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『……よし、きちんと皆スキルは選んだみたいだね。情報の共有は後にして、次は加護/呪いを選んでもらうよ』
『その前に加護と呪いの違いを説明するよ。加護はデメリットがない代わりにメリットも少なく、呪いはデメリットがある代わりに多くのメリットがある』
『特に自分にあった属性の呪いは相当な破壊力を有するようになるよ。ただし、さっきも言ったけどデメリットもあるから、よく考えて選んでね』
『……君たちには驚かされるね。まさか全員が呪いを選ぶなんて』
『まぁいいや、ここまでは特典。ここからはサービスだ』
『異世界では間違いなく、君たちは人を殺す事になるよ。だからまずは、人殺しの忌避感を一時的に無くさせてもらう』
『君たちがもし還ることになったら、忌避感をもう一度植え付けるから安心してほしい。また、異世界で意思疏通ができないってこともないように手配する』
『君たち8人の中で連絡を取り合うことも、その端末でできるし、いざとなったら地図…というよりGPSの役割もあるよ。また、君たちにはまだ開化していない才能がある』『英雄として生きる上で必要不可欠なものだけど、必ず開化するから安心して。それじゃあ最後に僕から一言』
『君たちが新しい風を吹き込んでくれることを願っているよ。異世界へようこそ』
その言葉と同時、弥たち8人の足元が開いた。
そして、彼らがいなくなる直前。
『まぁ君たちが還ろうとするかどうかはわからないけど、せいぜい僕の暇潰しに付き合ってくれよ?』
人のわかりやすい特徴を全部ごちゃ混ぜにしたような男がその穴の淵に立った。
「英雄殿!!どうか我らに力をお貸しくだされ!!」
所は変わり、玉座の置かれた部屋。
そこで俺らは、この国の副宰相、という人から頭を下げられていた。
「えぇと、どういうことかまず説明してくれへん?何がなんやらようわからへんし」
綺羅が事情を聞いている。
それによると
・この世界では多くの国が覇権を求めて争っているらしい
・この国は所謂弱小国で、存亡の危機に瀕しているらしい
・この国を他国から守ってほしい
・戦争もあるが、軍事態は弱くはないから、突出した個として動いてほしい
・この国が、東と南の大国と同盟を結び、安全を確保できればいいらしい
・同盟を結んだ後、各国の精鋭が集まる大会の場で奮戦し、他国になめられないようにしてほしい
とのことらしい。
正直、他力本願とかふざけるな、と言いたいが仕方ない。
まずはこの国の事情を解決しなければ還ることはできなそうだし。
それに、この国がなくなったときの俺らの扱いも不透明だしな。