二度目の告白
「・・・もう別れましょう。さようなら」
「・・・」
うつむいたまま私は呟いた。
気配で彼が立ち去ったのが解った。
夏の暑い日だった・・・。
雲ひとつない澄んだ青空。
私はそれを、自分の部屋から見上げていた。
青空に真直ぐに飛行機が線を描いていく。
「あれに緋月は乗ってるのかなぁ・・・」
ため息混じりに私は呟いた。
緋月とは私の元彼。
国語の教科書見て「これ何語?」とふざけて言う人だったけど
大好きなサッカーをやっている時の目は真剣そのもの。
夢はサッカー選手。
いつも真直ぐそんな緋月が私は大好きだ。
・・・なのにどうして「元彼」となってしまったのかと言うと
・・・別れてしまったのかというと
簡単だ。
「彼の夢の重荷になりたくなかったから」だ
私がいるおかげで緋月が迷うような事になってはならない。
そう思ったからだ。
今日彼はドイツへ行ってしまう。
だから、暫くは会うことが出来ないのだ。
「頑張ってねーーー緋月ーーー」
近所迷惑というのを考えずに私は窓から身を乗り出して空に向かって思い切り叫んだ。
叫び終わった私は姿勢を戻した。
そして、ため息をつきつつ、呟いた
「届いたかなぁ。私の想い」
「ばっちり届いてるぞ。」
ハッとして私は再び身を乗り出して、家の門の方を見た。
そこにいたのは・・・
なんと今日ドイツへ行ったはずの緋月だった。
私は窓を閉め、階段を飛ぶようにして降りた。
そして、私は荒い息を整えつつドアを開けた。
「よお。久しぶりだな。沙耶」
驚いて突っ立っている私に緋月は笑顔で言った。
・・・誰かの悪戯かと思ったが、本人だった。
「緋月ってドイツ行ったんじゃなかったの?」
「ああ。それなら止めた。」
「はぁ?やめた?どうして?せっかくのチャンスだったのにさ?」
「だって・・・一人で夢なんて追いかけられない・・・ 沙耶がいてくれたから
・・・やってこれたんだ・・・俺にはお前が必要なんだ!!」
照れくさそうに・・・でも真直ぐに私を見て緋月は言った。
あの時と・・・いつもサッカーをやっているときみたいな真剣な瞳だった。
いつの間にか私の瞳からは涙が零れ落ちていた。
「えっ・・・ちょっと・・・どーして泣く?」
「・・・だって・・・バカ・・・夢捨ててどうすんのよ・・・」
色々、私は言いたいことがあったが緋月に抱きしめられたおかげで最後までいう事が出来なかった。
本当はもっと色々言いたかったけれど、懐かしい感触にそんな事はどうでも良くなってしまった。
「これから先、ずっと隣にいてくれる?」
耳元で囁かれた。
「はい」
私は緋月の問にしっかりと答えた。
そんな私達を太陽が優しく見守っていた・・・。
「・・・耶。沙耶」
「えっ・・・ああ。緋月か。どうした?」
私が我に帰ると、そこには呆れ顔の緋月が立っていた。
「お前。十時から担当の人と打ち合わせじゃなかったのか」
「あーーー。忘れてたーーー」
叫びながら、私は立ち上がった。
その拍子にイスが倒れた。
「じゃあ、行ってきまーーす」
私は、イスを直す事もせず、必要な書類諸々を持って、家を飛び出した。
そして、走って打ち合わせ場所に向かった。
夏のある日から、十年の月日が経って私達は大人になった。
あれから、お互いそれぞれの夢に向かって頑張っていた。
本当に緋月はサッカー選手となり、現在活躍している。
私は、そこそこ有名なライトノベル作家になった。
私が挫折しそうになった時は緋月が助けてくれて。
緋月が挫折しそうになった時は私が助けてあげた。
お互いに支えあってやってきた。
・・・そんな人と出会えたのは運命って言うのかな?
運命だと私は思いたい。
二ヶ月近くブランクがあったせいか、文章がおかしくなってしまいました。少し多めに見て下さい(笑)
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