最強勇者VS騎士長キール
久しぶりに更新です。
騎士達一行が見守る中、ジークと騎士長(仮)男が向かい会う。
「ルールの確認だ。まず勝敗は、相手のどちらかが気絶、降参、死亡するまで、武器、魔法、の使用可。逃げる事は許されない、逃げた場合、奴隷へと階級落ちする。また、他者が手出しした場合、手出しした者は奴隷へと階級落ちする。そして最後に神にこのルールで正々堂々闘う事を必ず誓う。……これでいいな?」
ジークがそう最終確認をする。
「あぁいいだろ。」
そう騎士長(仮)は答え。誓いを立てる。
「臆病者の勇者。では、我、王家第6騎士団騎士長キール・アクロスは、ルールに乗っとり正々堂々闘う事を神ザビエルに誓う。」
次にジークも誓う。
「俺、勇者ジークは、ルールに乗っとり正々堂々闘う事を神ゼウスに誓う。」
神への誓いが終わると、二人は10m程離れた位置で向かい合う。そして、審判役の騎士が出てきてコインを出す。
「コインが落ちたら同時に決闘を開始する事。両者いいな?」
審判役が確認する。それに対して二人とも頷く。それを見て審判役の騎士が、決闘開始の合図をする。
「では、今から騎士長キールと勇者ジークの決闘を開始する。……始め!」
そして、コインが弾かれる。
コインは7回程空中で回り、音を立てて地面に付く。同時に両者が動く。まず、先手攻撃を仕掛けて来たのはキール。自慢の家宝の槍を持ち、凄いスピードでジークの方へ走ってくる。それに対してジークは魔法を唱える。
「風よ、我が命に従いて、敵の進行を阻止せよ。風の力!」
唱え終わると同時にキールに強風が吹きつける。それによりキールの進行速度が一気に遅くなり、しまいにはその場に踏ん張るのが限界となる。
「っ……」
そんな感じでキールが動けなくなっている間にさらに魔法を唱える。
「火よ、我が命に従いて敵を消えなき炎を吐く火鳥となりて燃やしたまえ。創造の不死鳥!」
すると、ジークの前に10年前にジークが使っていた不死鳥に凄く似た鳥が現れる。違いがあるとすれば、その存在の放つ雰囲気だけ、10年前の不死鳥は凄い威圧感を放っていたのに対し、今回のは、まがまがしい魔法程のオーラを放っていると言う点だけだった。そしてその不死鳥は、キールの所まで飛んで行き、キールの鎧に火を吐く。普通なら鎧は燃えないのだが、その火は鎧を確実に燃やしている。その光景に見守っていた騎士達は、唖然として固まっていた。しかし、ある声により金縛りが解けたように動きだす。その声とは……
「リ、リザインだ。早くこの炎を消してくれ!頼む、バカにした事も、家を燃やした事も全て謝るからこの炎を消してくれ!こ、このままじゃ死んでしまう!」
その声とは、キールの情けない泣き声に近い叫び声だった。その声を聞き騎士達の中で水魔法を使える者が急いで水をかける。
しかし、火は消えない。
「え?そ、そんな馬鹿な!どうなっている!」
水を掛けた騎士が慌てる。
「は、早くしろ!このままでは……お前、いや、勇者ジーク様。どうかこの炎をお消しになられて下さい。お願いします。」
キールはジークに懇願する。しかしジークは微笑を浮かべながら言う。
「は?何で俺がそんな面倒な事しなきゃいけない?普通に鎧を脱げばいいだろう?それとも、大事なご主人様の呪いか?」
「っ……」
そう、ジークの言う通り王の方針で逃げ出さないために敵地では鎧は脱げないようにされていた。
ジークはその反応に対して、つまらなそうな顔をすると、騎士達に背を向け、不死鳥を連れてそのまま歩きだし、森の奥の方へ行ってしまった。それを見てキール達が呼び止めようとするが聞かなかった。その後キールは死んだ。そして、騎士達はこの事を知らせるべく大急ぎで王都へと帰っていった。
その光景を木の影から見ている者が居た。それはキールを殺した本人。ジークだった。しかし、その目はさっきまでのふざけてるような目ではなく、何処か真剣な目だった。そして、騎士達が行ったのを見ると、木から出てきて魔法を唱えた。
「水よ、我に従いて、消えなき火を聖水により消したまえ。聖なる水」
すると、さっきまで消えなかったのが嘘のように簡単に炎は消えた。その消えたのを確認すると、ジークは空を見上げて呟いた。
「王よ、貴方は今この瞬間何を考えている?……」
その呟いきに答える者は居ない。
「異世界で唯一の影属性」は10/3投稿の予定です。「元神童の異世界開拓記」は10/4の予定です。