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3、家族という幸せ

.....。

俺は心がそれなりに広いとは思う。

それなりの慈悲を持ってして接してきた。

しかしその慈悲さえも叩き壊されては最早打つ手は無い。

つまり俺は幼馴染をただのウザいクラスメイトと捉える。

そんな感じで別れてから俺は帰宅する。


「おにーちゃーん」


「.....どうした?瑠衣子」


「学校から帰って家事をしていたの!そしたらお兄ちゃんが帰って来たみたいだったから急いで玄関まで来たの!」


中島瑠衣子なかじまるいこ

年齢13歳、中学2年生。

親の再婚相手の娘、俺の義妹であって.....そして愛すべき性格。


短髪にくりくりしている目。

それからボーイッシュに日焼けしている。

俺に懐きすぎの女の子。

まあ何というかこれが血が繋がってないって感じだよな。

何故ならまあ.....容姿が違い過ぎる。


「お兄ちゃん.....どうしたの?その深刻な顔」


「.....あ、ああ。何でもない。ちょっとな」


「....そういえば今日は幼馴染さんに告白してくるって言ってたよね?どうだったの?」


「どうだった.....か。.....まあ色々あって保留になった。.....お前はどうだ?今日は楽しかったか?学校」


「うん。楽しいけど.....今日からプロレスごっこ出来なくなった。男の子達が私を避ける」


「.....そ、それはまあ.....うん。仕方が無いな」


仕方が無いの?私、とっても悲しいよ?、と泣きそうな顔をする瑠衣子。

とは言ってもなぁ.....思春期で成長期だ。

という事は胸とか色々な箇所が違ってくるのだ。

それは考えてみても分かるが無理がある。

男女でプロレスとかあり得ないと言いそうだ。


「お兄ちゃん。私は何で女の子なんだろうね」


「.....それは.....まあ。でもお前は俺にとっては自慢の女の子だぞ」


「.....本当に?有難う!お兄ちゃん!」


じゃあプロレスごっこしたい、と切り出す瑠衣子。

それは勘弁してくれや。

俺もお前を女子として意識している。

つまり当然だが何処ぞの反応がある。

それはあってはならないのだ。


「る、瑠衣子。それよりもゲームしないか?」


「ゲーム?何のゲームする?」


「間取りカート」


「あ。間取りカートね!楽しそう!」


間取りカートとは何のゲームか。

それは簡単に言えば主人公が間取りの中をレースカートで疾走するゲームだ。

だから間取りカート。

楽しいゲームだ。

思いながら俺は鞄を置きながら気分転換にゲームをする事にした。


のは良いんだが。

なんか瑠衣子の距離感が近くね?

思いながら俺に寄り添って来る瑠衣子に聞いた。

何でそんなに俺と距離感が近いのか、と。

すると瑠衣子は、だって寂しいし、と答えた。


「仲良かった男の子達がみんな私を避けるから.....寂しい。何だかこんなのじゃなかったのに、って思う」


「あ、ああ。そうなのか」


「.....お兄ちゃんは大丈夫だよね?」


「.....だ、大丈夫ってのは?」


「お兄ちゃんは私を避けたりしないよね.....?」


うわスゲェ可愛い。

キラキラした美少女がそこに居る。

純真無垢だ。

俺はその眩い光を見ながら、だ、大丈夫だ、と答える。

そして俺は瑠衣子を撫でる。


「.....俺は避けたりしない。家族だしな」


「.....そっか。.....安心した。.....私.....うん」


「でもな。瑠衣子」


「.....何?お兄ちゃん」


「.....どうしてもな。女子と男子ってのは難しい部分がある。やりたい事も出来なくなってくる。それは身も心も全部が大人になるって事なんだ。.....男子達がお前を避ける様になったのはな。どうしても自我っていう恥ずかしさを持ち始めるんだ」


「.....そうなんだね」


何だか今までの事でしっくりくる様だ。

すんなり納得してくれた。

俺はその姿を見ながら髪の毛をぐしゃぐしゃにした。

瑠衣子の髪の毛を、だ。

すると瑠衣子は、やめてー、と笑顔になる。


「でもどうあれお前は俺の義妹だから。.....俺も男の子だから今までと同じ様には接するのが難しいかもだけどお前さんにはこれまで以上に愛を込めるから」


そしてコントローラーを持って来てから笑みを浮かべる俺。

すると瑠衣子は、うん。有難うお兄ちゃん!、と満面の笑顔を浮かべた。

俺はその姿を見ながらゲーム機を起動させてテレビ画面に映る間取りカートを見る。


瑠衣子にニヤッとした。

今日は負けないぞ、と言いながら。

瑠衣子はその言葉に、私だって負けないもん!、と笑顔になる。

それから俺達は間取りカートを始める。


「うお!」


「アハハ。バナナ!」


「そんないっぱい使うとか反則だろ!全く!」


そんな感じで会話をしながら俺達は加熱する。

バナナ、ボムなどを上手く使ってくる達人を横目に俺はクラッシュばかり。

困ったもんだな、と思う。

勉強ばっかりでやってなかったしなあまり。


「お兄ちゃん弱くなったね」


「.....うるへー」


ジト目になる俺。

そんな感じで集中しながら居ると。

キュルッと可愛らしい音が聞こえてきた。


それは瑠衣子の、お腹が減った、という合図だ。

俺は笑みを浮かべて立ち上がる。

それから宣言した。


「焼きおにぎりを作るか!」


「え!?美味しそう!お兄ちゃん!」


「手伝ってくれ!」


「食器とかだね!」


3年も一緒に暮らしているとそんな事すらも直ぐに分かる。

思いながら俺は瑠衣子を見る。

瑠衣子は嬉しそうに準備を始める。

その姿に幸せになった。

.....。

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