日奈子のゲーム特訓。
次の日、今日は休みだった。
朝から日奈子が遊びに来た。
日奈子
「大地君!
今日は一日中ゲームしようね!
ひな、佐藤くんと話すために、
今日はめっちゃ頑張るよ!」
俺は笑いながら、
リビングのテーブルにコントローラーを並べた。
大地
「了解。FC1、
最初からやるぞ。
佐藤が1からやるべきって言ってたし、
ちゃんと予習だな。」
日奈子は目を輝かせ、コントローラーを握った。
俺は隣に座って指示役に徹することにした。
大地
「まずは基本操作からだ。
十字キーで移動、
Aで攻撃、
Bでジャンプ……
ゆっくりでいいぞ。」
日奈子は真剣な顔で画面を見つめ、
ポンコツプレイを始めた。
日奈子
「え、えっと……
ここでジャンプして……
あ、落ちちゃった……
ごめん!もう一回!」
俺は笑いながらフォローした。
大地
「大丈夫、
最初はみんなそんなもんだ。
次は右に移動して、
タイミングよくA押せ。」
日奈子は何度も失敗しながらも、
諦めずに繰り返した。
頭を回しながら、
相当楽しんでいる様子だった。
時々、
「わー!
クリアした!」と小さなガッツポーズをする姿が、
可愛らしかった。
途中から俺も昨日の経験を活かして
熱血指示厨モードに突入した。
大地
「今だ!
バフ入れろ!
切れるまで1番効果がデカい!
次は召喚!
この子可愛いからって言ってたけど、
性能もいいぞ!
よし、次はボスだ!
タイミング合わせて攻撃!
ナイス!
日奈子上手くなってるぞ!」
日奈子
「えへへ、
大地君の指示、わかりやすい!
ひな、がんばるよ!」
日が傾いて、
空がオレンジ色に染まる頃、
日奈子は限界を迎えた。
コントローラーを握ったまま、
俺の肩に寄っ掛かり静かに眠りについた。
俺は、日奈子の頭をそっと自分の膝に乗せた。
日奈子の髪が俺の腿に触れて、
こそばゆい。
母さんが静かにリビングに入ってきて、
その様子を見て微笑んだ。
母さん
「大地……
日奈子ちゃん、
疲れちゃったのね。」
俺は声を抑えて、
小さく答えた。
大地
「一日中ゲームしてたからな……
佐藤くんと話すために、
本気で頑張ってたんだ。」
母さんは優しく頷いて、
毛布を持ってきて日奈子にかけた。
母さん
「ゆっくり寝かせてあげてね。」
俺は日奈子の寝顔を見ながら、
ふと思ったことを口にした。
大地
「俺にも子供ができたら、
こんな感じなのかな?」
母さんは少し驚いた顔をして
すぐに優しい笑顔になった。
母さん
「きっとね。
大地は、
優しいお父さんになると思うわ。」
俺は少し照れながらも、
母さんに聞いてみた。
大地
「母さん、
俺の小さい頃って、どんな子供だった?
迷惑ばかりかけてたんじゃないか?」
母さんは俺の頭を優しく撫でて、
静かに答えた。
母さん
「わんぱくで少し手を焼いたこともあるわ。
でも、小学生あたりから女性を怖がってた大地を、
少し心配していたの。
だけど誰よりも立派に育ってくれた。
そんなあなたが宝物だわ。」
母さんの言葉に胸が熱くなった。
俺は日奈子の寝顔を見ながら、
静かに微笑んだ。
(……俺も、
いつかこんな風に、
誰かを守れる男になりたい……)
少し前から日奈子の耳が赤くなっていた。
もしかしたら聞いていたのかもしれない。




