第3話 『病の村』
カーテンの隙間から差した光で眼が覚めると何やら騒がしい声が聞こえてきた。
部屋を出ると村長を囲んで村人数人が険しい顔をしていた。
「おはようございます。どうかしたんですか?」
場の空気を読んであくびを必死に堪えながら質問する光。
「今度は村長の子供が病にかかったか…」
村人の1人が弱々しく呟いた。
「病?この村に医者はいないんですか?」
そう答える光の肩をポンと叩きランは答えた
「この村の医者も病にかかってな…この間亡くなったよ。治療できないんだ。村長の子供も合わせて病にかかったのは15人目だよ。」悲しい顔をするランを見てサーニャの薬草を思い出す。
「それでサーニャは薬草を取りに森へ…?どうにか治す薬は作れないのか?」
ランは苦笑いをすると
「俺の母ちゃんも病にかかってな。病にかかった者は10日で生き絶えてしまう。恐ろしい病だよ…。明日には母ちゃんも…」
その続きの言葉は聞かなくても分かった。
「森の洞窟にある秘薬があれば治るかも知れん。だが森は魔物で溢れている…。恐らく魔物が病の元凶だろう。それに魔物達は森の洞窟を拠点にしているようなのじゃよ…」村長が残念そうに呟いた。
村人全員が黙り込んだその時
「俺が取りに行く。」
そう言ってランが立ち上がると再び僕に熱い視線を向けてきた。
やれやれと察した光は
「僕も手伝います。」
と立ち上がり言った。
「本当に行くのか…?」
険しい顔で2人を見つめる村長。
2人は頷くと暫く沈黙が続いた。
暫くすると村長は部屋の奥に姿を消し、布に包まれた何かを持って帰ってきた。
「これは村に伝わる魔を断ち切る剣。退魔剣じゃ。光君…これを持っていきなさい。」
村長に渡された剣は少し重く、それと同時に村の為に魔物と戦う事の責任の重さも感じた。
「ありがとうございます。必ず秘薬を持ち帰ります。」
秘薬を持ち帰る決心した後、村長の家を出た。
森に向かう途中
「そういえば…ランの種族ってエルフなのか?」
ずっと疑問だったことを思い切って聞いてみた。
「ええ!?今更かよ?この緑色の瞳…サラサラの金髪…そしてこの少し尖った耳…!どう見てもエルフだろ??」自慢気に語るラン。
「へぇー!エルフって初めて見たよ!ところでランは武器も無いのに戦えるのか?」
「リアクション薄いな…。ああ、俺は風魔法が使えるから大丈夫だ!ちなみに遠距離攻撃が得意なんだぜ?」一瞬寂しそうな顔を見せたが直ぐにドヤ顔に戻った。
「とにかく、それなら心配はいらないね!行こうか。」
村長から魔法の話聞きそびれてたからな…帰ったら聞かせて貰わないとな。。
この時、光とランは気付いていなかった。
この病の元凶が魔物では無いことに。