機械ってこんなに高いんですね
綾乃さんからおうけぇい貰いましたァァァ!
ひゃっふぅぅぅぅ〜!
……はい。
綾乃さんはこの後部活ということで俺は一人で帰ることになった。なんでも剣道部に入っているらしく、今日帰宅時間は8時頃になるだろうとの事。
ちなみに関係無いが俺は『帰宅部』に入ってるんだ。
ここで言う帰宅部は、部活に属していないという事ではなく、『帰宅部という名の部活』の事になる。
「部活に入ってないやつってさ、他のやつより勉強できないとおかしくね?」
という非情な教師の一言によってうちの学校は四、五年前から急に非部活所属者のテストへの評価が厳しくなったそうだ。
だがいつの時代も人間は知恵と勇気を振り絞って困難を乗り越えてきたものだ。
ある男子生徒が「帰宅部とか作ったらいいんじゃね?」と言い出し、それに賛同した者が集まった。それが、『帰宅部』である。
ちなみに帰宅部の活動内容は毎週水曜日、校門前に集まり、よーいドンで一斉に走り出し、どれだけ速く家に帰ることができるかを競う、という物だったのだが、部員が多すぎるため通行の邪魔だ、と苦情の嵐。
その為、特例として活動内容は無し。
そのかわり、文化祭でパシリの如く扱き使われることになった。まあ妥当の措置だろう。
この事があったのが俺が帰宅部に入ろうと思った理由になる。実はあまり声を大にして言えることでは無いのだが……俺は運動がからっきしで、50メートル走も9~10秒台を行ったり来たりしている。
だから文化部に入ろうかと思ったのだが、1度体験入部に行った時にあまり運動部と変わらなかったので活動が文化祭のみになる帰宅部に入る事にした、という訳だ。
それにしても考えてみてくれよ。歩いてたらさ、急に目の前から大量の人間がやってくるんだぜ? しかも皆必死だから叫んでんのよ──発狂に近い感じで。怖くね?
はい閑話休題
俺は今、ルンルン気分でスキップをしながら家電量販店、ゲースデンキに向かっている。傍から見たらヤバいやつだろうが許せ。
だって綾乃さんと一緒にゲームだぜ!? 現実でもゲームの中でも一緒!
最高じゃないか……! 何だこの天国は……!
今までモブモブ言われ続けた俺にとうとう運が回ってきた……!!
今ならなんでも出来る気がする……!
……いや、さすがに何でもは無理だな、うん。
家に帰り速攻で金色の豚くんをかち割ってその中のありったけを握りしめて今に至る。
小学生の頃からずっと貯金し続け、もはや俺の部屋の一部と化していた金色の豚くんだったが、俺は容赦はしなかった。一思いにハンマーでドンとやってやった。そうしたら中から10万円とちょっとが出てきたので、それに今持っている小遣いを合わせれば11万円程なので、多分足りるだろう。
いや〜小学生の時に貰ったお年玉を母さんに預けなくて正解だったね!
「お母さんが預かるわ。だって子供のうちからこんなに持っててもいい事ないでしょ? 将来の為よ」
とか言ってたけど俺見ちゃったんだよね〜!!
幼稚園の時に渡した俺のポチ袋から金を抜き取ってそ
の金でママ友と飯食ってんの見ちゃったんだわ〜!!
まあその後で軽く三時間ほど父さんも仲間に引き入れて問い詰めたら俺に1.5倍にして返してくれたし、今となっては嬉しい出来事だったんだけどな。
そうこうしているうちにゲースデンキに着いた。
そして店の中に入ると、いきなり目の前に高々と積み上げられた箱の山が目に入った。
そしてその横で販売員らしき人が立って「いかがですか〜」とか言いながらビラを配っている。
そう。この箱こそが俺の求めている物、ゲーム機本体にヴァリアスワールド・オンライン入りの限定セットだ。運のいいことにこの店ではまだ残っていたので──もう無くなった店が結構あるそうだ。すぐに一つ手にして会計待ちの列に並んだ。
「次の方どうぞ〜」という声が聞こえたので一番レジの人の所へ行く。
「これお願いします」と俺が言うと、
レジの人はピッという小気味良い音を鳴らしながらバーコードをスキャンする。
そして画面に値段が表示されるのだが……俺は言葉を失った。
「十三万七千円でーす」
「嘘だッ!!」
気がついたら叫んでしまっていた。
お久しぶりになりました。
結局ゲームには入れませんでした。何故だろうか……(茶番が多いのから目を背ける)
ゲースデンキです!「ゲ」です←ここ大事
そして一話をたくさんの方に評価していただいて、ここまで読んでいただけると思っていなかったので感謝しかないです!!
今後ともよろしくお願い致します!