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冬三日月と、フェルメールブルーの空

作者: 逢乃 雫

冬ざれの木立が


空へとのばす


いくつもの枝先に



金色の粉砂糖を


ふりまいたように


葉たちが佇み



通りに燈る


紅いサザンカの花



ほのかに甘い


香りが風に舞って



夕映えの空に


浮かぶ冬三日月の下で



空へ向かうように


咲くシンビジウムの


白い花びらが一つ



まるで瑠璃色に


染まる空の彼方から



舞い降りてきた


月の方舟のように


風の窓辺に





ラピスラズリの夜に


星の鳥は羽ばたいて



遥かに煌めく


オリオン座の七つ星



紅きベテルギウスと


青白きリゲルの


間に浮かぶ


オリオン大星雲



冬の大三角へ向かい


(そら)を羽ばたく


火の鳥のように




ラピスラズリの夜に


冬三日月は輝いて



地上へと降りゆく


月の光の先には


ほうおう座の星々



紅く煌めく


アンカーの星が



黄昏と宵闇を


渡りゆく鳥のように

 



染まりゆく宙の


フェルメールブルーに



星は何度でも


太陽は何度でも


空へと昇って



夢を追いかけ


羽ばたこうとする姿も


きっと同じように



月のように


満ちては欠けることも



時に遥かに


道のりを感じることも


あるけれど



見つめる星の


光は遥か幾星霜を超え


届いた光



翼があるから


飛べるのではなくて



飛ぼうとする背中に


翼はきっと


描くことが


できると信じて



言の葉で描いていく


翼がそこに



凍空に浮かぶ


三日月はまるで


宙を渡る舟のように


そして鳥のように





これから越えていく


いくつもの


宙に向かって



見つめる先には


冬三日月と、


フェルメールブルー





















星空を切り取ったように輝くラピスラズリ(瑠璃るり)は、12月の誕生石で、石言葉は「真実」「幸運」です。画家のフェルメールがこれを原料に描いた青い色は、「フェルメールブルー」とも呼ばれます。


冬の夜空で、オリオン座の中心の下に見える淡い光が「オリオン大星雲」で、鳥が翼を広げたような姿です。ほうおう(鳳凰)座は、12月の南の低い空にあり、紅い2等星のアンカーは、アラビア語で「不死鳥」の意味とされます。


シンビジウムは、花びらが三日月や舟に似たランの種類で、花言葉は「飾らない心」です。冬に咲くサザンカの花言葉は「困難に打ち勝つ」です。


季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] >星は何度でも >太陽は何度でも >空へと昇って >夢を追いかけ >羽ばたこうとする姿も >きっと同じように この文章がとっても好きです。 >フェルメールブルー 知らなかったので調べて…
[良い点] 綺麗な言葉がたくさんで、いろいろ想像しながら読みました。 特に「飛ぼうとする背中に 翼はきっと 描くことが できると信じて」のところが素敵ですね。 「フェルメールブルー」って聞いたことはあ…
[良い点] 「黄金色の粉砂糖」と「赤いサザンカ」、「シンビジウムの白い花びら」、「瑠璃色に染まる空」などの綺麗な色が出てきて、本当に鮮やかな情景が浮かび、癒やされてしまいました。  フェルメールブルー…
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