5人チーム
体育の時間、体育館に集合した。
最初は俺と鈴木だけで準備体操を始めた。
肩を回し、腕を伸ばし、軽く屈伸、組んでの柔軟。
二人で並んでやっていると、なんだか少し照れくさかった。
鈴木は無言でストレッチを続けている。
俺はトス練習でもしようかとボールを持って近づいた。
大地
「鈴木、軽くトス練しないか?
チーム戦混ざるか迷ってるんだけど……どう思う?」
鈴木
「……どうでもいい。」
相変わらず素っ気ない返事だったが、
俺はめげずにボールを軽くトスした。
鈴木が無表情で受け止めて、軽く返してくる。
二人のリズムが少しずつ合ってきたその時――
日奈子
「大地君、鈴木君……混ざんないの?」
日奈子が少し遠慮がちに近づいてきて、
明るい笑顔で声をかけてきた。
その後ろには、前回話しかけてきたA子こと美月とB子彩花も立っている。
俺はすぐに笑顔になった。
大地
「おう、いいよ!
一緒にやろうぜ!」
結果、俺たち五人で即席チームを組むことになった。
俺、鈴木、日奈子、美月、彩花の5人チーム。
体育館にコートが二つ並び、
他の女子チームと対戦形式で始まった。
試合が始まると、すぐに差が出た。
最初のサーブから俺が強烈に打ち込んだ。
パワー任せで飛ばしたボールは低く速い軌道で相手コートに突き刺さり、
女子チームのレシーブが間に合わず、
1-0。
鈴木がブロッカーとしてネット際に立ち、
長い腕を高く上げて威圧感を放つ。
相手のスパイクが飛んできた瞬間、
鈴木はタイミングを合わせてジャンプ。
相手が鈴木のブロックを避け横に落とす。
そのボールが美月の目の前に落ちる。
美月は低く構えた姿勢から素早く横に滑り、
両手を合わせて完璧に拾い上げる。
「ナイス!」と叫びながら、すぐに日奈子へトス。
日奈子は少しタイミングが遅れたものの、
何とかボールを浮かせて俺へパス。
俺は三歩助走して高くジャンプ。
相手ブロックの隙を狙って、
強烈なスパイクを叩き込んだ。
コートに響く重い音。
2-0。
彩花は運動神経が並程度で、
時々ボールを落としそうになったが、
必死に追いかけて拾おうとする。
一度、相手のスマッシュが彼女の近くに落ちた時、
彩花は転びそうになりながらも体を伸ばしてタッチ。
ボールは辛うじて上がった。
日奈子は動きがぎこちないながらも、
何度も何度もボールを追いかけた。
レシーブがずれた時も、すぐに立ち上がって
「ごめん! 次頑張るね!」と明るく声を上げ、
次のプレーへ移る。
彼女のスタミナは抜群で、
他の子たちが息を切らして肩で息をしている頃も、
日奈子だけは最後まで元気いっぱいに動き回っていた。
試合は俺たちのチームが優勢だった。
俺のスパイクが3本連続で決まり、
鈴木のブロックで相手の攻撃を3回シャットアウト。
美月の安定したレシーブでピンチを何度も救い、
彩花と日奈子の粘り強い動きがチームを支えた。
特に印象的だったのは中盤の長いラリー。
相手の強烈なスパイクを美月がダイビングで拾い、
日奈子が必死にトスを上げ、
俺がジャンプ最高到達点からスパイク。
鈴木がその直後に相手のカウンターをブロックで止めた。
体育館全体がどよめき、
女子たちの歓声が一気に上がった。
結果、俺たちは負けなしで全試合勝利。
汗だくになりながらコートを後にした。
休憩時間、俺は鈴木に声をかけた。
大地
「俺、鈴木のことただのガリ勉だと思ってた。
バレーやってたの?」
鈴木は眼鏡を軽く押し上げながら、淡々と答えた。
鈴木
「妹がバレー部でな。
たまに付き合ってる。」
大地
「お前、妹相当好きよな。」
鈴木
「ああ。」
素直に答えた鈴木の声に、
いつもの冷たさとは違う柔らかさがあった。
日奈子も下手なりに楽しそうだったし。
美月と彩花もすぐに馴染んでた。
みんなと運動するのって楽しいな。
学校に来て、
本当に良かった。




