていた。
「ディートリヒは死んだ、か。いや、殺されたのか」
「セリオン!」
エスカローネはセリオンに寄ってくる。
「この人は?」
「ああ、殺されたらしい。バジーリオをアンデッドに変えて操っていたのもこいつだったようだが……こいつのセリフによると、真の黒幕がいるらしい。それが誰かはわからないが……」
事件はひとまず解決した。
セリオンとエスカローネはシュテルドルフを後にした。
セリオンは事件の黒幕の存在をスルトに告げた。




