37話 配信初日
「学園てんごく!!」初配信、スタートだ!
1週間後——夏休みが始まった。
俺たちはようやく揃えた配信機材を大地の部屋に持ち込んで、
最終チェックを終えたところだった。
大地「よし、これで準備は完璧だな。」
鈴木「そろそろ開始する。呼び方には気をつけろよ?本名は呼ぶな。お前ら大丈夫か?」
佐藤「僕、ちょっと緊張してきました……」
日奈子「わくわくするー!みんなに見てもらえるんだよ!」
彩花「私はコメントで参加するね。イラストも随時送るから!」
ついに初配信の時が来た。
画面は一枚絵。
4人のキャライラストが並び、
中央に「学園てんごく!!」のロゴが明るく光っている。
配信がスタートすると、すぐに鈴木の声が響いた。
鈴木
「アース、本番では音量考えろよ?また音割れするからな。」
大地
「わかってるって!」
鈴木
「もうその返事が割れてんぞ。」
スタートしてすぐコントのような会話が入る。
そして開始してから数十秒後、視聴者数は1、彩花のみ。
大地
「こんにちは!今日からチャンネル開設しました!『学園てんごく!!』です。
俺たちは現役学生で、学校での出来事や友人との和気藹々な雰囲気をみなさんにお届けできたらと思ってます。
学校に行けてない男子諸君。男子学生に憧れを持つ女性の皆々様。
見てっていただけると、嬉しいです!」
大地が前置きを語る。
元気に、でも真面目に。
大地
「さて、今回は初動画なので自己紹介から。
まずは俺、アースです!
画面左下のクマがアースのキャラクターです。よろしくお願いします。
じゃあ左から順に。」
落ち着いた様子で鈴木が続く。
鈴木
「ベルだ。
狐モチーフの経理とマネジメント担当だ。
コメント等は厳しく統制していくからよろしくな。
次、」
鈴木は横にいる佐藤を見て合図を出す。
緊張で若干震えている佐藤。
佐藤
「……シュガーです。
猫モチーフのゲーム担当です。
このチャンネル、ゲーム関係で皆さんと楽しめたらなって思ってます。
……よろしくお願いします!」
そして食い気味に日奈子。
日奈子
「こんにちはー!サニーだよ!
兎のキャラクターの女の子!
一応元気担当?ってことになるのかな?
大……アースくんも元気だから被るけど、人一倍元気に頑張るから、よろしくね!」
少し大地って言いかけてた。危なかった。
そして結成のきっかけや今後の展望を語って配信を終えた。
最後には佐藤も会話に参加できてたし、
俺よりも日奈子の音割れがすごかった。
そんなこんなで初配信を終えた。
最初の視聴者は62人。
まずまずな結果に終わった。
コメントの反応
【男子学生!?本物!?天然記念物じゃん!】
【サニーちゃんいいなー。男の子とこんなに仲良くできてるなんて、羨ましい。】
【学生のグループで経理担当ってwwベルくんガチすぎない?】
【シュガーくんの声可愛すぎ!尊い。声優とかやらないかな。】
【「学校の楽しさを届けるためって」…ここの男子たちは学校を楽しいって思ってるってこと?ありえなくない?】
【ベルくんの低音ボイス、カッコ良すぎて濡れる〜】(鈴木確認の後削除。)
配信後のコメントもついて、俺たちは盛り上がっていた。
大地
「こんなに見てくれたんだな!
これはモチベーション上がる。」
日奈子
「すごいね!ちゃんと声聞こえるよー!
ひなの声、ちょっと大きかったかな?少し割れちゃった。」
鈴木
「あれだけ声の大きさ気をつけろって言ったのにな。
まぁ学びだな。」
佐藤
「……僕の声にも反応してくれてる。変じゃなかったかな?」
彩花
「かわいいってたくさん言われてたよ、『シュガー』くんっ!」
俺たちはみんなの反応に盛り上がりつつも、
次の配信をどうするか話し合ってそれぞれ帰路に着いた。
俺はそのまま家で夜まで過ごす。
配信を流しながら布団に潜り込む。
大地の心の声
(いつか厳正おじいちゃんにも見て欲しいな。
俺の友達を。こんだけ楽しんでるぞって。)
カレンダーで病院に行く日を確認しながら、寝落ちしてしまった。
寝ている合間に、俺たちのチャンネルは登録者が一万を超えていた。




