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はじまり

この物語は遠い未来の話だ。

僕のような、現代でモテず、弱く、萎縮した男が、

夜中に布団の中で妄想した、ちょっと都合のいい夢のような物語である。

現代社会ではAIや機械に仕事を取られ

男たちはどんどん軟化していった。

SNSで晒し上げられることを恐れ、

上司には頭を下げ、ヘラヘラと媚び、

お客様は神様のように扱い、強く出ることなどできなかった。

そうして男たちは少しずつ男らしさを失っていった。

それから長い時間が過ぎた。

原因は男性ホルモンの低下か、それとも何らかの環境要因か——

男性の出生率は大幅に低下し

今や若者世代の男女比はほぼ1対10にまで落ち込んでいた。

それでも世の男性人口の多くは老人が占め、

本当の意味で若い男性は、まるでレアメタル並みの希少種となっていた。

出産はほぼ人口妊娠に頼り、

男たちは精子を提供することで金を得られるようになった。

社会は女性中心に回り始め、

世界的技術はあまり進歩していない。

むしろ令和と呼ばれた時代まで逆行していた。

それでも不自由はない。

そんな世界の男たちは、女を恐れる。

生存本能からか、補助金という金のなる木だからか、

性犯罪や男性被害は減らなかった。

政府は対抗策として、男性に関する法律を極めて厳しく制定した。

それでも、一部の犯行は後を絶たない。


この物語の主人公

荒木大地は、そんな世界で15歳を迎えていた。

ある夕暮れの帰り道。

ただの気まぐれで、いつもとは違う裏道を選んだ大地は、

橙色の夕陽がビルの隙間から光を差し、長く影を落とす寂れた路地を歩いていた。

コンクリートの壁には錆びた看板が傾き、

ところどころに雑草が顔を覗かせ、

遠くから聞こえる車の音もまばらだった。

この街の衰退を、静かに物語っているようだった。

大地は不気味に思い、いつもの道に引き返そうとした。

しかし突然、道端で18歳くらいの女性グループに声をかけられた。

「こんにちわ……お姉さんと、少し遊んでいかない?」

彼女たちは、

男性への強い憧れと抑えきれない性的欲求から、

少しの誘惑に負けてしまったようだった。

夕陽が彼女たちの髪や頰を赤く染め、

甘い香水の匂いが狭い路地に重く立ち込める。

「ねえ、ちょっとだけ……いいでしょ?」

大地は恐怖で体が固まり、

後ずさろうとしたが、

すでに逃げ道は塞がれていた。

心臓が激しく鳴り、息が詰まる。

頭の中が真っ白になり、足が震えて動かない。

その時——

「なら、わしが相手してやるぞ?」

突然

大声とともに現れたのは、一人の酔っぱらいの老人だった。

白髪と長い髭を風に揺らし、

身長の割にどっしりと構えた体躯。

古びたジャンパーを着て

どこかで見たことのあるような

古いカンフー映画のポスターを思わせる構えを取っている。

名は鎌倉厳正。

武道家の端くれを自称する、

カンフー映画と格闘映画の熱狂的なオタクだ。

おじいちゃんは少しふらつきながらも、

妙に様になった構えで、

女性グループの前に立ちはだかった。

今時の男にはない

古臭いけれど

確かな覇気と胆力があった。

女性グループは

呆れたような、引いたような表情で

互いに顔を見合わせ

そのまま去っていった。

ハイヒールの音が、路地の奥に遠ざかっていく。

大地はその老人をただ見つめていた。

夕陽がおじいちゃんの白髪と肩を赤く染め、

長く伸びた影がアスファルトに力強く刻まれている。

歳を感じさせない体躯テレビや物語の中でしか見たことのない、「男らしさ」の残滓のようなものを、

そこに感じた。

大地は震える声で

おじいちゃんに声をかけた。

「……どうやったら、

あなたみたいになれますか?」

おじいちゃんはニヤリと笑って

大地の肩を軽く叩いた。

「おう、ついてこい。

俺みたいになりたいなら、

徹底的に鍛えてやるぞ?」

大地は迷わず駆け足でその後を追った。

歩幅の大きな老人の背中を必死に追いかけながら。


路地を抜け

少し開けた古い公園に着くと

おじいちゃんはベンチに腰を下ろし

懐から缶ビールを取り出して一口飲んだ。

「ふう……

最近の若いもんは

すぐに女にビビって逃げる。

情けないのう。

わしが若い頃は

女に囲まれても堂々と胸張ってたもんじゃが……

『男は強くあらねばならん』ってな。

今時の若い奴らは

そんな根性、持ち合わせとらんようじゃのう」

大地は息を切らしながらおじいちゃんの隣に立った。

「……おじいちゃん。

本当にどうやったら強くなれますか?

俺、もうあんな風に怯えたくない……」

おじいちゃんはビールをもう一口飲んで

遠い目をした。

「強くなりたいか……

簡単じゃ。

毎日、体を動かせ。汗を流せ。

そして、心を強く持て。

わしはな、若い頃に古いカンフー映画にハマって

毎日真似して練習しとった。

『男は強くあらねばならん』ってな。

今時の若い奴らは、そんな根性、持ち合わせとらんようじゃのう」

大地には現代にはない不思議な話に思えた。

男は護られるもの。

鍛えるなんておかしな話だ。

だが、鍛えた自分を想像し少し憧れを抱いた。

「俺、やります。教えてください。

おじいちゃんみたいに強くなりたいです」

おじいちゃんは、

大地の顔をじっと見て、ニヤリと笑った。

「よし、決めた。

明日から朝5時にここに来い。

遅れたら即終了じゃ。

わしは厳しいぞ?甘えは一切許さん。

男らしさを取り戻したいなら

命懸けでついてこい」

大地は迷わず頷いた。

「はい……絶対に来ます」

夕陽が完全に沈み

街灯がぼんやりと路地を照らし始めた頃

大地は家路についた。

足取りはまだ震えていたけれど

胸の奥に小さな炎が灯ったような気がした。

これが荒木大地の物語の

始まりだった。

基本漫画派なので

詳細描写など薄くて申し訳ない!

今後精進してまいります。by作者

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