1、裏切り
.....。
「アハハ。騙されたね」
正直に言って騙された俺、中島恭平はかなり衝撃だった。
何が衝撃かと言えばそうだな。
この屋上という告白の場に幼馴染と後輩が居る。
その中で幼馴染に対して俺が「告白.....じゃ無かった。
告白する前に衝撃だったのだ。
俺に対して後輩が、彼氏が居るんです。嘘コクみたいですね、と耳打ちしてくる.....。
そんな感じの状況である。
俺を嘲笑っている事に腹が立って仕方が無い。
好きな幼馴染に告白されたので舞い上がっていたのだが。
この様な裏切りに遭うとは思わなかった。
「.....まさかこんな真似をするとはな。お前が」
「そうだね。まあ.....私、アンタの事がマジに嫌い」
この言葉を受けて一瞬で覚めた。
幼馴染に対する恋心が、だ。
何が目的かは分からないが。
俺にとってはあまりに衝撃でありと同時に激しく裏切られた気分。
今までを弄ばれた気がした。
「.....お前は何を考えているんだ。俺に対して」
そして俺は幼馴染を平手打ちした。
女に手を出すなんぞクズのやる事だが。
今回はマジに許せない。
心の底から絶対に許せないと思った。
「お前の事が嫌いだ。.....もう二度と話し掛けるな」
「まあそうですね。幼馴染さんには彼氏が居るみたいなので。勘弁ですね」
「本当にドクズだ.....」
そして俺は頬を叩いた幼馴染を睨み。
そのまま俺はその場所から去る。
そうして俺は決意した。
もう二度と恋はしない、と。
こんな終わり方をするとは思わなかった。
☆
俺は幼馴染に平手打ちして別れてからそのまま教室に帰る。
そうしているとまた別の幼馴染の黒溝透という男が話し掛けてきた。
途中まで笑顔だったが.....。
何か良く無い感じだったのを察して。
俺を心配げに見てくるおかっぱの少年。
「大丈夫?」
「.....正直大丈夫じゃないな。.....アイツは裏切り者だ」
「.....何かあったの?」
「嘘コクされた。しかも幼馴染には彼氏が居た様だ。後輩の言葉だけど」
「.....えっと.....嘘.....だよね?」
「.....嘘であったらどれだけ良かったか。だから俺は.....もう恋はしない事にした。こんな最悪の事になるなんて」
言いながら俺は絶望に手を震わせる。
すると透が、最低な奴らは放っておいて.....。友人と楽しく遊ぼう。僕達と、と言う透。
それから、ね。須玖もきっと励ましてくれる、と透は語る。
俺は声を震わせていたが、そうだな、と言いながら落ち着きを取り戻す。
因みに須玖というのは透の1つ下の妹だ。
「.....アイツなら励ましてくれるかもしれないな」
「.....そうだよ。自信を持って」
「でも悔しい。こんな事になるなんて思ってなかったらから」
「.....そうだね。悔しいよね。.....でももう忘れよう」
そして俺は透に励まされながら。
授業を受け始めた。
因みにこの日だが.....全てが変わり始めた。
何が変わったかといえばそうだな。
俺に失恋した幼馴染は彼氏との接触をまたやっている、と後輩から聞いた。
まあでも俺の知った事ではない。
もう関わり合いを持ちたくない。
アイツは悪魔だ。
俺とは違う人の心を弄ぶ悪魔だ。
思いながら俺はその日。
幼馴染を捨てた。
後輩が何故あの場に居たのかは分からない。
今考えているがそれでも分からん。
そしてそんな事を考えながら透達と俺は関わる事にしたのだが。
☆
透には美少女の妹が居る。
穏やかな性格の柔和な顔をした美人だ。
黒の長髪に蝶の緑色の髪留めを着けており。
それから顔立ちも相当に整ったお嬢様の様な女子高生だ。
この学校の生徒でもある。
「須玖」
「あ。お兄ちゃん.....と。.....恭平さん」
「.....やあ。須玖ちゃん」
須玖ちゃんは状況を知っている様だ。
直ぐに黙りながら俺を上目遣いで見てくる。
悲しげに、だ。
まさかですよね、と言いながら。
「.....その節は大変でしたね.....」
「.....仕方が無いよ。ドクズはドクズだしね」
「.....でも酷い。.....恭平さんは良い人なのに」
「.....正直言ってこういう奴らは.....酷い人達も居るから」
「はい」
でも私は....、と怒りを強く滲ませる須玖ちゃん。
俺は?を浮かべて須玖ちゃんを見る。
すると透が、まあまあ。その話は置いて。みんなで楽しく何処かに行かないかい、と切り出す。
俺は、良いな。それ。みんなで遊びに行くか、と笑みを浮かべる。
「.....それで良い?須玖」
「良いよ。お兄ちゃん。行こう」
そして俺達は移動を開始する。
この日から運命が変わり始める。
全ての歯車が動き出した。
ラブコメなのかどうなのか分からない歯車だが。
.....。