悩み
セリオンとエスカローネはデートを終えてテンペルに帰ってきた。
デート後、セリオンはアリオンと共に剣術の訓練をする。
アリオンは15歳だ。
アリオンは武器に刀を使う。
その名は『コガラスマル』である。
セリオンの大剣も片刃なので打ち合うには互いに都合がよかった。
アリオンが刀によるすばやい猛攻をする。
それをセリオンは大剣で裁いていく。
「くっ!?」
「どうした?」
セリオンの強烈な大剣の一撃をアリオンははじく。
アリオンは未熟だったが素質はあった。
そのため、聖堂騎士団でも期待する人が多い。
セリオンはアリオンの刀をはじいた。
大剣をアリオンに近づける。
「ちぇーっ……俺の負けか……」
アリオンが刀をしまう。
「おまえは発展途上だ。まだまだ将来性がある。前よりも斬れが鋭くなっているな。訓練しているのか?」
「まあ、ね。学校の勉強もあるからその合間にしかできないんだけどな……いーよな、セリオンは。父はアンシャル副長だし、師匠はスルト総長だし……俺も鍛えてくれる人が欲しいぜ……」
アリオンはもっと強くなりたいのだ。
アリオンはシベリア人の学校に通っている。
シエルやノエルと同じクラスだ。
ちなみにアリオンの母ダリア・フライツァ(Daria Freiza)はその子たちの教師である。
アリオンはツヴェーデン人の父とシベリア人の母の間に生まれた。
父はギルベルト・ヴォリンガー(Gilbert Wollinger)。
現在彼はツヴェーデン上院議員を務めている。
ギルベルトとダリアは離婚した。
それは互いの道を尊重してもことであって、互いを憎んだからではない。
互いに道は別々の方向に向かっていると思って、離婚したのだ。
ギルベルトは政治家としての道を、ダリアは教師としての道を――。
アリオンは一か月に一回父と会っている。
「それにしてもセリオン? 今日はエスカローネさんとデートだったんだろ? いったいどこまでいったんだよ?」
アリオンはにやにやしながら聞いてくる。
「どうって、普通だ。映画を見て、食事を食べて、公園でゆっくり過ごした」
「ふーん……いいムードだったかい?」
「まあ、な。とてもいい時間を過ごさせてもらったよ」
「で、いつ告白するんだよ?」
アリオンはセリオンの恋愛に興味津々(きょうみしんしん)だ。
まるで自分のことのように聞いてくる。
セリオンからすれば、おまえはどうなんだという立場である。
「まあ、俺たちは初めて本格的な恋愛をしているんだ。なかなかうまくいかないこともあるさ。俺はエスカローネを大切に想っている。それはウソ偽らざる本心だ。ただ、俺たちは互いのことをまだ知らない。どこかで告げる必要があることはわかっているんだが、どうすればいいか、まだわからない」
「絶対、エスカローネさんもセリオンを愛しているって!」
「そうだといいんだが……」
セリオンが顔を曇らす。
「ムー……何か不安でもあるのか?」
「自分に自信が持てない」
「はあ?」
アリオンは素っ頓狂な声を上げた。
アリオンからすればなんでそうなると言いたいのだろう。
「俺は自分の想いを受け入れてもらえる自信がないんだ」
セリオンは告白が失敗したら怖いのだ。
セリオンもどこかでこの関係を変えなければいけないことはわかっている。
だげ、セリオンは二の足を踏んでしまう。
エスカローネから拒絶されたらどうしよう?
きっとそうなったら自信を失うだろう。
セリオンは恋愛は苦手だ。
セリオンはことに戦いに関してはプロフェッショナルだったが、恋愛に関しては臆病だった。
これもセリオンの欠点なのだ。
テンペルには女性だけで構成される部隊がある。
それが『ヴァルキューレ隊』だ。
その隊長にはナスターシヤ(Nastasiya)がついていた。
エスカローネは友人のライザ、ナターシャと共に公衆浴場に入っていた。
エスカローネはボディーソープで体を洗う。
「それにしてもいーなー! エスカローネちゃんはあのセリオン様とデートできて……」
ナターシャは不満そうに言った。
彼女はもう湯船に入り、銀のセミロングの髪をまとめている。
ナターシャは胸はあまり大きくない。
「そういじるな。エスカローネをひがんでも何も出ないぞ?」
ライザがすました顔で言う。
ライザは赤い髪をポニーテールにしていて、胸のサイズは平均的だ。
この三人は親友だった。
「それでどうなんだ? エスカローネはセリオン様の恋人になれそうか?」
ライザがほほえんだ。
エスカローネは不安を吐露する。
「そうなんだけど……もともと仲がいいから、セリオンがどれだけ意識しているかわからないのよね……セリオンから告白してもらいたいわ……私から告白するなんて恥ずかしいもの……」
それがエスカローネの悩みだ。
エスカローネはセリオンのことを愛している。
エスカローネは幼いころからセリオンを愛していた。
エスカローネからするとセリオンはまばゆい太陽だった。
エスカローネが自分から告白するのをためらうのは、セリオンから拒絶されたくないからだ。
そんなことになれば、エスカローネは廃人同然になるだろう。
何も食べられなくなって、やせてしまうかもしれない。
「それで、それでどこまでいったの? キスはした?」
ナターシャが目をきらめかせて聞いてくる。
ナターシャはコイバナは大好きだった。
ナターシャはセリオンとエスカローネが結ばれることを願っていた。
ナターシャはエスカローネの恋愛に興味があるのだ。
「うーん……まだ、そこまでいっていないのよね……」
「こらこら、ナターシャ。二人の恋愛をじっくり見守っていろ。二人には二人のペースがあるんだろうから」
エスカローネが湯船につかった。
エスカローネは長い金髪の髪を手入れするのに時間をかける。
この長い髪をセリオンが気に入ってくれていることを知っているからだ。
ライザは湯船から上がって、端に腰かけた。
「はー! いーなー! エスカローネちゃんは……私も恋人が欲しい!」
「フッ、おまえはもう少し恥じらいを持った方がいいんじゃないか?」
ライザが皮肉を言う。
ナターシャは食って掛かった。
「ライザちゃんだって恋人がいないじゃない!」
「私は作るつもりはないしな」
「それにしても、男の人って、どんな女性が好みなのかしら?」
エスカローネの疑問は正確にはセリオンはどんな女性が好みかということだった。
「セリオン様にはセリオン様の好みがあるんだろう?」
「セリオン様も胸が大きい人が好きなのかなあ?」
エスカローネの胸は三人の中で一番大きい。
さらにエスカローネの体型はグラマラスだった。
「少なくとも、嫌いではないと思うわ」
「だったらいいんじゃない。エスカローネちゃんはそのボリュームで迫るのよ!」
「そのボリュームって……」
エスカローネはそれを聞いてあきれた。
確かにエスカローネはセリオンが自分の胸、腰、お尻を見ていることを知っている。
でも一番気に入っているのはこの長い金髪ではないだろうか。
「セリオンは私の髪を愛していると思うわ」
「それはそうだな。エスカローネの髪は美しい」
ライザが同調する。
エスカローネにとって自分の金髪は自慢だった。
「ふう……もう熱くなっちゃった……ライザちゃんもう出ようよ」
「そうだな。エスカローネはどうする?」
「私はも少し湯船につかっているわ。二人は先に行って」
「ではそうさせてもらおう」
ガールズトークはここで終了した。




