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一つの異世界  作者: 南津
はじめての世界編
9/24

第7話<冒険者ギルド>

とりあえず1週間連続で……


出来るだけ更新速度を落とさないようにしたいですが、書き溜めて投稿していないため毎日の更新は難しいと思います。


のんびりと御付き合いいただければ幸いです。

 冒険者ギルドに着いたフランはカウンターに居る女性に話しかけた。


「いらっしゃい。さっきの依頼の話かしら?」

「ええ、受けることにしたわ。これがさっき言っていた弟子のハジメ。残して行こうと思ってたけど、連れて行くことにしたから。……大丈夫よね?」

「お二人でチームを組むなら大丈夫でしょう。そちらの方は冒険者?」

「これからその登録をしようと思って」


 二人の視線がハジメに集まる。カウンターの女性は見た目二十代後半で、肩の辺りで切り揃えられたブラウンの髪に、青い瞳をしていた。その目はハジメを見定めるような色をしていた。


「はじめまして、ハジメと言います。フランに魔術を教わっています」

「はじめまして。私は此処のギルドマスターをしているテリアです。よろしく」

「よろしくお願いします。テリアさん」

「それなら、早速登録しましょうか。必要な書類を書いてもらえる?」


 渡されたのは名前、年齢、属性適性、職業、能力などを書くスペースが取られた書類だった。ハジメは必要事項を書いてテリアさんに渡した。


名前・・・ハジメ

年齢・・・21

属性・・・無属性、風属性、水属性

職業・・・魔導師

能力・・・


「これで大丈夫ですか?」

「んー……ええ、大丈夫よ。属性はフランと同じなのね。すごいわね、三つの属性を使えるひとは多くないのよ」

「ええ」


 テリアの呟いた言葉にフランが反応した。使う属性については話していなかったようだ。フランは財布から小金貨一枚を出すとカウンターに置いた。


「ちょっと待っててね」


 小金貨と書類を持ってテリアはカウンターの奥に入っていった。暫くして一枚の透明なカードを持って戻ってきた。それをハジメは受け取り、説明を受ける。


「このカードは冒険者ギルドのギルドカードよ。さっき書いてもらった内容のほかに登録したギルド拠点や識別用の番号、銀行の残高なんかが見られるようになっている。冒険者ギルドには銀行もあってお金を預けておくことも出来るわ。別に銀行は使わなくてもいいけど、他の国でお金を下ろしたい場合は冒険者ギルドに預けておくと何処でも下ろせるから、少しくらいは入れておいたらいいと思うわね」

「そうなんですか」

「ギルドの規則を何度も破るようなら凍結されてしまうから注意してね」

「はい」


 カードには名前と年齢、右下にギルドの印だけが表示されていた。


「右端の印のところを持ってカードに魔力を注いでみてくれる?」


 フランを見て確認すると、僅かに頷いた。ハジメはカードに魔力を通す。すると名前の他に先ほど記入した内容と拠点、文字と数字が混じった長い文字列と九〇〇エルドと言う文字列が浮かび上がってきた。右端の印から浮き上がった文字を避けるようにして白い模様が広がっていく。

 模様の拡大が止まるとテリアから声がかかった。


「もういいわよ。それで貴方の魔力の登録が出来たわ」


 魔力を止めると浮かんできていた文字が消え、それを覆うように模様が広がった。右下のギルドのマークも消えて模様の一部に変わっている。前に見せてもらったフランのカードと同じような、植物をモチーフにした綺麗な模様だった。

 厳密に身分証明が必要じゃない場では魔力を込めない状態で呈示するが、ギルドで依頼を受ける時や、都市などに入城する際は魔力を込めて身分を証明する。

 一年に一度は依頼を受けるか、ギルドで継続手続きをしないとカードの効力は無くなる。


「二人で依頼を受けるようだから、二人ともカードを貸してくれる?」

「ええ」

「どうぞ」


 カードと依頼書をカウンターの中にある石版の様な所に置いて、なにやら操作している。カードが薄く発光し収まると石版からカードと依頼書を渡された。


「これで二人のチームで依頼を受けたことになるから。依頼内容の詳細は伏せられているから依頼主から直接聞いて頂戴。伏せられているけどギルドで審査はしているから、違法な行為ではないはずよ」

「わかったわ。ありがと」

「ありがとうございます」

「気をつけてね」


 二人でテリアにお礼を言い、ギルドを後にする。食事のついでに旅の支度もしておこうと云う事になり、カバンや財布、大降りのナイフや薬などの必要なものを一通り買い揃えた。食料は今日買った物と、向こうの街で揃える事にして家に戻ることになった。


「そのナイフでよかったの?」

「うん。これをメインで使うわけじゃないし、メインにするにしても使いやすい武器が無かったからね。ナイフは無かったら困ると思うからこれでいいよ」

「そう。それじゃ、今日中に転移魔術を覚えてもらいましょうか。何時も私が一緒に転移するのは大変だから。行きは連れてってあげてもいいけど、帰りは暫く旅して転移で帰って来るようになるからね」

「うーん。了解です」


 よろしくお願いします、とハジメは頭を下げる。今日からは三つの魔導具を使い分ける練習も加わるため、中級魔術で軽く練習して上級魔術と複合魔術に取り掛かる。


   ◇   ◇   ◇


氷結槍フリーズランス


 広場の一角に氷結槍の雨が突き刺さる。

 現在ハジメは各属性の上級魔術を終え、複合魔術を実践していた。氷結系の魔術は水属性と風属性の複合魔術だった。転移魔術を習得する前に無、水、風属性で可能な複合魔術の練習を行うことが必要だった。


『氷結槍!』


 転移魔術や飛行系魔術は他の複合魔術と違い自分自身にその効果が掛かる。その為、習得前に魔力を合成する感覚に慣れる事が必要だとフランは言う。


『氷結槍!!』


 複合魔術には他にも系統が存在する。火属性と風属性の爆炎系や水属性と風属性の複合治癒系、移動系にも無属性と風属性の複合や地属性と風属性の複合魔術。空と時の時空系は過去に二人しか使用者が居ない。


「フリーズ――」

「そろそろいいかしらね」


 地面に突き刺さる氷が庭の一角を埋め尽くし、地面が見えなくなった頃、ようやくフランからお許しが出た。まだ涼しくなるには早い季節だが森の中にある家の庭周辺には冷気がこもっていた。ハジメが吐く息は白く体は震えていた。


「さ、さむい……」

「どうかしら。属性を合成する感覚は分かった?」

「わ、わかった。だい、だいじょうぶ」

「そう。それなら次は複合上級に行ってみましょうか――」

「た、タイム!」

「……なに?」

「さ、寒いからちょっとタイム!」

「そう、それならついでに火属性の魔術でも使って見ましょう。中級くらいなら簡単に出来るでしょう? あの氷の山を火属性魔術で消してみなさい」

「……」


 結局休憩無しで火属性中級魔術の連発が始まった。


 氷山が無くなった頃、今度は蒸し暑い熱気がこもり、風魔術で吹き飛ばす。その後、複合上級魔術の練習として、風属性と無属性の合成での飛行魔術の練習に入った。重さを扱うのは基本的に無属性らしく、風と無属性で減重、地と無属性で加重の重力系を扱うことが出来る。無属性単体でも重力系は可能だが、重力系に移動などの付加効果を追加する場合、他属性との合成が必要になる。


『身体強化』

飛翔フライ


 墜落したときの為に身体強化を掛けて飛行魔術を発動する。高度をあまり上げない様にしながら家の周囲を旋回する。

 ハジメは人間が空を飛ぶと言う事に改めて感動しながら飛行・旋回・着地を繰り返す。風単体の飛行は飛んでいると言うより風で飛ばされている感じだったが、無属性が加わったことにより自在な飛行が可能になった。

ハジメの習得速度は異常な早さだった。普通上級の複合魔術の魔法陣形成は簡単なものではない。中級でさえ時間を掛けて、魔法陣が綺麗になるまで指導を受けながら練習するものだ。ハジメは複合魔術を使った最初こそ戸惑っていたが、慣れてくると初めての魔術でも一度で綺麗な魔法陣形成をやってのけた。魔力量が多く、連続して大量に発動できることも早熟の一つの要因だった。


 結局、夕食前までに単独での転移を習得し、その日の訓練は終了した。


   ◇   ◇   ◇


 次の日の朝。


 ハジメはフランと共に大陸北部にあるサンデダン王国の王都にやってきていた。サンデダンの気温はこの季節でもサルクノーレより涼しく、過ごしやすい。水の季節(オーズィオ)には雪が降り、北部の山は雪に閉ざされる。

 この国は東に接する大国、カメリア皇国と友好的で、奴隷制などの廃止や他種族の人権を認めている。しかし、反対の西側や南側は人間主義の国が多数存在し、サンデダン国内でも奴隷にする目的での人間狩りや、亜人狩りが行われており、その被害は収まっていない。


 ハジメ達は街の店を幾つか回った後、冒険者ギルドに顔を出した。ギルド内部はマリヴェーラのギルドより広く、二階には食事が摂れる休憩所が設置されていた。

 依頼を受けて来たことをギルドマスターに報告すると、同行するチームの到着まで、二階で休憩を取る事になった。


「依頼が終わったらデルフェノに行きましょうか。此処から西に行った所に海に面した国があるから、そこまで歩いていきましょう。結構大きな国で他種族も居るから私も過ごしやすいと思うし。途中少しだけ別の国を通ることになるけど街に寄らなければいいわ」

「異種族に厳しい街?」

「ええ。でもデルフェノに入れば友好的な人も多いから。魚でも買って帰りましょう」


 デルフェノの街はメインコルヌ王国内の港町である。過去にフランも行ったことがあり、海の幸も豊富なようだ。サンデダンの国境からは歩いて十日くらいかかるため、旅はそれで十分だろうと決まった。途中の国は飛行魔術でさっさと通過することにしたため、実質八日程でデルフェノに着くだろう。

 道すがら王都にも寄り、買い物でもしようということになった。


 暫くして、やってきたギルド員に応接室まで案内された。


ありがとうございます。


次回は初めての依頼になります。

次の更新は明日(12/9)か土曜日(12/10)になると思います。


2012/01/06

第十五話までの数字、誤字、文体及び通貨価値微修正。

通貨価値以外、物語の内容に変更はありません。

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