001
どうも、太田唯です。
リハビリがてら、異世界ものを書いていこうかな、と思います。
更新は不定期、気の赴くままに書いていきます。
毎度苦労する冒頭部分とタイトル付け。
四作目でも慣れません。
「…………んぁ…?」
白で埋め尽くされた場所で彼は目覚めた。
「確か俺は……あぁ、仕事の休憩中に仮眠をとっていた……はず……だよな…?」
ふらふらと立ち上がり、頭をかく。
「……ここは…?」
『まぁまっすぐ歩いてきてよ、君待ちなんだから』
「っ!?何…誰だ!?」
彼は戸惑いながら辺りを見渡す。
『無駄無駄。さっきも言った通り、君待ちなんだ、動かないなら動かすよ』
まるでマリオネットのように、彼は何かに引っ張られていく。
「ちょ、なん、は!?」
『ようこそ、高瀬弥君。ここは異世界への旅立ちの地だ』
そこには、弥の他に七人の人影があった。
背の高い影が一人、同じくらいの影が三人、少し小さいのが一人、それより小さいのが二人。
「訳わかんねぇよ…」
『だろうね。君たちには、ある異世界に行ってもらう。あぁ、拒否権はないよ』
その言葉に、弥だけでなく、七人の人影も目に見えて狼狽えた。
『そんなに焦んないでよ。もちろん、還る方法は用意してあるからね』
さて、と何かは話を仕切り直した。
『ただ行かせただけじゃあ、君たちじゃすぐに死んでしまう。それくらい厳しい世界に君たちは行かなければならない』
『だけど安心してほしい。ここにいる8人は、互いをよく知り合っているし、僕からも特典をちゃんとつけるから』
『まずは自己紹介でもしたらどうだい?ここでは時間は正しく無限だよ』
『と言いたいところだけど、僕もそんなに暇じゃあないからね。悪いけどさっさと僕のやることを終わらせたい』
『と言うわけで君たちにはまず特典を選んでもらう。ゲームを全くやらない人はいないだろうけれど、ちゃんと説明するからよく聞いてね』
『君たちのステータスは、地球においての値から、凡そ10倍になる予定だ。これは君たちの行く異世界でもトップレベルの水準に当たるよ、たとえ一番低いステータスであっても』
『ステータス以外にも、スキルと加護/呪い、武器の三つの点で君たちは特典を選ぶ必要がある。まずは武器からいこうか』
『君たちは異世界で英雄になることが運命付けられている、悪いけど諦めてね。そしてやはり英雄にはそれ相応の武器が必要だ』
『だから君たちは自分の使いたい武器を選んでくれ。別に使えない武器でも構わないよ』
『武器の使える使えないはスキルでなんとかなるからね。もちろん、使いなれたものがよければそれでもいいし、その場合はスキルは必要ないよ』
『とと、その前に君たちにはこの端末を渡さなきゃあね。これは無くせないものだよ、呪いがかかっている』
『なぁに、そんなに怖いものじゃない。無くしたと持ち主が認識したときに持ち主の上着のポケットに転移する、てだけのつまらないものさ』
『さて、その端末で自分の使いたい武器を選ぶんだ。後がつっかえてるから早くしてね』
『うん、全員選んだみたいだね。じゃあ君たちが選んだ武器を持ってくるからちょっとお互いに自己紹介でもしてて』
その声に、彼らは困惑しつつも互いを向き合う。
「……とりあえず、名前を尋ねる前に名乗るのが礼儀だよな。高瀬弥だ。安岐城高校文系進学コース卒業、今は田舎で公務員をやってる」
「……え、高瀬大学落ちたのか?俺は徒堀。徒堀太一だ。高瀬と同じ安岐城高校文系の就職コース卒業で音楽系の専門学校に通ってる」
「…………一宮和也。安岐城高校理系進学コース卒業、安岐東大学工学学科の生徒だ」
「……和もいるとはさすがに予想外かなぁ。僕は唐沢林檎。安岐城高校文系進学コース卒業、今は和と同じ安岐東大学の人文学科の生徒だよ」
「なんともまぁよく知る面子だこと。唐沢柚よ。林檎と全く同じだから高校、大学は省くわ」
「私は支倉知己。安岐城…て、多分ここにいるのは高校は一緒じゃない?理系進学コース卒業、稲黎大学国際社会学科よ」
「どうもそんな感じよね…。ウチは蛇乃目綺羅。文就コースから家業を継いでやっとるわ」
「私も安岐城だから高校は全員一緒ね。氷塚桜よ。理進コース、稲黎大学教育学部生物学科ね」
「……………図ったようによく知る面子だな。カラオケ以後はあまり連絡を取ってなかったが、みんな元気そうだな」
「高瀬も大学落ちたゆうわりにえらい普通やん、落ち込んどらんかて柚心配しとったで?」
「お、まだ柚ちゃんは弥狙いなのか?懲りないねぇ…」
「徒堀うっさい!!綺羅も余計なこと言わないでよ!?」
「………相変わらずの騒がしさだな」
「どうしてこうも呑気なのかしらね…?」
「そうでもしなきゃやってられないってのが正解かもね」
『ふう、ようやく全部準備し終わりましたよ……。皆さん和気藹々としているなか申し訳ないけどシリアスな空気になってほしいな』
その一言が聞こえたとき、彼らの話し声はピタリと止んだ。
『さて、高瀬くんは短剣、徒堀くんは剣と盾、一宮くんは槍、林檎くんは杖、柚さんは弓、支倉さんは…御幣?誰だよこんなの作ったの…、蛇乃目さんは笛、氷塚さんは長剣、ね。はい、端末を確認してみて』
彼らが端末を確認すると、中に何か入っているのは確認できた。
『さて、じゃあ次はスキルだね。バカでもわかるから安心していいよ』
『端末のメニューをタップしてもらうと、スキルってところがあるからそこを開いてから話を進めるよ…、よし、全員開いたね。見ての通り君たちはスキルポイントを320所持している』
『スキルを一つ取るのにスキルポイントは1必要だ。そしてスキルにはレベルがある』
『取ったばかりはLv0。そしてさらに1ポイント使ってLv1になり、始めてスキルの意味を持つ』
『Lv2にはさらに2ポイントを、Lv3にはさらに4ポイントを、Lv4には8、そしてLv5には16、さらに必要だ。そしてスキルは1で初心者、2で見習い3で中級者4で天才5で神業、それ以上は存在しないよ』
『一宮くんは気付いたみたいだね。そう、君たちのスキルポイントは、5を10個選べるのに丁度いい数だ』
『もちろん、5を10個選べって訳じゃない。どう使うかは君たちに任せるよ』
『僕のおすすめとしては4を15個、3を10個、ってところかな。なぜなら、向こうでもスキルポイントは手に入るし、向こうでスキルはレベルアップもするからね』
『さて、シンキングタイムだ。できる限り早くしてね、仕事が貯まっているんだ』