表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/32

《レイドクエスト: 千年木の森を守護せよ》その2

非常に遅れました。すみませんでした。

今回は最初からマツリ視点です。


前回のあらすじ


レイドクエストが始まった。

「《イリュージョントランプ》……」

クラウがボソッとそう口にした瞬間、トランプが虚空からミ=ゴを囲むように現れる。




「そ〜〜れっ!」

それを見たクラウがニヤリと笑ってから右手を左下に振り下ろすと、連動してトランプがミ=ゴに向かう。


ザクッというトランプらしからぬ音を出してミ=ゴの身体に傷が入れたトランプは、そのままの勢いで左下に落ちて行く。


『─────ッ!!!』

ミ=ゴは初めて空気がピリピリと震えるような声量で絶叫を上げた。


「ほらほらッ! まだまだ行くよーーッ!!」

踊るように身体全体を動かすクラウに合わせ、トランプが上、下、斜め、右、左、と縦横無尽に全方位から襲いかかる。


「凄い……」

誰かがそう零す。だがそれを止めるものは居なかった。



──皆がそう思わざるを得なかったから。



「次、行くよッ!!」

いきなりトランプでの攻撃をやめ、クラウは豆粒サイズの何かが大量に着いた物を取り出し、ミ=ゴに向かって行った。


『───────!!』

ミ=ゴはその様子を見て好機と捉えたのか、攻撃に転じる。



「案外大したこと無いものなんだね〜。レイドって言うから期待したのに……」その攻撃を全く気に止めずに──逆に残念だと言わんばかりに溜め息をつきながらミ=ゴに近づいて行く。


「あ、そうだ」何やら面白い事でも思いついたのかニンマリと笑みを深めながらクラウがそう言った。



「乙音さんとスケさんの班でコイツの気をちょっとだけ引いてもらってもいい? そうして貰えたら直ぐに倒せると思うんだけどー!」


「了解! 正直出番無いと思ってたから助かる!」それにスケさんが嬉々とした表情で返す。


「私もこのまま終わるんちゃうかと思ってたから嬉しいわぁ……」乙音さんもおっとりとしながらも少し弾んだ声色でそう返す。


「ありがとうね!! じゃあよろしく、っと!」クラウはそうとだけ言うと跳ねるようにミ=ゴに向かっていく。


「──今、この者を永遠の枷より解き放て! 上位(ハイ)重量(ウエイト)操作(オペレーション)・ゼロ!!」どうやら先程のやり取りを見ていたらしい焼き鳥さんが詠唱を終え、スケさんに強化版の重量魔法をかけた。


「ありがたい! 気を引けば良いだけだよね……《敵愾心誘導》! スケ班、乙音さん班は僕が気を引いている間にクラウさんの準備が整うまで叩いて!」感謝を述べたスケさんはなんの躊躇いもなく敵愾心誘導を使った。


その瞬間、ミ=ゴがスケさんの方を振り向いて、攻撃を始めた。


「スケさん、自分だけ目立とうなんてズルいわぁ……《桜花絢爛・満開》」俺には何がズルいのか分からなかったが──まあ分かりたくないけど──乙音さんがそう言うと満開の桜の木が出現した。


その後ろに大きな扇子を持って立つ乙音さんの姿が。


「ほれほれほれ!! 散り行く姿も絶景なんよぉ!」

そう言いながら扇子を扇ぐように振り、花びらを落として行く乙音さん。

少しずつその落ちた花びらが渦を巻くように集まって行き、やがて大きな竜巻になった。


「そらっ!」

最後に一押し、とばかりに乙音さんが大きく扇いだその時、ミ=ゴにその竜巻から吹雪のように桜の花びらが降り注ぐ。


「長くは持たんけど、ちょっとならこれで稼げるんとちゃうかぁ……。 後は頼んだよぉ、班の皆さん」

どうやらこの桜吹雪を維持する為にその場から動けないらしく、乙音さんがそう言った。


その様子を見ていると、乙音さんに近づく何かが視界の端に映った。多分乙音さんを狙ったモンスターだろう。


気がつくと俺は指を拳銃の形にし、その何かに向けていた。



片目を瞑って右目で距離を測り──




「──間に合えっ……《泥弾丸》ッ!!」


拳銃の形にした右手の人差し指の指先から魔法を展開し、発射した。


ビュン、という空気を切る音が耳に響いたと思えば、泥の弾丸は何かに当たり──それに穴を開けてなお、勢いが落ちること無く飛び続けていた。



「……は?」

え? あれ泥だよね? モノホンの銃弾じゃ無いよね? って事は俺はあんな物を発射してくる奴と戦ってたって事だな。 ……馬鹿かな?


「マツリ司令官ありがとう。助かったわぁ……」呆然としている俺を後目に、乙音さんが感謝を述べてくる。


「え、あぁ……いえ……」ちょっと効けば良いな程度で 撃った物で倒せちゃいましたなんて言えない……。とか思っていると曖昧な返事をしてしまった。


「お待たせ! 気を引いてくれて助かったよ!」俺が勝手に気まずくなっていると、クラウがそう言って、指をパチンと鳴らし──


「《連鎖爆発チェイン・エクスプロージョン》!」


とてつもない轟音を立てながらミ=ゴの周りを覆っている先程クラウが持っていた豆粒サイズの何かが一気に爆発した。


その衝撃は、こちらにまで飛んできて辺りが一瞬で煙に覆われた。これは流石のミ=ゴも駄目だろうと思いつつも、言わない。縁起悪いからな。



「やったか!?」


おい誰だ、今すぐ口を閉じろ!!



────────────────────────


部隊長


サルトビ班:斥候兼攻撃

アヤ班:斥候兼攻撃

スケ班:防御

焼き鳥班:支援兼後方攻撃

クラウ班:前線攻撃

ヒュン・タマーガー班:撹乱

ケイル班:物資支援

ゴリラッパ班:解析

テリテラ班:司令官防衛

乙音班:陽動


司令官


マツリ:情報伝達

クラウさんがつよつよな回でした。


レイドクエストは次回で終わらせる予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ