〜幕間〜世界観のおさらいと追記
この物語の舞台は
僕たちの「今」から約50年後の世界だ。
男性ホルモンの長期低下が原因で
男性出生率は劇的に落ち込んだ。
若年層の男女比はほぼ1対10。
全体人口では老人が多いため公称4対1となっているが、
実質的に若い男性はレアメタル並みの希少種だ。
政府は50年前に「精子提供制度」を導入した。
健康な男性は月に1回
病院の個室で自慰を行い精液を提供できる。
量と質に応じて報酬(5〜10万円程度)が支払われ
男性の主な収入源となっている。
個室は完全予約制で
ブッキング防止のため原則月1回。
貢献度が高い場合は臨時で月数回許可される。
提供された精子は人口妊娠に使用されるが
結果として女性出生率がさらに上昇。
皮肉にも、制度自体が孤児増加の一因と指摘されるようになった。
妊娠促進委員会は、
「人口維持のための国家プロジェクト」として活動している。
補助金制度を管理し、男性への保護と女性への出産奨励を推進。妊娠直後は手当が出るが、男児が生まれなければ補助金の額も知れている。
女は人工授精で子供を作る。
男手がいない家庭が増え、育児は仕事の合間に行わなければならない。
女で一つで子供を育てるのは難しく、
見切りをつけて捨てるケースも少なくない。
女は社会を作り、女に厳しい世界ができた。
一方で、男性被害の性犯罪は減らない。
生存本能か、補助金という金のなる木だからか、
一部の女性による強引な行為が後を絶たない。
男性保護法は年々厳しくなり、
現在では「男性への接触は原則同意制」「不同意接触は禁固刑もあり」
という内容にまで強化されている。
それでも、暗闇での犯行や、
「同意があった」と主張するケースが続き、
社会問題となっている。
そんな世界で、結婚やカップル関係は、もはや御伽噺の領域だ。
男性は女性を恐れ、社会を疎む。
女性は男性に憧れを抱きつつも、「手を出せば犯罪」という壁に阻まれる。
都内調査では、結婚は年に片手も満たないほど稀。
ほぼゼロに近い。
重婚制度や結婚補助金が出たとしても、
男の気持ちが乗らない。
ほとんど意味をなしていない。
世の中には重婚制度を使う者もいる。
とある富豪は男を何人も侍らせる。
でもそれは金で釣ったわけではなく、
他の男もいる安心感、
円満な結婚生活を送っていたという実績が複数人との婚姻につながった。
とある男は女を何人も捕まえた。
己が欲を満たすために。
それでも女たちは幸せだった。
子種がもらえて、直接妊娠が狙える。
高い人工授精費がいらない。
何より、男に必要とされてることが嬉しかった。
そんな世界で、大地たちのような若い男性は
政府に必要とされながら、
社会からは疎まれる存在でもある。
学校では単位免除で不登校が容認され、
職場では「セクハラリスク」として敬遠される。




