鈴木との日常。
復学して数日が経った。
俺はまだ学校に慣れていない。
女子たちの視線は相変わらず熱いし
教室の空気もどこかぎこちない。
でも、唯一気になっていたのは隣の席の鈴木だった。
クールで無愛想。
授業中もほとんど話さない。
俺は彼と仲良くなりたいと思っていた。
せっかく同じクラスに男子がもう一人いるんだ。
同じ男子同士、もっと話して、仲良くなりたい。
ある日の授業中、
俺は我慢できずに鈴木に小声で話しかけた。
大地
「なあ、鈴木。
放課後、一緒に帰らないか?」
鈴木
「……断る。」
大地
「えー、なんで?
せっかく同じクラスなんだし、少し話そうぜ。」
鈴木
「必要ない。」
俺は、めげずに続けた。
大地
「じゃあ、昼休みだけでもいいよ。一緒に弁当食べよう。」
鈴木
「……うるさい。」
授業が終わるたびに
俺は鈴木にダル絡みした。
休み時間に席を寄せて話しかけたり
「一緒に自販機行こうぜ」と誘ったり。
鈴木は明らかに嫌そうな顔で、短く突き放す。
鈴木
「……付きまとうな。」
大地
「付きまとってるんじゃないよ。
せっかく男子同士なんだから、もっと仲良くしたいだけだ。」
鈴木
「いらない。」
そんなやり取りが、毎日続いた。
とある日の昼食の時間。
教室は女子たちの話し声で賑やかだった。
俺はまた鈴木の机に近づいた。
大地
「なあ、鈴木。
女、怖くないの?」
鈴木は弁当を開く手を止めて、
明らかに鬱陶しそうな顔で俺を見た。
眉間に軽く皺を寄せ、ため息を小さく吐く。
鈴木
「……まぁな。」
大地
「どうやって?
俺はまだ、女の視線だけでたまにビビっちゃうのに。」
鈴木は面倒くさそうに目を細めて、淡々と答えた。
鈴木
「近寄ってくる奴らは、冷たくあしらった。
結果、女生徒も近寄りがたくなっただけだ。」
大地はさすがだなと言わんばかりの呆れ顔になった。
すると、鈴木は少しだけ視線を落として、ぽつりと続けた。
鈴木
「……それに妹がいるから、少しは女に慣れてんだ。」
大地
「兄妹か。めずらしいな。」
この世界では家族に男手がいない家庭がほとんどだ。2人目まで育てる余裕はない。
男子が生まれて補助金が出たとしてもその子を育て上げるのに必死だ。
鈴木は、
弁当の箸を止めて、
少しだけ遠い目をした。
声に、わずかな寂しさと怒気が滲む。
鈴木
「……ああ。
ギャンブル感覚でもう1人となったのかもな。」
大地
「兄妹か……
羨ましいな。」
鈴木はそれ以上は何も言わず、
再び弁当を食べ始めた。
俺は少しだけ胸が温かくなった。
せっかく同じ男子同士なんだから、
もっと話して、仲良くなりたいと思った。




