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3人の輪

日奈子が席に近づいてきた瞬間、鈴木がはっきりと言った。

鈴木

「……邪魔。」

その一言が、教室の空気を少しだけ凍らせた。

俺は内心で「うわっ」と思った。

鈴木の声はいつもより冷たくて、明らかに苛立っている。

日奈子は一瞬、笑顔を固くしたまま立ち止まった。

彼女の指が弁当の包みをぎゅっと握りしめているのが見えた。

(まずい……冷たすぎるだろ、鈴木……!)

俺は慌てて間に入った。

女性に話しかけられることへの恐怖なんて、

この瞬間は完全に吹き飛んでいた。

ただ、せっかくできたばかりの三人目の輪を、

鈴木の冷たい一言で壊したくなかった。

大地

「いいよ! 座って座って!

鈴木が意外と話してくれるようになったんだよ。

日奈子も一緒に話そうぜ!」

日奈子はほっとしたように笑顔を戻し、

空いている椅子に腰を下ろした。

まだ少し手が震えているのがわかったけど、

彼女はすぐに明るい声を出す。

日奈子

「えへへ、ありがとう!

鈴木君が話してるの見るの、初めてかも……

どんな話してたの?」

俺は自然と会話を繋いだ。

二人に気を遣っているうちに、

自分が女性と普通に話していることすら忘れていた。

大地

「次の体育の話だよ。バレーらしいからな。

鈴木って身長高いだろ?

だから羨ましいなーってよ。」

日奈子は目を丸くして、

少し照れくさそうに自分の体を見下ろした。

日奈子

「2人とも大きいよ。私小さい方だし。」

俺は心の中でだけ思った。

(……胸はデカいよあな。)

でも口には出さず、笑って誤魔化した。

すると、鈴木が眼鏡を軽く押し上げながら、

珍しく口元を少しだけ歪めて言った。

鈴木

「体育じゃ身長ぐらいでしか大地には勝てんがな。」

その言葉に、俺は思わず笑い出した。

大地

「ははっ! それ認めんの珍しいな!」

日奈子もくすくすと笑いながら、

少しだけ肩の力を抜いた様子だった。

でも、彼女の瞳の奥には、ほんの少しだけ不安の色が残っているように見えた。

日奈子(心の声)

(私みたいなのが急に混ざっても……

本当に迷惑じゃないよね……?

でも、二人とも優しくしてくれてる……嬉しいけど、

いつまでこの輪にいられるんだろう……)

日奈子

「ふふ……2人とも仲良いね。

なんか……楽しそう。」

会話は意外と自然に続いた。

俺が鈴木にダル絡みしていた話題から、

体育のバレーのこと、

そして少しだけ学校の男子が少ないことへの愚痴まで。

俺は内心で驚いていた。

女性が近くにいるのに、

恐怖を感じていない。

むしろ、

日奈子が明るく相づちを打ってくれるおかげで、

会話がスムーズに回っている。

(日奈子、意外と話しやすい子だな……

鈴木も、完全に無視してるわけじゃない……

これが、三人で話すってことか)

すると、日奈子の様子を見ていた他の女子が、

あと二人ほど恐る恐る近づいてきた。

一人は少し声が震えながら、

もう一人は日奈子に視線を向けながら、

女子A

「日奈子ちゃん……大丈夫?

私たちも……少しだけ、いいかな……?」

女子B

「なんか、楽しそうだね!

男の子と話してるの見るの、初めてで……」

日奈子は慌てて明るく笑顔を広げ、

二人の手を軽く引くようにして輪に入れた。

日奈子

「うん! 全然大丈夫だよ!

一緒に話そう!」

彼女の声はいつもより少し大きめで、

明るく振る舞おうとする頑張りが伝わってきた。

気がつくと、

俺の周りに少しだけ人が集まっていた。

なんだか……

クラスに馴染んできた気がする。

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