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始まり

 マークはエリア51に向かう空軍ヘリの中にいた。折角の休日だというのに早朝に叩き起こされて訳も分からぬうちに連れてこられたのだ。昨晩は近所のバーでバーボンを浴びるほど飲んだ。最後の方は記憶が曖昧だ。深酒が過ぎて家に帰ってからワイフにひどく怒られたこと位しか覚えていない。ヘリが揺れる度に胃液が上に上がって来る。


 こみあげる胃液を再び下方に戻したところで同乗するケヴィン大佐に問いかけた。 

「大佐、詳しい話は移動中にとの事でしたが…」


「昨晩エリア51に突如として人型の何かが飛来してな…そいつがお前を名指しで連れて来いというんだ」


 マークは訳が分からず聞き返す。

「大佐、おっしゃる意味がよく分かりません。人型の何かとは一体どういう意味なのでしょうか?」


「詳しくは私にも分からん。ただ人間ではないだろうな、身長が3m程あるらしい。流暢に英語を使うらしいが、詳しくはお前に話したいんだそうだ」


「そんなにでかい親戚がいるなんて話は聞いてませんね。異星人の知り合いはもいないですよ」


 それ以上の事を聞いて何らかの答えが返ってきたとしても、マークには理解が及びそうになかった。



  ヘリから降り立ったマークの前には大佐の言った通り、身長が3m程もある人型の何かが立っていた。その体は金属とはまた違った光沢をもっている。金属というよりは磨いた石の様だ。身長が大きい以外は確かに人間の形と言ってもいいかもしれない。衣服らしいものは装着しておらず、関節部には節のようなものがあってまるで昔見た木製のデッサン人形の様である。


 その何かとはまだ50m位の距離が開いているが、それはマークの姿を確認するなり大き目の音声で話しかけてきた。


「おおマルコ!久しぶりだな。いや、旅立ち前のパーティーで会ったからまだ一か月も経ってないか…」


 もちろんマークはその声に聞き覚えは無い。しかし彼の事をイタリア語読みでマルコと呼ぶ人間はごく少数である。言葉のイントネーションにも聞き覚えがあった。


 マークはゆっくりとその人型に歩み寄る。近づくにつれてその人型の表面には関節部分を除いて奇妙な模様が刻まれているのが分かる。近づくマークに向かって人型は言葉を発する。

「なぜだかこんな姿になっちまってな…」


「お前、まさかエリックなのか?今は月面にいるはずだろう?」マークは人型に向かってそう返した。


「ああ、昨日までは確かに月面にいたんだ。それが色々あって今はこんな姿になっちまった。おれがエリックだって言っても信じてくれるのはお前くらいだろうな。お前とは同じ女を取り合った仲だからな。……まぁとにかくお前にだけは先に話しておきたかった」


 マークは後ろで見ているはずのケヴィン大佐の方を振り返ってみた。彼はヘリの方に戻って何かを無線で問い合わせているようだ。マークは再びエリックの方を見て話しかける。

「にわかには信じ固いがお前がリックだとして、何を話すというんだ?」マークはエリックの事をリックと呼んでいる。


「俺はこれから人類の80%を殺さなきゃならない」



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