18 郵便物
「ゲー!」
ブッコの兄、茄子男は家に帰って来た。しかし家には入れなかった。
「茄子男!」
「母さん、これはいったい!?」
「知らないわよ!」
家の前に、渋谷郵便局の郵便屋さんが、お届け物の段ボール箱家よりも高く積んでいる。
「すべて、ブッコ宛だ・・・。」
そうこの段ボールの山は、渋谷EEGgamesで、ブッコの109特製レアな着ぐるみパジャマ「うさピョン」のオシャレな最新流行ファッションで身を包んだ、ゲームの戦闘姿を見た、業者から、「うちの服も来てください!」「うちと契約してください!」という意味のこもった、コートや帽子の贈り物であった。
「住所がバレているんだ・・・。」
ネット時代、芸能人や一躍有名人になった人間が、どこに住んでいるのかは、ネットを検索すれば、全て出るのだ。SNSで拡散するので止めようがない。犯人は、隣のおばちゃんかもしれない。そういう時代になってしまった。
「うわぁ・・・、とりあえず、受け取り拒否! 全部、持って帰ってください!」
「え? え~!!!」
さすが、兄のナスビは、警視庁サイバー犯罪対策高校の生徒。ネット社会にも詳しく、正しい判断である。かわいそうな郵便宅配の人達。そんな時、たこ焼きを食べながら、妹と妹友が帰って来た。
「お兄ちゃん~♪」
「チェリーちゃん~♪」
「ただいま~♪」
「ただいまじゃない!」
「これなに?」
「おまえにスポンサー希望らしい。」
「ブブブ!」
「ブブブ!」
「なんだ?」
「ブッコは、109と正式契約しました。」
「ナゴンも、正式契約しました。」
「なんだと!?」
「お給料も、もらえます~♪」
「ギャラだと!?」
「うさピョンに、人参を買いに行くんだ~♪」
「スタバでキャラメルマキアートを飲むんだ~♪」
「わ~い~♪ わ~い~♪」
「いいな・・・正式契約・・・。」
踊る妹と妹友に、嫉妬を通り越し、悲壮感すら漂う兄でした。ちなみに明日には、ナゴンの家に下着メーカーから、大量の下着が送られてくる。段ボール箱を引き取って帰ろうとする、宅配屋さんが忘れ物に気がついた。
「あ、忘れてた。すいません、速達です、サイン書いて。」
「は~い~♪ 人生で初めてのサインだよ~♪」
「ブッコちゃん、ファイト~♪」
「おまえら・・・ただの郵便物の受領印だぞ・・・。」
「書けた~♪」
「さすが、ブッコちゃん~♪」
「やった~♪ 着ぐるみパジャマのゲームマスターのサイン、もらったぞ!!!」
1番、喜んでいたのは、郵便屋さんだった。
「どこからの手紙だ?」
「ほい~♪」
「投げるな!」
「チェリーちゃん~♪ ナイスキャッチ~♪」
「たく・・・、ん!? これは、松濤財団!?」
松濤財団とは、唯一の脳波ゲーム「渋谷EEGgames」の開発もとであった。
「わ~い~♪ わ~い~♪」
「今度、わ~い~♪ ダンスを作ろうよ~♪」
「エンディングで踊るんだ~♪ 大うけ間違いなしだね~♪」
「キャハハハハ~♪」
2人は、まったく手紙には興味が無かった。
つづく。




