表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜の木に背を預けて  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/8

桜の木に背を預けて(5)

 早速彼女に会いに行こうと、ホームルームでそわそわしている僕をよそに、担任はのんびりと明日からの予定について説明をしている。一通りの説明が終わった後、ようやく解散となり、皆一斉に動き出す中、僕はいち早く教室を飛び出した。


――早くしないと帰ってしまうかもしれない。


 そんな考えが脳裏を過り、僕は階段を一段飛ばしで上っていく。上階まで辿り着くと、廊下には誰もいなかった。


――まだ帰ってないといいけど……。


 そう思いながら、僕はクラスメイトから聞き出した東雲楓のクラスへと向かう。ドアから覗き込むように中を確認した。しかし、教室内には数人の生徒がいるだけで、彼女の姿はなかった。


 やはりもう帰ったのかと諦めかけたが、ふと、彼女がいるかもしれない場所に、僕は思い至った。(きびす)を返し、階段を駆け下りていく。


 校舎の外へ出ると、桜の木の下へと向かった。桜の木の下へ着くと、僕は辺りを見回した。彼女の姿がないか確認するためだ。しかし、そこに彼女の姿はない。


――いないか……。


 勘が外れた僕は、肩で息をしながら、桜の木に背を預けると、空に向けて深く溜息をついた。


 その時だ。校舎のたくさんある窓の一つのカーテンが揺れ、そこから人影が覗いた。


――まさかな……。


 ほんの少しの期待を込めて窓の人影を見る。距離があってもすぐに分かった。そこには、先程まで探していた彼女の姿があった。


――いた。


 思わず口元が緩んでしまう。それと同時に僕は走り出した。何も考えず、ただ彼女のもとへ。


 彼女がいるであろう部屋のドアには、生徒会室と書かれたプレートが掛けてあった。ドアに手をかけ、勢いよく開ける。


「あの!」


 ドアを開けるとともに響いた僕の大きな声に、室内にいた人たちの視線がこちらへと向く。その中には、彼女の姿もあった。


「えっと……何か御用ですか?」


 彼女が、不思議そうな顔で首を傾げている。


「いや……あの……」


 いざ本人を前にしたら、何を言えばいいのか分からなくなった。


「生徒会に何か用かな?」


 戸惑う僕に助け舟を出してくれた彼女は、やはり夢の中よりもずっと大人びていた。


「いや、そうじゃなくて、その……」

「どうしたの?」

「あ、あなたに! 東雲先輩に、会いに来ました」


 僕は彼女に一歩近づいた。


「私に? どうして?」

「それは……」


 僕は再び言葉に詰まる。そんな僕の様子を見てか、彼女がクスッと笑みを浮かべた。


――かわいい。


 素直にそう思った。彼女から目が離せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ