三話:自己紹介と宿舎前編
私たちはレガリアの後をついてきた。さっきの物騒な話をせいか、落ち着かない。
「あの...レガリアさん...!」
「何だ?」
レガリアは歩きながら私に答える。
「オヴシディアって...知ってますか...?」
レガリアの顔が険しくなったように感じる。後ろ姿からでもわかるその姿は、いかにも恐ろしい存在であることを物語っているかのようだ。
「そいつについては...触れるようなやつではない。我々が手を出すものたちでは無いのだ」
「そうなんですね...」
とりあえず納得したように返事をした。私はオヴシディアというものが何者なのかが知りたかった。だが、今は人々の呼ぶ魔王たち、ルインを滅ぼさなければならないということは実感している。地球もユティクも、絶対に壊させはしない。
「よし、着いたぞ。ここだ。」
考え事をしていたら、宿屋に着いていた。よく見るととても良さげな場所だった。
「じゃあ私はここまでだな。また明日来るからよく休んでくれ」
「色々とありがとうございました」
私とレガリアのやり取りを聞いていた皆も頷いている。やがてレガリアは帰っていった。
「さ、みんな入ろう!」
私たちは宿屋の扉を開け、受付に向かった。
「話はレガリアさんに聞いております。あちらの大形室をご使用ください」
「はい」
受付に案内され、その部屋へ向かった。
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アーテルが鼻で笑っている。その先には、機械のような体をした生物が立っていた。
「イイゾ、アノ、レンゲトヤラヲ、サルウァトルカラ、オイダセタ。コレカラモ、キタイシテイル」
「ふ...笑わせるな。俺はただ自分のためにやっているだけだ。勘違いをするな」
「ナニヲ、イッテイル?オマエハ、モウワタシニ、シタガッタノダロウ?」
「蓮華を男を使って追い出しただけで、そんなことが言えるのか?考え方はやはり人間とは違うんだな」
「ワレワレヲ、ブジョクスルノカ。ナラバ、ワタシガココデオマエヲコロス...!シネ...!!!!」
アーテルは笑いながら機械のような生物の攻撃を俊敏に避ける。
「ヴィユールってのは、こんなにのろまなのか?決着の時だ」
「!?」
俊敏な動きで一瞬にして機械のような生物の首を掴み、手に持っていた短剣で切り裂いた。白い体液が溢れ出ていた。
「おい、次の目的が決まった」
アーテルは仲間に無線機で呼びかける。
「リーダー、何?」
「怪盗団の新しい目的は、ヴィユールのモノだ。次は、ヴィユールの持つ秘密を頂戴するッ!!」
アーテルは機械のような生物の死骸を足で踏みにじりながら叫んだ。その声は、静寂な夜の中に響き、まるで狼の遠吠えのようだった。
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私たちは、大きな和室を貸してもらった。
そして全員が座った後、少し経った後金弥が立ち上がってこう言った。
「まあ、なんだ。せっかくだからお互いを知っておくべきだと思うんだよね。その方が連携もとれるだろうし...自己紹介でもしませんか?」
金弥の提案にみんなは「いいと思います。」や「好きにしなさい。」などの意見が聞こえる。
「賛成だな?じゃあ俺の正面のあなたから時計回りで。」
そして私たちは自己紹介を始めた。
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とある空間で1人の女がこうつぶやいた。
「へえ、ディーツに15人ねぇ。」
とある筋肉質の男はこう言う。
「また300年前みたいになるのでは?」
「いいえ。そんなこと多分起きないと思うけど...」
「どうなさいました?アマツ様。」
アマツと呼ばれる女はこう答えた。
「いいえ。何でもないわ。でもあの子の力は借りた方がいいとおもっているの。」
「あの子って例の黒髪赤目の娘ですか?」
「ええ、その子よ。15人の中でも一番強い力を感じるからね。」
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まずは、金弥の正面の人から。
「はぁ~最初俺かよ。めんどくせーな・・・俺は大淀文哉・・・まぁよろしく。」
文哉は、面倒くさそうに言った。そして次。
「俺は足柄雷騎だ。あの王気に入らねぇけど魔王倒さないと帰れねぇからなぁ。とっとと魔王ボコそうぜ。よろしく。」
「あれ?雷騎じゃん。」
「鋼翼、今更過ぎるぞ。」
「マジで!全然気付かなかった。」
「鋼翼、一体城で何してたの?」
私はジト目で質問したが、「いや、いくら位価値があるか考えてた。」と目を泳がせて答えた。
私たちのやり取りを見て大半が笑ってる。
とは言え流石は雷騎らしい考え方だ。
「次の人お願いします。」
「私は・・・ベル・ジャベリンです。よろしく・・です。」
恥ずかしそうに言う彼女が可愛いらしくみえた。
「俺は如月勝斗。よろしく。」
後編に続く。