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「リーフェンシュタール公爵家では、次期当主のフィアンセにはそんな権利も与えていないのか」
ーーーあっ!さっきの!!というか、クリス?!
急にリリアナ達のいる庭園のテントにやって来たのは、リリアナの従兄で、オスカーの弟のクリストファー・シュタインブリュックだった。
「クリスったら何故ここに?」
突然現れた従兄にリリアナは驚き、キャロライン達は困惑している。
ーーーそうだ。クリスは貴族同士の人付き合いが苦手で、茶会にもあまり顔を出していないから…キャロラインでもクリスの顔を知らないのかも
「クリストファー殿、兄上に用事があって当家に来たと聞いていたが?リリー姉さまとの面会、兄上は許可されたのか?」
パトリックが固い声でクリストファーに詰め寄るとが、当人のクリストファーは動じない。
「仲の良い従妹に会うのに、その婚約者などにいちいち許可など取らない。メイルズ男爵家から奪うようにリリアナを連れてきて偉そうに言うなーーリリアナ、俺にご友人達を紹介してくれ」
ーーー相変わらず、ぶっきらぼうね
パトリックに叱責されてもクリストファーは全く気にしていない。ここで、揉め事を起こしても友人達も困惑するだけだと感じたリリアナは、さっさとキャロライン達にクリストファーを紹介することにした。
「クリスって言うの、シュタインブリュック侯爵家の次男坊よ。私の従兄で1つ上なのーーと後はーー何かある?」
「クリストファー・シュタインブリュックだ。上にはオスカーという兄がいる。リリアナとは母親同士が姉妹でね。時々両家を行ったり来たりしてリリアナとは交流がある」
リリアナのざっくりとした紹介にもクリストファーは怒らず、付け足すように自己紹介をした。
ーーーオスカーの名前を久しぶりに聞いたかも
クリストファーがオスカーの名前を出したとき、風の精霊の気配が悪くなる。さっきからの精霊の気配の異変は、シュタインブリュック侯爵家の者がリリアナへ近寄ってきたからであった。
「えっーと、こちらの女性達は私の友人のキャロライン・メイローズ伯爵令嬢とマリア・ヴィドゥーゼ伯爵令嬢、アンナ・サリバローニ子爵令嬢よ」
リリアナが一人一人の名前を紹介すると、友人達もクリストファーに自己紹介をした。
それをパトリックは面白くなさそうに聞いていたが、ミーハーなアンナとマリアがクリストファーも晩餐に招待されているのかと聞いたところで、会話に横槍を入れてきた。
「なぜ、クリストファーを晩餐に誘わなくてはならない?」
パトリックの一言にアンナとマリアは一瞬凍る。リリアナの友人達は、リリアナとオスカーの一件を知らないのだから、困惑してもしょうがない。
「パトリック、ちょっと言い方がきついわよ。クリス、今日は急いで帰宅する必要がないのなら、夕飯を一緒にどう?」
ここでクリストファーを追い返しては、シュタインブリュック侯爵家とメイルズ男爵の繋がりにも悪影響だと感じたリリアナはクリストファーを晩餐に誘うことにした。
「っ!リリー姉さま!それは、兄上の許可を頂かなくてはーーー」
「リーフェンシュタール公爵家は次期当主のフィアンセにそんな権限も与えていないとみえるーーリリアナは窮屈に感じないのか?」
ーーーうわ!!火の粉がこっちに来た!!
パトリックとクリストファーの応戦に巻き込まれたくないとリリアナが困惑していると、急にリリアナは風に抱き込まれた。
ーーーっ!アーク!!
クリストファーとパトリックの舌戦に、リリアナがおろおろとしていると、椅子に座るリリアナの上に後ろから抱き込むようにして、突如としてアークが現れた。
ーーーまさか、屋敷内で転移水晶使っちゃったの?!
リリアナについていた風の精霊に、今のこのカオスな状況を聞きいて、転移水晶を使うほど急いでやって来たのだろうか。リリアナがあまりの衝撃に動揺していると、アークはさらにリリアナを抱き込んできた。
ーーーくるし…い
「リーフェンシュタール公爵家うんぬんというより、俺がリリーを独り占めしたいだけーークリス、用事が済んだのなら直ぐ帰宅し、例の件の対応をするように伝えていたはずだが?」
「ーーっ!もう、ナイトのお出ましか。リリアナ、ご友人達も残念たけど、晩餐はまた次の機会に。失礼ーー」
突如現れたアークにクリストファーは驚きもしなかったが、アークの不機嫌を隠しもしない態度に、怖いもの知らずなクリストファーもさすがに引き下がることにしたらしい。簡単に帰宅の挨拶をリリアナ達に済ませるとテントを出ていった。
ーーーこの重い空気、クリスったら今度会った時
、どうしてくれる…




