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自習室会議

ノートを閉じた鈴木は、

大地を諭すように話をする。

鈴木

「……大地、

お前が精子提供に対して、

『意味ない』って言うのは、

感情論だ。

精子提供は、

人口維持という国家レベルの問題に対して、

明確に貢献してる。

男児出生率が低いのは事実だが、

提供された精子で生まれる子供は、

間違いなく存在する。

その子たちが将来、

社会を支える労働力になる。

俺たちは、ただの『金儲け』じゃなく、

この国の存続に直接関わってるんだ。

……それが立派かどうかは別として、

少なくとも無意味じゃない。」

大地「!」

大地は伏せてた顔をあげた。

鈴木

「孤児が増えてるのは、

制度の副作用だ。

でも、

提供をやめたら出生率はさらに落ちる。

その結果、

社会全体が崩壊に近づく。

お前が『どうにかしたい』って言うなら、

提供を止めるんじゃなく、副作用を減らす方向で動くべきだろ。

それが、俺たちの精子が持ってる意味だ。」

鈴木

「……まぁ、

お前が納得いかないなら、

勝手に辞めればいい。

俺は続けるけどな。」

社会の維持のために必要、か。

大地

「副作用‥

子供が生まれても、

孤児が生まれないような‥‥

なるほどな。」

大地の目には光が戻っていた。

鈴木は鼻で笑ってまた別の参考書を開く。


三人はしばらく黙っていた。


子供が生まれないと社会は崩壊する。

生まれてくる子供に罪はないし

母親たちも自分で育てられない不安から

孤児院に託す人もいるはずだ。

それが必ずしも悪い選択というわけではないか。

政策と生活のギャップ。

大地

「…副作用…どうにかならんかな。」

鈴木はペンを止めて、

眼鏡を軽く押し上げた。

いつもの冷静な声で、

淡々と答える。

鈴木

「……男児出生率の低さの根源はいまだに分かっていない。

仮説的に男性ホルモンの弱化と言われているが、

男らしい人の精子なら男の確率が高いのか。

その辺はいま調査中だそうだ。」

佐藤

「……男児を増やすことはできないにしても、

孤児を減らす方向で向かって欲しいってことですよね。」

大地

「……結婚率やカップル率を増やすとか?

パートナーとの子だとすれば

子供達に対して愛が芽生えて

家族愛で孤児も減るんじゃないか?」

鈴木

「……無理だ。理想論すぎる。

男子の全体数が少ない上に、

男性は女性を恐れてる。

パートナーどころか、

普通に話すことすら難しい。

結婚なんて御伽噺だろ。

補助金が出たって、

男の気持ちが乗らない限り意味ない。」

佐藤

「……確かに……

男が生まれても

家庭が崩壊したら意味ないですもんね……」

大地

「……育児の負担を減らすか?

託児所付きの職場とか、

母親の社会復帰を支援する制度とか。」

鈴木

「……その方向なら育児の不安を減らす方がいいかもな。

でも、

託児所付きの会社は一部の先進企業だけ。

一般化するには国の補助金や義務化が必要だ。

経営者の問題だけじゃ広がらない。」

佐藤

「……母親たちに寄り添える環境って、

もっとないのかな……

育児が終わった後の復帰が、

一番大変なんだろうな……」

大地

「そうだよな……

妊娠直後は手厚い補助金が出るけど、

その後が厳しい。

男児が生まれなければ補助金も少ないし、

女の子を一人で育てるのは大変だろ。

それで……捨てられるケースが増えてる……」

鈴木

「……復帰支援の強化か。

時短勤務の義務化とか、

育児休暇後のポジション保証とか。

それなら、

母親が子供を捨てるリスクは減る。」

佐藤

「……うん……

でも、

それって国が動かないと無理だよね……

僕たちにできることって……

あるのかな。」

3人とも考え込み、少しの間が空いた。

鈴木は、ノートを静かに閉じて、

眼鏡の奥から大地を冷たく見据えた。

鈴木

「……大地、

お前の理想論は感情論だ。

甘い。

だが……

その甘さが、

誰かの心を動かす可能性はある。

俺がその理想に理屈をつけてやる。

それで十分だろ。」

(一瞬、鈴木の口元がわずかに歪む。

冷たい笑みとも、諦めとも取れる表情だった)

鈴木

「続けろ。

俺も……

付き合う。」

大地は鈴木の言葉が頼もしくて、嬉しくて。

大地「よし!考えるか!

今からでも始められること、

孤児院に寄付とかどうだ?現実的だろ?」

鈴木「何で稼ぐ気だ。精子提供だけじゃたかが知れてるぞ。」

会話のトーンは少し高くなった。

理想と理屈が高め合う。

少年たちの浅い会議は近いうちに世間に深く改革を落とす。

鈴木くんノートパカパカである。

何冊書いたんでしょうね。

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