2、ウザいとしか言いようがない
.....。
正直言って騙された心はかなり重たかった。
完全に騙されたというか。
何をもってして俺を騙そうと思ったのかそれが知りたい。
騙した張本人の幼馴染の....戸口銘。
そしてサポート役で居たのかの後輩の山口兎色。
戸口とは話す機会はもう永遠には訪れないだろう。
因みに戸口は俺の小学校時代からの幼馴染である。
その容姿は相当な美少女だった。
茶髪故に若干のやさぐれもあったが。
それでも良い子だった。
後輩の山口はその容姿から小動物の様な感じだった。
当然だが可愛く。
とても守ってやりたい容姿だったが。
今回で悪魔だと知った。
本当に忌々しく思う。
騙された俺が.....許せない。
そして騙した事が絶対に許せない。
「恭平さん」
「.....ああ。どうしたの?須玖ちゃん」
「.....いや。ゲームセンター.....その。楽しんでますか?」
「正直今は心底から楽しめる気分じゃ無いけど.....でもクレーンゲームとか楽しいよ。透の馬鹿な姿を見て笑ってる」
「.....そうですか。良かったです。.....あ、その。恭平さん」
俺にモジモジしながら赤面する須玖ちゃん。
何だろうか、と思いながら須玖ちゃんを見ていると。
須玖ちゃんは意を決した様に顔を上げた。
それから俺を見てくる。
一緒にリズムゲームしませんか、と。
「.....え?.....そ、それは構わないけど.....俺はメチャクチャな素人だよ?」
「全然構いません。私が教えます。.....一緒にしてくれませんか」
「分かった。そこまで言うなら」
そしてシャルウィダンス?的な感じで誘われ。
俺は人生初のリズムゲームをする事になった。
因みに透は今、クレーンゲームをしている。
それから俺はリズムゲームの画面を見ながらリズムをとってみる。
上手ですね、と言いながら俺に笑みを浮かべる須玖ちゃん。
「.....そんな事はないよ。御免な。ここで持ち出して良いのか知らないけど。ゲームセンターは結構来てんだ。俺。幼馴染が喜ぶかと思ってな」
「.....そうなんですね.....」
「裏切られたけどね」
「.....ですね.....」
須玖ちゃんは本気で怒っていた。
俺はその姿を見ながら、須玖ちゃん。何でそんなに怒ってくれるの?、と聞いてみる。
すると須玖ちゃんは、当たり前です。.....だってお兄ちゃんの大切な友人さんがこんな目に遭っているのですから、と言ってくる。
そして真剣な眼差しをした。
「.....本当に許せないです」
「須玖ちゃんは相変わらず優しいね」
「.....当たり前の事ですから」
俺は傷心だったが。
何だかこんだけ怒ってもらえば何だか気が楽だ。
嬉しいもんだな、と思う。
それから須玖ちゃんを見ていると潤んだ目で俺を見てくる。
それに、と切り出してから透の声がした。
「おーい!あ。何しているの?リズムゲーム?」
「そうだね。お兄ちゃん。一緒にする?」
「そうだね。.....リズムゲームやろっか。恭平も一緒に」
「.....そうだな。みんなでやるか」
それから俺達はリズムゲームを暫し楽しんでから。
そのままプリクラコーナーに行ってみる。
そうしてからメダルゲームの音に包まれながらプリクラを撮る。
プリクラは最高のアホ顔だった。
互いに笑い合う。
「その。恭平さん」
「.....何?須玖ちゃん」
「い、一緒に撮って良いですか。えっと。お兄ちゃん抜きで」
「.....へ?」
良いけど俺だけと撮って楽しいか?
思いながら俺は須玖ちゃんに言われたまま透を待たせてから。
そのままプリクラを撮ってみる。
それから俺達だけのプリクラが完成した。
出てくるプリクラに、えへへ、とはにかむ様に反応する須玖ちゃん。
「えっと。楽しいか?俺なんかと撮って」
「はい。楽しいです。.....これ。恭平さんの分です」
「.....え?あ、有難う.....」
「やれやれ。愛されているね。君は」
「冗談でもやめーや。そんな事は無いから」
それから俺達はゲームセンターを後にしてから。
分かれ道で別れてから帰っていると。
目の前に戸口が立っているのに気が付いた。
電信柱に寄り掛かって居る。
俺は無視して帰宅する。
「ね、ねえ」
「.....ハァ.....なんだ」
「.....い、いや。その。怒ってる.....かな」
「これが怒りじゃなかったらお前さん。何なんだ?お前さん馬鹿なの?割と本気で脳内お花畑?」
「.....そうだよね.....そ、そう言われるよね」
でも私にも理由があったの。
彼氏を作ったのにはその大きな理由が、と話してくる。
マジにコイツ馬鹿なの?そんな話を何故今。
そして今この場に来るとか。
許す訳がないというのに今更。
思いながら、話す事は何もない、と言いながらそのまま帰宅した。
正直、ウザいとしか言い様が無い。
.....。