チュートリアル!!
前回のあらすじ
ユニーク種族:大天使
祷「やったあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
どうしよう……コメディ要素をほとんど入れられなかった……
※8/15:初期設定!!その2においてステータス表示を統合、削除、追加をしましたので、ステータス変更。
光に包まれたあと、俺は見知らぬ草原に立っていた。
どうやら嗅覚もあるらしく、鼻から息を吸い込むと草の良い匂いが鼻腔をくすぐる。
そしてたまに吹く心地よい風とぽかぽかと気持ちの良い太陽のせいで俺はついつい寝そべって昼寝でもしたくなった。
ちなみに俺がステータスを開いてアバターを見てみると、種族の大天使の装備らしい清楚な印象をもたせる白色の巫女服の様なものに、頭の上に金色の輪っかがくるくると浮いている。
そして白色の少し大きめの羽が背中からチラッと顔を覗かせているのが伺えた。
まあ見た目が清楚でも俺の場合は清楚(笑)でしかないんだけどな。
中身は欲に正直なお年頃の高校生男子だから。
俺って見た目は少女、頭脳は男!みたいな感じ!?
……なんか恥ずかしいからここらでやめておこう。
綺麗な景色が広がっているとはいえ流石にゲームの世界。俺の脳内に『チュートリアルを開始します』という声──今度はタビィと違って機械質だった──が聞こえた。
その次の瞬間、俺の目の前に移動方法、身体の動かし方などが浮かび上がった。
「まずは前だな」
俺はいつも体を動かすのと同じように前に進む。
うん。ちゃんと進んだ。
次は右、そして左、最後にうしろ、といった具合で動かすと、問題はなく普通に動けた。
俺が前後左右に移動したのを確認したのかピロンという音とともに移動方法の書いてあったところにComplete!と上から判を押すように書かれた。
それを確認した俺は手を動かし、頭をぐるぐる。さらにぴょんぴょんと跳ねたりして、身体の動作確認をした。
するとまたComplete!という文字が身体の動かし方の上に書かれた。
なぜこんなことをするかというと、脳波だけでなく普段と違う身体を動かす事になるので何らかの問題が起きる可能性があるから、と説明書に書いてあった。
準備体操みたいだな、と思ったのは内緒。
『次に、このモンスターと戦ってみて下さい』という声が聞こえた。すると、目の前にエフェクトを撒き散らしながら魔物が生成された。その魔物は狼だった。
Enemy: グレーウルフ Lv.3
ほほう……初手2レベル上の敵か……。だが俺とこの天使装備の前に2レベ差など無駄だァ!
「俺の初戦闘……! 残念だがお前にはこの大天使の前に消えてもら──『グルァァァァ!!』」
クソっ! いきなり噛み付いてきやがったこの狂犬!!
こいつはあれだ。戦隊ヒーローが変身している時に攻撃してくる系のやつだ! 空気読めよ……
俺の職業アビリティのおかげで助かったがこれが無かったら死んでたぞ……!!
まあ今なんとかアビリティが発動して全ステータスが上昇しているもののHPが1だしな……。しょうがねぇアレをやって見るか!!
「【堕天化】!!」
俺がスキルを発動すると、白色が中心で清楚な印象だった服が際どい感じで黒色を中心とした物に変わった。
それ以外にも天使の剣が禍々しい印象の黒堕剣に変わったり、堕天化したせいか俺の背中にあった翼の内右の翼が無くなり、左の翼もボロボロになった。あとは頭の上にあった輪っかが無くなった。
堕天状態は空を飛べない、スキル、職業アビリティが使えない代わりに使用すると体力が50%まで回復、全ステータスが+60、毎秒自身のHPを5回復。さらに10回攻撃を加える度にSTRが+5。そして堕天状態の最後には空からビームを降らせてから大天使に戻るらしい。
ただ一応1日に10回のみ。デスペナ中は使用不可などといった緩めの制約は設けられている。
……本当にこんなぶっ壊れたのをランダム種族にして良かったのか運営……。絶対後で修正来るだろ……
「今度はこっちから行くぜワンコロォ!!」俺はそう言うとグレーウルフに向かって駆け出した。
いける……!
そう思って俺が剣を振ろうとした瞬間、グレーウルフが俺に向かって突進してきた。
『ガルルルァァ!!!』
「ガハッ……!」
その時俺のHPは全損して、目の前が真っ暗になった。
もう一度チュートリアルが再開するまで待とう……
……
…………
………………ん? あれ……。おかしいないつまで経っても画面が変わらないんだが……
正直気が引けるがGMコールだな、これは。まだ始めて30分程。これで3度目となるGMコールをする俺は、果たして普通なのだろうか。
いや絶対違うよね。うん。自分でも分かるよ?
俺ゲーム下手すぎだなって!
普通有り得るか!? 俺の種族ユニークだぜ? しかも多分かなり強い部類の!そんなのがチュートリアルで、しかも奥義っぽいのまで使って負けました、とか多分笑いものだわ!
いや、俺なら絶対笑うね! しかも鼻で!
RPG久しぶりだからなぁ……。とか綾乃さんに誘われた時思ってたけど、よく思い出せば最後にやったの小3だったわ! さっきまで思いっきり玄人ぶってSTRがどうとか言ってたけど実は説明書で読んだりしただけだから「へー、ほー、ふーん」しかタビィに言われた時も思わなかったよ!
どうしよう……ここまで下手だとは思わなかった……
『どうされましたか──ってまた貴方さんですか……何をやらかしたんですか今度は』
俺の考えを制するようにいつものGMの声が聞こえた。
「……わ、笑わないでくださいね……?」
『笑いませんよ。で、何があったんですか?』
「実は……チュートリアルで負けたんですけど、いつまで経っても真っ暗なままで……」
『……ま、負けたんですか?しかもその種族と職業で……?』
いつものGMは信じられないといった様子でそう言った。しかしその後にこうも言ってくれた。
『……はあ、もういいです。とりあえずチュートリアルの再起動は終わったので僕が直接向かいます。最低限のことはお教えしますのであとは頑張ってみて下さい』
「あ、ありがとうございます……!」
俺は目の前が急に明るくなったような気がした。
すると、本当に再起動されており俺はまた草原に立っていた。
少しすると、俺の目の前にエフェクトを撒き散らしながら男の人が出てきた。この人が多分さっきのGMだろう。
「お待たせしました。僕は先程のGM、シュウといいます。貴方のお手伝いに来ました」
その男の人は俺が知っている顔だった。なぜなら、さっき助けて貰ったばかりの恩人だったから。
「近藤、さん……!?」
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PN:マツリ
性別:女
称号:─
種族:大天使 Lv.1
職業:光に導く者 Lv.1
人々を正しき方向に導く心優しき天使。
【職業アビリティ】
・パーティメンバーのHPを毎秒0.5回復
・パーティメンバー死亡時、MPを100消費して
3回まで蘇生可能。
・HPが60%以上の時、即死しない
・HPが10%以下になった時、全ステータスを
+40する。
【装備】
武器:大天使の剣
頭:天使の輪
胴:天使の装束〈上〉
脚:天使の装束〈下〉
足:天使のブーツ
【ステータス】
MP:120
《汎用型》
STR:20 ★
VIT:20 ★
AGI:20 ★
DEX:20 ★
INT:20 ★
【スキル】
SP:0
《浄化》《慈愛の一撃》《堕天化》
なんと前から因縁のあったGMさんは近藤さんでした。
書いてて思い出したんですけど、前回のあらすじがあらすじになっていない気がしてきて不安になった
5話も読んで頂き、またたくさんの方に評価していただいて、本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願い致します!