告白
side 新川夢
「みなさん、夜どすえ。」
「なんで京都弁?」
「特に意味はない。」
「いや、意味は無いて……。」
「藤島様、つっこんだら負けよ。」
「慣れてますね。」
「基本お調子者なのよねぇ。」
「まるでお母さんみたいなのです。」
「これだから夢は。」
「ますますお母さんっぽくなったわね。」
「その人はお母さんではないよ。だって俺には、腹違いの異母妹が。」
「なんだってー。」
「ウソだけどな。」
「茶番はそこまででいいか?」
「おにく♪おにく♪」
「そうだ、浩太の言うとおり肉だ肉。」
「今まで異母妹だなんだといいてたのに変わり身が早いな。」
「とにかくは肉だ、圭介。俺たちが得られる肉は限られている。」
「あれ?どこかで聞いたことがあるぞ。」
「ナラバ喰ラエ。」
「あ、こっちもだ。」
「これは食事であっても遊びではない!!」
「そりゃあそうだ。」
「もっと肉を、食べてみたくはないか少年。」
「喰らう。」
目の前にはグツグツ煮える鍋が二つ。
俺たちの金で買える肉はひとり分に換算すれば多くはない。
そう、これは戦争だ。
肉を求める者どもの戦争が、今始まる。
「お肉は一人4枚までね。」
「「「ちくしょおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」」」
というわけで肉の限られた楽しいすき焼きでした。
結構おいしかったです。
……解せぬ。
side 新川真理
「まいど、夜やねん。」
「なんでゆめっちの真似なのよ?浩太。」
「えっと……、お二人共マリになんのようでしょう?」
「そうそう。真理ちゃんは、ゆめっちとリリーちゃんのこと、どう思う?」
「どう、って?」
「いい感じだとは思わな~い?」
「うーん。」
確かにあの二人、傍から見ていてじれったい。
ただ、直接いったところで、帰ってくるのは否定。
それも、焦った様子もないからわかりにくい。
だいたい、二人とも気がないとか言っておきながら、傍から見ればそういう風にしか見えない。
二人とも自覚がないからそれだけ周りを振り回す。
まあ、本人たちの自由だとは思うんだよ。
でも、なんだかんだで嫌いじゃないみたいだし、そうなるならなるところに収まったって感じだし……。
それでも、こういうことは本人達の気持ちが大切だと思いま――――。
「やりましょう。いえ、マリにもやらしてください。」
ごめんね、二人とも。
好奇心とおせっかいには勝てませんでした。
二人がじれったいのが悪いんだよ。
「で、浩太。言い出したからには何かいい案があるの?」
浩太さんの発案だったんですね。
「まずはじめに、おれたちが活動していることを二人に知られるかどうかについてだ。」
「ああ、確かにばれてしまったら行動しにくそうですもんね。」
「そうよね~、しかもあの二人。結構勘がいいし、鋭いのよね~。」
「そう、あの二人には気づかれないように行動するのが難しい。」
「うんうん。」
「だからこそ――――――――。」
side 新川夢
翌日 古宇坂南高校 SHL前
「おはよーっす。」
遊んだ日の翌日。
いつも通りの月曜日。
今日も平和な日になるといいな。
「おーっす、夢。」
「おっはよー!!ゆめっち。」
「おう、今日は一段とテンションが高いな。」
「まあな。ところで話は変わるが、今週末にまたどっか行かないか?」
「また行くのか?でも立て続けだと参加できないやつも増えるぞ、時間や金の問題で。」
「それはわかってる。だから今回はもっと小さい規模でやろうかなと思ってるんだ。」
「ってことは、少人数か?」
「そうなのよ。今のところ、メンバーは浩太、ゆめっち、リリーちゃん、真理ちゃん、私の5人かな。」
「まあ、俺は大丈夫かな。リリーは聞かないとわからん。」
「オーケー。それじゃあ適当に決めとくぜ。さすがにあまり余裕がないから、お金を使うことが少ないようにしておく。」
「有紀も決めるのだ。」
キャイキャイと二人で行くとこを話し合う。
なんかこう、見てると昨日の会話を思い出すな。
「昨日言われたことだけどさ。お前らの方が付き合ってんじゃないか?」
ホントに。クラスメイトから二人も言われていたが、こっちの方が目の前にいることが多い分印象に残りやすいんじゃね?
なんでこいつら付き合ってないんだろうな。
「うん、付き合ってるよ。」
「……。」
「…………。」
「……………………。」
「…………………………………………は?」
「はああああああぁぁぁっ!?」
「どうかした?」
「お前らがどうかしたよ!?えっ、何?いつの間に?」
「一気に聞きすぎだよう。もう少し順序良くいこう。」
「あ、ああ。…………なぜ付き合った。」
「その質問なんだ。」
「まあ、周りから言われて気づいたってのかな。」
「嫌いじゃなかったし、なんか……いつの間にか?」
「自然消滅ならぬ自然発生かよ……。」
「そんなことよりも、休日の予定を決めちゃおー!!」
「ああ……、放課後にな。」
「へ?なんで?」
「そりゃあ……。」
「ねぇねぇ、どっちが告白したのカナ?」「初デートは行った?」「どこまで行ったのA?B?」「おうおう、テメェいつの間においしい目にあってんだよ」「けしからん、詳しく話せ」「あーだ」「こーだ」「そーだ」「こーら」「さいだー」
「二人がそのクラスメイトの相手を終えたら、だ。」
「うきゃあああぁぁ!!忘れてたあああぁぁ!!」
「うお、ちょっ、まっ!!」
俺も経験してるからな。
そいつらの追及は厳しいぜ。
ご愁傷さま。(合掌)
放課後 下校時
「う~、ひどい目にあったのだ……。」
「いや、ホント……なめてたわ。」
「スルースキルが足りないからな。」
「わりとそつなくこなすゆめっちが羨ましい。」
「まあ、気を取り直して、と。」
「週末のことか?」
「そのとーり。いろいろ相談しようや。場所は……夢ん家で。」
「まあいいぞ。」
「やった~!!私、おやつ食べた~い。あっ、飲み物はコーラね、ゼロのやつ。」
「俺は緑茶。和菓子があれば最高。」
「くつろぐ気満々だなオイ。」
別にないわけではないから出せるっちゃ出せる。
まあ、別に慣れてるし構わない。
……ただ代金として、こいつらの話を根掘り葉掘り聞かせてもらうがな。
とどめ、ダメ押し、最後の一撃。
side リリー=アトウォーター
「で、今週末にまた行くというわけ。」
「そ。で、さっきまで二人がいたわけ。」
「予定は決まったの?」
「大雑把には。基本はウィンドウショッピングみたいだ。メンバーは俺、浩太、有紀、真理、リリーってとこだ。」
「じゃあ、また聞いてみるわ。週一での休みはここのところ取れそうだから、大丈夫だと思うわよ。」
「おっけ、決まりな。……あっ、そこの醤油とって。」
「はい。ドレッシング、次使う?」
「使う使う。」
「私おかわりとってくるわね。」
「真理の分は残しといて。」
「わかってるわかってる。」
今日の夕食も夢の家。
今週末はみんなと一緒にお買い物。
暮葉やミネット、アイリスへのお土産でも考えようかな。
side 新川夢
土曜日 AM8:27 集合場所
「まだかな……。」
「なかなか来ないわね。」
集合時間はAM8:30。
来ているのは俺とリリーの二人だけ。
残りの3人は遅れ気味だ。
ただ、二人はおちゃらけているが、時間にルーズなわけじゃない。
真理に関しては、時間に遅れることを想像すらできない。
「どうしたのかね。」
♪~♪♪~
「夢、ケータイなってるわよ。」
「おっと、メールだ。」
ピッ。
『浩太:今日は行けなくなっちた。有紀や真理ちゃんもな。というわけで二人でデート楽しんできやがれ。』
「………………。」
あのヤロウ……。
余計な御世話だっつうの!!
「どうしたの?」
「ああ……、3人ともこれないってさ。」
「急に?なにかあったの?」
「いや……、二人で遊んで来いってさ。」
「あ~、納得。」
そのままクスリとリリーは笑う。
俺たちにとってはいつも通りの勘違い。
たぶん、浩太と有紀。あと真理もかな。
そのメンバーで今回の場をセッティングしたんだろう。
やけに行く予定の場所がデートっぽいと思ったぜ。
ったく、二人ともくっついたからって余計な気を回さんでいいのに。
side 仲村浩太
「と、夢は思っている頃だろう。」
「ホントにばらしちゃうんだね。」
「まあ、今回の目的はばれないことじゃないからな。」
「もっと近くには寄らないんですか?」
「それはだめ。二人の勘の良さはやばいからな。距離はかなりとっとくべきだ。」
「だからと言って見えもしない場所じゃ意味がないでしょ?」
「そこはあの二人の几帳面さが頼りだ。予定通りに進んでくれれば見えなくともある程度はついていける。」
「マリも(電磁波で)サポートします。」
「真理ちゃんも勘がいいからな。頼りにしてるぜ。」
「まあ、これでばらしちゃったわけだけど。ホントにうまくいくのかな?」
「確実ではないが意識はさせやすいと思う。これでな。」
あの二人に対して、こそこそと事を進めるのは難しい。
だからこそ、あえてばらして「くっつけようとしてるんだぞー」と意識させる。
そうすれば、互いが互いを意識する。
二人とも、いい感じではあるからうまくいきやすいと思う。
まあ、今日明日でうまくいくとは思ってない。
長く、温かく、面白がって見守ろうじゃないか。
side 新川夢
「じゃあ、とりあえずいきますか。」
「そうね、折角来たのにここで帰ったらもったいないし。」
ここまで来て帰るという選択肢は俺にもリリーにもない。
いつも通り、二人で一緒に遊ぶだけだ。
とくにあわてることはない。
周りから言われるのはこれが初めてじゃないから。
「これかわいい♪」
「お~、キーホルダーも豊富だ。」
ところ変わってファンシーショップ。
かわいいものが多いこの場所がウインドウショッピングの最初の場所。
リリーはぬいぐるみに夢中だ。
軍人とはいえ、リリーも魔法少女だ。
魔法少女にぬいぐるみ。
実際マッチするが、それ以前にリリーは基本、普通の女の子だ。
普段一緒にいるから、それはよくわかっている。
「う~ん、迷っちゃうな~。クマとネコ、どっちにしようかな?」
ホント、わかって
「あ~、でもトラと龍も捨てがたいな~。」
……訂正。
思った以上に夢中らしい。
「俺はこれにするか。」
手に取ったのはファンシーな龍のストラップ。
ファンシーなトラのストラップもあり、対の商品らしい。
この店オリジナルのデザインだ。
「よし!ネコにしよっと。て、夢はそれを買うの?」
「ああ、これなら男子が持ってても違和感無いしな。」
「ふ~ん。じゃあ私はこっち買う。」
そう言って、手に取ったのはトラのストラップ。
トラだが、デフォルメが強くてネコっぽく見える。
トラネコと言われても疑わないだろう。
「ふふっ、おそろいね。」
含み笑いでレジへ向かうリリー。
お金に関しては働いている分俺より多い。
これくらいはかまわないんだろうな。
「さてと。」
俺もまた、レジへ向かう。
先週のカラオケや。この後のこともあるので買うのはこれだけ。
まあ、普段から節約はできているので俺も普通の高校生よりは潤沢だ。
「ありがとうございました。」
購入後、店をそろって出る。
この後の予定は特に決まっていない。
もともとこの時間帯は適当にショッピングなのだ。
「次はどこに行く。」
「ちょっと待って、化粧室に寄って行くわ。」
「了解。」
タッタッ、と駆け足のリリー。
ふと、店のほうを見る。
やっぱり、多いのは女性客。
そして、カップル。
店員の表情もちょっと温かかった。
ファンシーショップに来るカップルは、来るには来るが少ないのだろうかと適当に予想する。
自分たちもまた、カップルに見えていたんだろう。
いつも通りに。
………………………。
PM16:42
「う~ん、この後はどうしようかしらね。」
「一通り、予定通り終わったしな。」
「じゃあ最後にあそこ行きましょう。新装開店のミックスジュースのお店。」
リリーが言うのはすぐそばにある小さな店。
テラスでも飲めるが、持ち帰りや飲み歩きもできるドリンクの店。
野菜やフルーツで作ったおいしいジュースらしい。
「そうだな。それが終わったら夕飯の買い物に付き合ってくれるか?」
「もちろんよ。」
「じゃあ、ちょっと買ってくるよ。」
「えっ、私も行くわよ。」
「ちょっと荷物が多いからな。リリーはそこで待ってて。」
「はいはーい。」
「おっと。」
こぼさないようにリリーのもとへ戻る。
これくらいの出費は別にいたくないのでここはおごるかなと考えていた。
「君かわいいね。一人で来てるの?」
「俺たちと一緒にカラオケでも行かない?楽しくさ。」
「荷物多いね。もしかしてもう一人いる?その娘もいっしょにさ。」
リリーを囲む3人の男。
染髪した長髪にジャラジャラとしたアクセサリーにピアス。
明らかに遊んでそうな男たちがリリーに声をかけていた。
そのリリーに関しては男たちのことなど眼中にないらしい。
魔法少女たるリリーにとって、こんなのは危機にさえ値しない。
俺もまた、同じだが。
「残念だけど、連れは男よ。わかったらどっか行って。余計なお世話よ。」
「へ~、気が強いねぇ。お兄さん気に入っちゃったよ。」
「いいじゃない、女の子一人を置いてけぼりにする男なんかさ。」
「俺たちと一緒のほうが楽しいぜ。」
手に持つジュースをテラスの机に置いておく。
誰かに持っていかれるかもしれないがその時はその時だ。
「オイ。」
「あぁ?」
「俺の連れに何か用か?」
「なに?あんたこの娘の連れ?」
「この後俺たちと遊ぶ予定なんだ。おまえはお役御免だよ。」
「……リリー、行くぞ。」
「わかってるって。」
リリーの手をとる。
すぐにこの場から離れようとする。
だがいかんせん荷物が多い。
その様子を、黙っているようなやつらではなかった。
「おいおい、勝手にどっか行ってんじゃ――――。」
あいつらの一人がリリーに触れようとした瞬間。
俺はキレた。
「邪魔だ。」
「がっ、あだだだだだだだ!!」
決めた技は関節技。
手首を持ち、それをねじる。
空手にはあまり馴染みのない技だ。
が、空手家は空手だけをやっているわけじゃない。
少林寺拳法、柔道、合気道。
やっている人がいればそれをほかの人に伝えることもある。
無論、試合の技術ではなく自衛手段として。
「なっ、この野郎!!」
「やるってのか!?」
こっちへ向かう残り二人。
めんどくさいので手に持ったこいつをぶつけておく。
「うおっ!?」
「てめ!?」
こいつらは弱い。
服も体も戦うようなものじゃない。
1対多を得意とする空手家の敵ではない。
「消え失せろ。」
静かに言う。
少しだが、妖力も漏れだした。
それだけで、こいつらは戦意を喪失する。
「ひっ、ずらかるぞ。」
「おい、待てって!!」
「ヒイィィッ!!」
逃げ去った3人の不良共。
バカでもわかる力の差。
なにしろ、せっかくの休日が大事に至らなくてよかったと思う。
「さてと、ジュースでものm」
スッパアァン!!
「やりすぎよ!!このバカ!!」
なぜ、俺はあそこまで怒ったのか。
わかっていたことだ。
リリーにとっても、あの状況は危機でも何でもない。
一人だけでも、あの場は何とかなっただろう。
俺は、いくらなんでもキレるのが早すぎた。
ただ、あいつらがリリーに触れることを拒絶した。
ホント、なんでだろうか。
まさかリリーに恋愛感情を持っているのか。
いや、違うだろう。
俺はリリーに、恋焦がれてはいないのだから。
リリーのそばにいると、俺はドキドキするのではなく、安らぐのだから。
PM17:03 スーパー
「今日のメニューは何かしら?」
「う~ん、これがホントに悩むんだよな。」
「なら、今日は中華がいいな。」
「なるほど。麻婆豆腐にでもするか。」
「いいわね。じゃあ、豆腐は私がもってくるわ。」
「俺はほかの食材を見てくるよ。」
カートを引く俺に先行し、別行動で豆腐をとりに行くリリー。
麻婆豆腐ならば、ひき肉は欠かせないので俺も取りに行く。
もちろん、既製品じゃなくてオリジナルの味付けでの調理だ。
ひき肉は精肉コーナーで安く買えたので、割とホクホク顔である。
こういう普段の節約が、いざという時に助かる。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます。」
目の前にいるのはリリーとスーパーのやさしそうな男性店員。
その表情は明るい。
どうやらいい豆腐を買えたようだ。
……それだけのはずだ。
なのに。
悲しく、なってきた。
いや、ウソだろ。
ほかの男の人に笑顔を見せていただけだ。(ズキン)
相手も不良とかじゃない、普通の好青年だ。(ズキン)
俺とリリーは親友のはずなんだ。
俺たちは親友で。
いつか離れて。(ズキン)
それぞれのいい人を見つけていく。(ズキッ!!)
ああ、もう駄目かもしれない。
完全に自覚してしまった。
俺は……、
リリーが好きだ。
傍にいると安心した。
いつも一緒で楽しかった。
恋焦がれてはいない。
だっていつもそばにいるから。
離れる機会もなかった。
俺はとっくに、こんなにも。
リリーに恋をしていた。
焦がれるだけが恋じゃない。
愛しい人に安らぎを求めるのも。
また、恋なのだから。
PM17:51 朝倉荘
「すっかり暗くなったわね。」
「……ああ、もう冬だな。」
「寒くなってきたからね。」
「………………。」
手に持つのはストラップ。
リリーと買った、対の龍。
それを握りしめる。
扉の前、セッティングされたデートの終わり。
何一つ、不自然な点はない。
いきなりだって、人は言うかもしれない。
でも、遅すぎたくらいなんだ。
もうとっくに、好きになっていたから。
ただ、それを自覚しただけだから。
「リリー。」
「ん、何?」
「聞いてほしい。」
真剣な表情で、真剣な口調で言う。
その雰囲気を察してか、リリーもまた少し緊張していた。
「リリーが好きだ。」
ふざけた口調ではない。
冗談で言うようなことでもない。
俺が冗談で言わないのは、リリーも分かっているところだ。
これからの答えに、冗談や茶化し、嘘偽りは何もない。
「……ゴメン。」
「そうか。」
わかっていた。
でも期待していた。
リリーは嘘がつけない。
魔法の意味と力を持って、彼女は嘘がつけない。
この回答に、照れも嘘もない。
普段から、リリーは俺に恋してはいないと言っていたのだから。
「夢は、私にとって親友。恋人は、想像できないの。」
「うん。」
パシッ!!
両手で自分の頬をたたく。
うじうじしているのは性に合わない。
それは、リリーに対しても失礼だ。
リリーは、俺に『親友』を求めているのだから。
「わかった。」
それなら、俺たちは親友になろう。
そうであり続けよう。
絆は切れない、切らせはしない。
そうときまれば、まずは夕食だ。
いつも通り、作って振舞おう。
ああ、そういえば。
確かに言う通りかもしれないな。
――――初恋は、叶わない。ってさ。




