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桜の木に背を預けて  作者: 田古 みゆう


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1/8

桜の木に背を預けて(1)

 君は桜の木に背を預けて、こちらを見ていた。少しだけ、顔が赤いような気がする。


 どうしたのだろう?


 僕は首を傾げながら近づくと、声をかける。君は僕を見つめ、微笑んだ。その笑顔はまるで天使のように可愛らしい。思わず見惚れてしまう程だ。


 そんな君の笑顔に見惚れていたからか、僕は君が泣いていたことに気づかなかった。いや、気づいていたけど、それは見間違いだと勝手に思い込んでいたのだ。


 でも、今ならわかる。君は泣いていたのだと。どうして泣いているのかわからない。だけど、今度こそ君の涙を拭ってあげたいと思った。だから僕はそっと手を伸ばして―――


 そこで目が覚めた。


「くそっ! またあの夢か」


 悪態をつきながら、頭を掻いてベッドから起き上がる。時計を見ると朝の七時を少し過ぎていた。


 今日から新学期。ダラダラと過ごしていた春休みが終わってしまったことを嘆きつつ、支度のために部屋を出た。洗面所に向かい顔を洗い歯磨きをする。


 そしてリビングに向かうと母さんがいた。いつも通り挨拶をして朝食を食べる。トーストを食べている途中でふと思い出した。そういえば今日は、新クラスの発表がある。そのため、いつもよりも三十分早く登校する事になっていた事を思い出した。


 食べかけのパンを咥えたまま、急いで鞄を手に取る。そのまま玄関まで走っていき乱暴に靴に足を突っ込んだ。


「いってきます!」と大きな声で叫ぶ。すると台所の方から「行ってらっしゃい」と聞こえてきた。それには返事を返さず、勢いよくドアを開け、外へと飛び出した。


 学校までは歩いて三十分かかる。走れば十五分で着くと分かっているので、どうしても毎朝ギリギリの時間になるまで家を出られない。


 息切れしながら学校の門をくぐり、下駄箱へ駆け込む。靴を履き替えながら腕時計を見ると、間もなく八時になるところだった。なんとか間に合ったようだ。


 安堵しつつ教室に入ると、すでに元クラスメイトたちが登校していた。「おはよう」と元気な声をかけてくる奴もいる。僕もそれに応えながら、先月まで僕の席だった場所に腰を下ろした。新クラスの発表はこの後される予定だ。


 それから数分後、元担任が入ってきた。起立して礼をする。ホームルームが始まり、先生が連絡事項をダラダラと喋り始めた。それを半分聞き流しつつ窓の外を見る。


 空はとても青くて綺麗だ。青を背景に、ピンクのこんもりとした木が映えている。桜の花びらも風に吹かれて舞っていた。

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