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冒険者

そこは遺跡だった。

この遺跡は古代に作られたもので、考古学的に価値が高いものだった。

古代人がどのような思惑でこの遺跡を作ったのは不明である。

一説には、神をなだめるために作ったのだという。

遺跡は広大で、いくつものフロアに分かれていた。

その遺跡に三人の冒険者がやって来た。

彼らは金目のものを探して、この遺跡にやって来たのだ。

「おーおー、さびれたところだなー」

リーダーのクバイ(Kubei)が遺跡内部を見わたす。

「なんだか、不気味ねえ……こんなところに本当にお宝があるの?」

紅一点のミラ(Mila)が疑問を呈する。

「アニキ、アネゴ、こんなところ学者が調査してるんじゃないですかい?」

太っちょのゼム(Zxem)がお菓子を食べながら、言う。

「何言ってやがる。学者先生には価値が分からなかった物でも残ってるかもしれないだろ?」

クバイは確証があってこの遺跡に来たわけではない。

そもそもこの遺跡は危険なところと思われていた。

お宝があると聞いたのは風の噂である。

彼らは冒険者、危険だからと言ってそのままいい儲け話を無視するわけではない。

彼らがそもそもこんなところを訪れたのは、酒場でこの遺跡にお宝が眠っていると聞いたからだ。

クバイも最初は眉唾と信じていなかったが、この遺跡に向かった者たちが消えてしまったと聞くと、噂を本気で信じるようになった。

この遺跡には何かがある。

そうに違いない。

きっとそうだ。

ミラもゼムも最初は反対した。

危険すぎるというのだ。

クバイたちは三人のパーティーを組んでいる。

冒険者としても彼らはそれなりに腕を上げていた。

有名ではなかったが、それなりに信頼されている冒険者だ。

冒険者にはランクがある。

彼らはB級冒険者だった。

冒険者のランクは上からA、B、C、Dである。

彼らは信頼されているいい冒険者だった。

B級冒険者と言えばベテランと言える。

彼らは若かったが、冒険者としていい腕をしていた。

「クバイー! こんな遺跡のどこを探すのよ?」

「バカ、決まっているだろ。この遺跡を最深部にまで進むんだよ」

「えー!? それって危ないんじゃないですかい!?」

ゼムが大げさなリアクションで反応した。

彼らはこの遺跡がどれほど危険か、この時点では何も理解してはいなかった。



「かー! ほんとになにもねえな! やれやれ、ガセネタだったか」

クバイが失望感を漏らす。

「やっぱり、私の言った通りだったじゃん!」

「しかしよお、せっかくここまで来たんだ。何かお宝を見つけないと、ここに来た意味がないぜ?」

「アニキー、アネゴ―、帰りましょうよー」

ゼムは不安そうだった。

「なんだ、ゼム、おまえ怖いのか?」

クバイがからかうように言った。

実際彼らは勇敢というよりも無謀だったのだが……。

「そうっすよ。おいらはこんなところに長居はしたくねえです」

「はーっはっはっはっは! ゼム、おまえあんな噂を真に受けているのか? 気にするなよ。幽霊でも住んでいるわけじゃあるまいし、何か金目のものを持って帰ろうぜ?」

「そうは言ってもねえ……こんな遺跡に金目のものなんて残っているの?」

ミラはこの遺跡にお宝があるということは疑っているようだ。

彼女は最初からこの話に乗り気ではなかった。

クバイが理由を聞いたら女の勘と言われた。

この遺跡はふしぎなところだった。

古代人が書いた壁画が至る所に描きつけられていた。

古代人は一体どんな事を思ってこんな絵を描いたんだろうか?

「この遺跡の最深部にまで行くぞ? そこまでいけばなんかあるだろうさ」

「何それ、わけわかんない」

ミラがふてくされる。

「まーまー、そうふてくされるなよ。希望は大事だぜえ?」

「それにしてもいろんなところに壁画が描かれているでやんすね。これっていったい何なんですかね?」

ゼムが食べるのをやめて壁画に見入る。

クバイとミラも壁画を見た。

壁画には巨人が描かれていた。

巨人が暴れまわるような様が描かれている。

「これって、巨人よね? なんでこんなに巨人が描かれているんだろ?」

「さあ、何かの象徴じゃないのか? 巨人は何かを表しているんだよ」

クバイは冒険者とはいえなかなかの博識であった。

彼は大学を中退して冒険者の世界に入った。

彼には教養があった。

「さっすが、アニキ。アニキは頭がいいでやんすねえ!」

「はっはっは! もっと褒めていいぞ!」

「バッカじゃないの? ねえ、クバイ? そろそろたいまつがなくなりそうよ?」

「ああ、そうだな。お宝がなかったのは残念だが、そろそろ引き返すか」

クバイたちは暗い遺跡内部を進んでいた。

たいまつに火を燃やして、周囲を照らしていたがそろそろ限界のようだ。

「ん? あれは何だ?」

クバイは何かを見つけた。

「あれは……赤い玉?」

「あれを売ったら金になるんじゃねえですか?」

「そうだ! よっし! あれをいただこうぜ!」

クバイが台座から赤い玉を手に取った。

「よっしゃ! お宝ゲットだぜ!」

その時、クバイが持っていた赤い玉から黒い煙が出てきた。

それは禍々しく、邪悪な気配に満ちていた。

「ちょっと、クバイ!? それ何!?」

ミラが危機感を抱く。

「うわっ!? なんだこれ!?」

その瞬間、クバイは赤い玉を地面に落としてしまった。

赤い玉はひびが入って割れた。

「あー!? せっかくのお宝が!?」

クバイが絶叫を上げる。

クバイは正直、ここでへまをやるとは思っていなかった。

自分の不手際に腹が立ってくる。

だが、クバイは腹を立てるどころではなかった。

黒い煙の中から一人の貴婦人が現れた。

彼女は青い髪を長く垂らしていて、なんと裸だった。

「!? ちょっと、あなたどこから現れたのよ!?」

「うわっ、いい体してやがる」

クバイとゼムは貴婦人の体を直視しないようにしながらも、結局はちらちらと見ていた。

貴婦人はかなりの肉付きの言いボディーをしていた。

「おまえたちがわらわを復活させたのか?」

「? 何言ってやんすか?」

クバイたちは混乱した。

貴婦人の言っていることがクバイたちにはわからなかったからだ。

この貴婦人は一体何を言っているのだろう?

「あんたいったいどこから出てきたんだ?」

「わらわはあの玉に封じられていた。感謝するぞ、人間よ。これはお礼だ」

「あ?」

貴婦人の爪が伸びてクバイの顔にめり込んだ。

クバイは即死だったに違いない。

そのままクバイは地面に倒れる。

ミラもゼムも事態の異常さについていけなかった。

彼女たちは放心してしまう。

「ク、クバイ!?」

やっとのことでミラが悲鳴を上げる。

ミラとゼムは走り出していた。

一刻も早く外に出たい。

恐怖が二人を駆り立てた。

彼女たちは遺跡の上層までたどり着いた。

助かった! 

そう思った。

しかし、それは絶望に代わった。

貴婦人は入口の前に立っていた。

「ひっ!? 殺さないで!」

「助けてくれっす!」

二人とも命乞いをする。

二人は心から死ぬことを恐れていた。

「せめてもの慈悲だ。一撃で殺してやろう」

貴婦人はそう言って、爪を伸ばした。

貴婦人の爪は二人の心臓を貫いていた。

そのまま二人は崩れ落ちる。

貴婦人だけが、その残酷さを満足させていた。

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