32話 足取りを追って
部活動を終えて水樹主将と別れた後、
大地は帰り道でいつもの公園に寄った。
厳正おじいちゃんはさすがにいないか。
ベンチは空っぽで人影はなかった。
そんな中、
近くのおばあちゃんたちの井戸端会議が耳に入ってきた。
おばあちゃんB
「鎌倉さん家の厳正さん、今日から入院でしたっけ?」
おばあちゃんA
「そうね。確か男性専用フロアがあるからって都心のでかいとこに入るって話だったはずよ。」
その声に大地は駆け寄った。
大地
「その話、本当ですか!!!」
おばあちゃんたちは驚いた顔をしたが、
すぐに優しく答えてくれた。
おばあちゃんA
「あら大地くんじゃないの。随分逞しくなったわね。」
大地は不思議に思った。
大地
「なんで俺の名前を?」
おばあちゃんA
「厳正さん、出先で会うとよくあなたの話してたからよ。普段は頑固でおっかなかったけど、あなたの話をするときはよく笑ってたわ。」
おじいちゃん、そんなところでも話してたのか。
気恥ずかしながらも嬉しい大地。
大地
「おじいちゃんがどこの病院に入ったか知ってますか?」
おばあちゃんA
「都心の大病院よ。知らされてなかったの?」
大地
「ありがとうございます!」
大地は足早に病院に向かった。
都心の大病院といえば精子提供で通っているところだ。
電車で向かうが日が暮れる。
時刻は20時を回っていた。
病院を訪れると見知った顔がいた。
佐田
「大地くん!?どうしたのそんなに汗だくで。」
大地は息を切らしながら佐伯に聞く。
大地
「鎌倉厳正っておじいちゃん。面会できますか?ここに入院してると思うんですけど。」
佐田は少し間の悪そうに答える。
佐田
「ごめんなさい今日は面会時間終わってるの。」
大地は少し残念に思いながらも、ここにいる確証は得られた。
佐田
「学校もあるでしょうし週末にでもきてみたら?昼から私対応できるから。」
大地
「ありがとうございます!また来ます!」
俺は少し病院で息を整えてから外に出た。
入り口の案内表で階層を見る。
重症患者は高層階か。
俺は病院を数秒見上げて家に帰った。
おじいちゃんに会いたい。
そんな思いを星空に願って
帰路に着く。
佐田ナース。再登場。
佐田ナースの名前は佐田美咲。
佐多岬。‥‥行きたい。




