初期設定!!その1
前回のあらすじ
祷(もうやだよこの人……なんでこんなに詐欺られてんの……)
近藤さんと出会った!!
近藤さんと別れたあと、俺は家に帰って夕食を食べたりした。
そして俺は自分の部屋に行って、綾乃さんにメールを送ることにした。
とりあえずゲーム機が買えたことと、近藤さんともゲームをする事になった、って事を書けばいいか。
『ヴァリアスワールド・オンライン買えたよ!!』これでいいのかな……? よし、送信。
うわ、既読はや……! お、返信が。なになに……?
『良かった〜! 今から始めるの?』か。
まあその予定だし、無難に返信するか……あ、近藤さんと合流なのもちゃんと書いておくか。
『うん。あと、九時に噴水広場でスケって名前の人と待ち合わせをする事になったんだけど良い?』
よし、送れた。
って返信早!『良いよ(親指を立てている絵文字)』
よかった。断られたらどうしようかと……
『ありがとう!』ちゃんとお礼をしないとな。
『じゃあまたゲームでね〜(手を振ってる絵文字)』
返信も早いし絵文字が可愛い。
いや〜! 彼女との会話って楽しいものですね〜!
いつもいつもリア充共がイチャコラしてんじゃねぇ! 爆散してしまえ! とか思ってたけどちょっとした会話でも楽しいもんだね〜!
……すみませんちゃんと自重します。実を言うとちゃんと友達とメールで会話したこと自体が少ないんです……。許して……
閑話休題
綾乃さんへの連絡も終わったし、いざ、ゲームと行きますか。
という事で、俺はコンセントをさしてゲーム機を接続する。そして脳波の測定がなんたらとかって書いてあったので、
ヴァリアスワールド・オンラインの入ったメモリーチップを機械に挿してからベッドに横たわり、頭から被る。
《使用者の脳波を測定中……》
……《33%完了》
…………《58%完了》
………………《79%完了》
《脳波の測定を完了しました》
《これよりダイブを開始します》
脳波の測定が完了したあと、目の前にこんな表示が出て、俺は身体を引っ張られるような感覚を覚えた。
少しすると、俺の目の前に少し前のゲーム機のホーム画面のようなものが出現し、そこにヴァリアスワールド・オンラインのアイコンが出た。
そのアイコンは水色のドラゴンの絵の上にヴァリアスワールド・オンラインと書いてあるだけの一枚絵だったが、画像の質が今までのそれとは別次元だった。
──そう、まるで本当にドラゴンがいるかと錯覚してしまいそうなほどに。
俺はそのアイコンを迷わずタップした。
すると、
【ヴァリアスワールド・オンラインを開始しますか】
《Yes》 《No》
という選択肢が出てきたので《Yes》をタップした。
また身体を引っ張られるような感覚を覚えたが、
次に目を開くとそこには軽快な音楽と共にいかにも電脳空間と言うべきな世界が広がっていた。
俺が辺りを見渡してすげぇ……などと思っていると、
脳に直接語りかけるような声が響いた。
『ヴァリアスワールド・オンラインにようこそ! 私はナビゲーターの妖精タビィ! まずあなたの名前を聞かせてね!』
タビィというらしい妖精がそう言うと、俺の目の前にキーボードが出現した。
そのキーボードで名前を入力するようだったので、俺はマツリ、と入力した。
なぜマツリかと言うと、俺の名前の「祷」という漢字は「奉る」という言葉が語源らしい。
だがタテマツルというのは名前としてはアレなので、
マツルという部分を抜き取って、マツリと変換しているのだ。ちなみにこの名前は他のゲームでも使っている。結構気に入っているのだ。
閑話休題
【ユニークネームを確認中……】
【確認を完了。マツリは使用可能です】
このゲームはちゃんとプレイヤーネームが被らないようにしてくれているらしい。ありがてぇ。
すると
【プレイヤーネーム: マツリでよろしいですか】
《Yes》 《No》
と出てきたので《Yes》を押すと、タビィが話を再開した。
『マツリさんですね! では次に、あなたの身体をスキャンします!』
そう。このゲームではプレイヤーの身体のスキャンを行い、その情報に基づいたアバターを作成することになっている。
そのため今、俺は全身黒タイツのような見た目になっているが、決して俺がそういう性癖の人間じゃないということだけ弁解させて貰う。
そして、このゲームでは現実のものから少ししか弄れない様になっている。
理由は定かでは無いが、現実との齟齬が生まれすぎると、色々と不味いことが起きるらしい──のだが……
《身体のスキャンを完了しました》
と画面に出たと思えば俺の身体は──女性だった。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 可笑しいだろォォォオォォ!! おいどうなってんだクソ妖精ぃぃぃ!!」
『ヒィィィィッ!? なんか知らないけどゴメンなさいィィ!!』
ふっざけんなよ何が悲しくて女キャラでゲームをしなきゃいけねえんだ!! GMコールだGMコール!!
俺は迷わずGMコールのボタンを押した。
すると、設定中の画面でも可能なようで、『どうされましたか』という声が聞こえてきた。
「ちょっと!! 俺、男なんですけど! なんで女なんですかこれ!」
『えっと……マツリさんですよね。大変申し訳ございません。もし良ければ、最初から設定し直すこともできますが──されますか?』
「はい! お願いします!!」俺は迷わず承諾した。すると、電脳空間に流れていた音楽が止まり、目の前が真っ暗になった。
──が、数秒後にまたさっきの電脳空間に戻った。
『はい。これで初期化完了しました。また何かあればご連絡下さい』という声を最後に、GMさんの声が聞こえなくなった。
『ヴァリアスワールド・オンラインにようこそ! 私はナビゲーターの妖精(ry
【再度設定中……】
『マツリさんですね! では次に、あなたの身体をスキャンします!』
タビィがそう言うと、またスキャンが開始された。今度こそ頼むぞ……と俺が祈っていると、あっという間に完了した。
《身体のスキャンを完了しました》
そして表示された身体は──女性だった。
「なんでだあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
今度はようやくゲームに入れました……初期設定だけど。
初めてL〇NE風に綾乃とのやり取りを書きましたけど、変なところはなかったですかね……?
※21/6/14追記: L〇NE風をやめてPCの方や縦書きの方にも読みやすいように変えました。絵文字も取り払ったので縦書きの方でも読みやすくなったと思います。配慮にかけていてすみませんでした。
三話もたくさんの方に読んで頂き、また評価していただいて、本当にありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いいたします!