やっと会えたね
前回のあらすじ
グレーウルフを倒してチュートリアルを突破した
side:???
僕は知っている。いや、知ってしまったと言った方がいいだろうか。
このゲームの本当の意味を。なぜうちの会社が急にゲームを開発したか、という事を。
だから僕はあの少年を守らなければならない。
チュートリアルだと言うのに、僕の言ったことを守ってゲームが下手ながらも誰よりも楽しそうに魔物を倒した、あの少年を。
彼以外に誰がこうなったかは分からない。いや、本当は分かっているのかもしれない。
ただ、僕が彼にお金を渡した時点で、そして彼がこのゲームを始めてから僕が最初に会った時点で、僕は彼を守るために出会ったのだと思わずにはいられなかった。
責任は自分で持つ。クビになろうが知ったこっちゃない。
僕は彼のことを守るためにプレイヤーとして、GMとして彼の近くに居ることにした。
僕は彼がチュートリアルをクリアしたのを確認したから、家に帰る。
今度こそ守ってみせる──
「──ッ!? 今の、は……?」
頭が痛い。床に膝から崩れ落ちる。
目眩がする。頭が焼けそうなほど痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い──
「治まった……みたいだな……」
しばらくすると治まったのでゆっくりと机を支えにしながら立ち上がる。そして時計を確認する。
「まだ8時45分か……まあ早いに越したことはないし、もう入るか」
僕は集合時間の前だったけど、なるべく早く彼に会うためにログインした。
今からの僕はシュウじゃない。プレイヤーのスケだ。
まあ本人にはバレちゃったけどね……
side:マツリ
やあ、俺だ! チュートリアルをクリア出来て今はじまりの街らしきところにいるんだけど、すごい人の量なんだ! もちろん街は中世ヨーロッパみたいなんだけど、亜人の人とか、魔物の人とか、ザ・ファンタジーって感じ!!
それでね、今大事なことを思い出したよ!
綾乃さんのプレイヤーネーム聞くの忘れてた……
一応マナーとして駄目なのは知っているけど、一か八か、やるしかないか……!!
すうぅぅ……と思いっきり息を吸い込んで、
「綾──」
俺が綾乃さん! って叫ぼうとしたら、いきなり竪琴のような音が鳴って、【メッセージを受信しました】という表示が出た。
俺がその文字を押すと、メッセージが表示されたのだが、驚いたのはメッセージが送られてきたからでは無かった──差出人が、綾乃さんになっていたのだ。
……ってRINE使えんのかよ!!!
なんと俺のRINEに登録した人の名前がズラーっと並んでおり──見栄はりました六人です……
そのうち、家族は何人かって……?
い、言わせんなよ! さ、三人だよ三人!!
そうだよ! 綾乃さん以外二人しか友達居ないよ! 悪かったな!!
……話が逸れたが、なんとこのゲームはRINEと連携しており、本人の登録している人にメッセージを送ることが出来るらしい。しかもゲーム内外に関わらず、だそうだ。ゲーム内の人にはメッセージとして。ゲームの外の人には普通に登録端末にメッセージが届くらしい。
どんな技術だよって言いたくなるよな。
安心しろ。俺も理解出来ない。
閑話休題
綾乃さんから届いたメッセージだが、どうやら向こうも思い出したみたいで、
『ごめんね( ̄▽ ̄;)プレイヤーネームはアヤだよ。今、噴水広場に着いたよ。黒色の服きているから目立つと思うんだけど……見つけたら来てね!』
と書いてあった。
黒色の服……黒色の服……! あっ!居た!!
俺が見つけた綾乃さん──アヤさんらしき人は、なんか暗殺者みたいな服を着ていた。初心者がスポーンする所の噴水広場で、上級者みたいな装備の彼女は確かに目立っていた。
なんか俺も周りから見られている気がするが……
気のせいだと思い込んでから俺は彼女のところに向かった。
「あの、アヤさん?」
「……? あなただれですか?」
俺が話しかけるも、アヤさんらしき人は首を傾けてなにか考えているようだった。
あなただれですか……!? だと……
「ううぅ……俺ショックで立ち直れなくなりそう……」
俺は知らない間にそう言っていたようで、アヤさんらしき人の俺を見る目が変わった。
「もしかして、祷くん……!? いや、まさか……そんなこと……」
「そうだよ! 俺だよ!!」
俺がそう答えると、信じられない、といった顔をしてから、ちょんちょん、と俺を指で呼んで、俺の耳に小さな声で話し出した。
「今日、何があったっけ?」
「俺が、アヤさんにここ、こっ……告白っ、しました……」
くぅっ!? なんなんだこの本人確認の方法は……!?
「……!? 本当に祷くん……!?」
俺が答えたので、見るからに驚いているのが分かった。
「だからさっきからそう言ってるし、俺はこのゲームではマツリ、って名前にしてる」
「あっ……! そうだったね、ごめんねマツリ──ちゃん?」
ちゃん……だと……。
「な、なんでちゃん付け……!?」
「だって見るからに女の子なのに「くん」で呼んでたらおかしいでしょ? ──というか、なんでそんな格好になってるの?」
「それは──」
かくかくしかじか割愛割愛。
「──で、俺はこうなっちゃった、って訳」
「信じられないけどそんなことってあるんだね……それにしてもさっき始めたのにそんな装備ってそれも何かあったの?」
アヤさんは、俺の話を聞いて納得してくれたようだった。でも、この装備の事も聞かれるのは当然だ。俺は話すことにした。
「それは──」
またまた割愛割愛。
「──って事」
「本当にユニーク種って当たるんだね、あれ」
「えっ、今まで当たった人いなかったのか……?」
「私が知る限りでは、だけどね」
じゃあ俺ってすっごい豪運だったのか……! 最近俺に運が向きつつある気がしてきた……!!
「ところでさ、始める前に言ってたスケ、って人、まだかな?」
そうだった……シュウさん──もといスケさんともここで待ち合わせなんだけど……
「うーん……あの人社会人だからなぁ」
俺がそう言った時、俺たちの方に歩いてくる人が見えた。
「やぁ、お待たせ!僕がスケだよ!!」
その人は、GMの時とは全く違うテンションの、スケさんだった。
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PN:マツリ
性別:女
称号:─
種族:大天使 Lv.1
職業:光に導く者 Lv.1
人々を正しき方向に導く心優しき天使。
【職業アビリティ】
・パーティメンバーのHPを毎秒0.5回復
・パーティメンバー死亡時、MPを100消費して
3回まで蘇生可能。
・HPが60%以上の時、即死しない
・HPが10%以下になった時、全ステータスを
+40する。
【装備】
武器:天使の剣
頭:天使の輪
胴:天使の装束〈上〉
脚:天使の装束〈下〉
足:天使のブーツ
【ステータス】
MP:120
《汎用型》
STR:20 ★
VIT:20 ★
AGI:20 ★
DEX:20 ★
INT:20 ★
【スキル】
SP:0
《浄化》《慈愛の一撃》《堕天化》
視点を変えるときにside:○○みたいな形にしてみました。今後も、side:???さん視点はやります。(もう誰か分かったと思うけど一応隠しておく)
この小説が、200ptを突破致しました!!
皆様のおかげです!本当にありがとうございます!
これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します!