救世主が現れた!
前回のあらすじ
店員「十三万七千円でーす」
祷「嘘だッ!!」
金が……足りない……だと……
どんだけ高いんだよ……
これじゃあ綾乃さんに「えっ、お金が無いから一緒に出来ないの……? 祷くん大っ嫌い!!」って言われちゃうよ……!!
嫌だッ! そんなのは絶対に嫌だッ!
俺はお前ら(機械を開発した会社)を許さねぇ……!
お前らが微妙に高い値段設定にしたせいで俺と綾乃さんが別れたら責任取れんのか……ア゛ァ゛ン!? (ちょっと凄みをきかせて)
第一さ、別れた理由が金が無くてゲーム機を買えませんでした、って悲しすぎね!? 俺もう立ち直れないよ!?
「はぁ……」
俺が頭の中で泣きたくなるようなことを考えていたら、自然とため息が漏れてしまった。
やけに静かだったので辺りを見回してみると、レジの店員さんも、他のお客さんも皆が俺の事を哀れな人を見るような目で見ていた。
どうやら負のオーラが漏れ出てしまっていたらしい。
視界の隅に何か動くものが見えたのでそちらを向いてみると、コツコツコツ、という軽快な音を鳴らしながら俺の方に歩いてくる男の人がいた。
そしてその男の人は俺の肩に手を乗せて、「君、お金ないの?」と聞いてきた。
恥ずかしながら図星だったのでコクリ、と頷くと、
その男の人が持っていた鞄の中にゴソゴソと手を突っ込み──中から三万円ほど出した。
そしてその金を俺に
「ほら、これで足りるかね?──金だけに」と聞きながら渡してきた。後半部分は聞かなかったことにしておく。
反射的に「いやいやいや、受け取れないです」と言ったが、その男の人は「いや、良いって」と言いながら金を俺に押し当ててきた。
ここで押し問答をしても埒が明かないと思ったので、
俺は受け取り、その金を足して支払った。
そして背後に「ありがとうございましたー」という店員さんの声を聴きながら、俺はさっきの男の人と一緒に店を出た。
はっきり言うぞ、実は俺、金を出された時、
救世主やぁ……って思ったのね? なんかもう後光が差してんのが見えたもん。
でもさ? すぐにそこで受け取ったらなんか感じ悪いじゃん? だから数回押し問答をしてから渋々受け取ったのね? 渋々。
それよりも! 彼のおかげで俺と綾乃さんの別れの危機が去ったんですよ……!もうこれ本物の救世主ですよね!? 一生この男の人に足向けて寝れないわぁ……
閑話休題
「さっきはありがとうございました」
そう言って俺は直角に体を曲げて礼をする。
しかし男性は「良いって良いって」と手をひらひらとさせながら言ってくる。
どうやら本当になんとも思っていないようで、俺は普通の体勢に戻った。
「俺──僕は本橋祷です。見た目で分かると思いますが、学生です」
俺がそう名乗ると、彼は「無理しなくていいから」と普段の言葉使いで話すよう勧めた。ただ年上の人にタメ口で話すのは気が進まないので、敬語だけ使う事にする。
「僕は近藤周佑。一応社会人で、今は会社勤めをしてるんだ」
やっぱり社会人か。でも何故こんな時間にあんな所にいたんだろうか。ハッ! もしかして会社勤めという事にしているニート……? でもそれにしては結構ちゃんとした服装だしな……。本人に聞いてみるか。
「ところで、近藤さんは何故こんな時間にゲースデンキに居たんですか?」
俺が聞くと、少し困った様な顔をしてからまあいいか、とでも言いたげな顔をしてこう言った。
「実は僕、FutureWingsの営業やってるんだ。それで、あの店に居たらたまたま君がうちの会社のゲーム機を持ってレジのところでシュンとしてるのが見えて、折角楽しいゲームだから遊んでもらいたいな、って思った、って所かな」
なんと、先程俺が許さねぇ……! とか考えてた企業じゃないですか……。やべぇ消される。この事は墓場まで持っていかなければ……!
FutureWingsはこのゲーム機とヴァリアスワールド・オンラインを生み出した会社そのものだ。
その他にはゲームというより医療系の物を多く取り扱っており、FutureWings《未来への翼》って名前の通り様々な新しい物を作っては世に衝撃を走らせている。
閑話休題
それにしてもいい人だなぁ……だってただの他人に三万円もヒョイっと渡してくれるんですよ……?
正直言ってこの人将来怪しい人から壺買わされたりしそうに思えてならないんだが。ちょっと警告しておこう。
「あの、嬉しいんですけど将来近藤さんが壺買わされたりしそうでちょっと心配になりました」
「ああ、壺なら五回くらい買ったよ?家にあるけど。ほら、これ」
そう言って近藤さんは写真を見せてきた。
もう五回も買わさせられてたのかよ!
この人絶対他にもなんか──っておい、写真見る限り十個以上あるじゃねえか!
それに全部遊〇王の強〇な壺のデザインとそっくりじゃねえか……何が気に入って買ったんだよ。
「あ、そうだ壺以外にもね──」
──約一時間後──
疲れた……。もうヤダこの人、なんでこんなに詐欺られてんのってレベルだわ。一周回ってもうお得意様じゃねぇか。
ちっちゃい子が遊ぶようなプラスチックでできた宝石もあったし、見るからにパチモンの某猫型ロボットのタオルもあったし──しかもあからさまにプレミア版! とかってタオルに書いてあんの。マジックで。
閑話休題
最後の方は「はい、へぇ、大変でしたね」の言葉を適当に発するだけのロボットと化していた俺だったが、彼の詐欺られコレクションを身終わったあと、周佑さんは俺に「そうだ。僕もヴァリアスワールド・オンラインはやっているから、今日の九時に最初の街の噴水広場で会おうよ。PNはスケ。約束だよー!」と言って去っていった。
強引に約束を取り付けられてしまった俺だったが、
案外こう言うのも悪くないかもな、と思いながら家に帰った。
ど、どうしてゲームまで入れなかったのだ……(理由は知っている茶番ry)
次からゲームが主体となりますので絶対にゲームに入ります。
二話もたくさんの方に読んで頂き、評価していただいて、本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願い致します!