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第15回(女神様は彼と遊ぶ・その15)

「⤵

  ⤵

   ⤵

    ⤵

     ⤵~~.」

「ほあっほあっほあっほあっほああ~~んを記号的に発声するとそうなるんだ。風ちゃんやるね」

「このメル変ども、やっぱ口から先に生まれる以前に言語野が髭生やしてランドセルしょってたんだろーなー(⤵)」

「ま~たそういう捻りのある物言いで結局はこの子たちに言葉を贈っちゃうんだから。さりげなくい・ろ・お・と・こ」

 …

「ぬぁに気色の悪いもんそっと提示しとるくぁっ!」

「え、これって音に聞く『Yes, No』枕? や、両面とも『Yes』か」

 両思いならひと思い、既成事実はデファクト標準。外堀埋めちまえば婚姻届なんざ後からついてくるんだ、ボクたち行っきまぁーすっ。発進後は素早く右曲がりっっ。

「そのなんだ。さっき言ってた空間から空間を引き去った後の“何か”だかなんだか、そこへならこいつらも安全に投棄できるだろ。巻き巻きのメル変っ子、ちょっと巻いてくれ」

 歓喜に身も焦がれ、我先に法悦の美酒に溺れんと一斉に飛びかかっちゃったもんだからボクたち難無く風ちゃんに一網打尽の一抱えです。それはそれとして、えっ、ちょっとお待ちくださいませんか、ボクたちを“何か”に放り込むて。そのぉ、先程も問答したことではございますが事ここに至ってやはりその“何か”ってのがですね、正味なんなのかって事が再度争点として急浮上して参る訳でして、これまでに得た微細片的知識のみより判断いたしますればこれはもうそんなとこに投擲されたら間違いなく死ぬる、特にボクたち男の子組はきゅっと持ち上がっちゃうと申しますか、意味的には本来そこまでピンポイントな生理現象を言い表すものではないでしょうが字面的にはまさに股慄こりつ。それを言うなら再創造の開始直後にもうその結末を迎えんとするあたしたち女の盛りはパルスのように短くて、振り返ってみればその花の姿はまさに屹立。

「まー今度はその減らず口ごと放り込まれるんだから消滅ってこたぁ無いんだろう。お主らだけで思う存分新世界に言葉を満たし、充足しまくるが良い」

 風ちゃんそれは誤解だよ、だってその“何か”とかいうのは言葉じゃ語り得ないような何者かなのであって要するにそんなとこに孤立させられたらあたしたちが語り得るのはあたしたちだけって事になるじゃあないの。それは何を意味する? そう、自慰っ! 何故にオナァァン、事後に空しさばかりが募りっ! 募るのにっ! あたしたちは御免こうむる、そんな二次元な日常が子々孫々まで約束されるなどっ! いーい風ちゃん、あたしたちはねぇ愛撫し続けたいのあたしたちの言葉でこの世界を、女神様を、風ちゃんを、隅の隅までねっとり執拗に! 生温かくっ! だってねあたしたちは語ったそれの何もかも、成り立ちも温もりも手触りも、諸々の水っ気だってリアルに経験できちゃうんですもの、そのわななきはあたしたちの愛撫に応えたそれの充足の全反射、まさにこの愛の通い合いがあるからこそあたしたちも我らがセイを充足できるのでありました。あたしたちは全てのために、全てはあたしたちのために。結論を申し上げるとですね、風ちゃん。みんなで幸せになろうよっ。いやこれホント、マジでっっ。

「まー見てきた感じから言えば案外快適に暮らせる場所? かもね」

 そうのんびりと告げる女神様は自分で自分の身を抱いてちょっと距離を取りつつ、言葉の調子とは裏腹になんか警戒心を露わにしています。

「お優しい女神様も一緒に旅立ってくださるそうだ。よかったなー」

「じゃなくて、去りーゆくーあなた方へー贈る言葉ー」

「手短に頼む」

 じたばたもがくあたしたちを両手一杯に抱えてるもんだから、風ちゃんそんなこと言います。いやいやー、あの世代の話は長いよー。でも長くてもいいかもー。風ちゃんの温もりとこのちょっときつめに挟まれてる感がなんか未体験の心地よさー。お、おぅふ。

「是非とも手短にお願いできませんか」

「さっきも言ったけど、空間から空間を引き去った後に現れる“何か”なんてこの世界の住人には多次元世界以上に解釈困難なものなんだから、そもそも3次元に囲われ重力に摑まれた常識で考えてちゃ駄目なんだよ。ふにゃふにゃに不定形の想像力を発揮しなきゃ。どんな世界にも遍く充満できるみたいなさ」

 想像力を気化させるため発想系に正のフィードバック回路を緊急挿入、増幅・発振・それ自身の熱による蒸散を試みよ。総員、ピタゴラスイッチをぽちっとな。

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