エピソード1 その少女の名は
「さっさと祈りを捧げなさい…!!」
母の声が広い部屋にこだまする。それを聞いた私は、無言で膝をついた。
祈ることは私の全てだ。祈らない私は、私ではない。そう教えられてきた。
だから今日も、存在の見えないものに向かって指先を絡ませる。
私はティフィラ・リージュ。今年で十四歳になる。神父であるお父様と、巫女をしているお母様のもとで育った。
幼い頃から、教会と神社の顔になるよう望まれ、毎日やり方の違う祈りを捧げている。
今日は教会での祈りの練習の日だ。
少しでも何かが違えば、すぐに罰が飛んでくる。
そのことを思い出し、私は祈りながら、内側で小さく震えていた。
「もっと…!頭を低くしなさい!」
叫ぶような声とともに木の棒が私に向かって振り下ろされ、「バシッ!!」と音を立て、私の肩に痛みが走る。思わず顔がゆがむ、しかし少しでも反応してしまうとまた怒られる。私は痛みに耐え祈りの練習をなんとか終わらせる。
「まだまだ上出来とはいけないけれど、今日はそのくらいでいいでしょう。明日は神社の方に行くわよ」
そうお母様は言い、別室に向かって歩き始めた。私はそのままの体勢でお母様が部屋から出るまでその姿勢を保ち続ける。コツッ、コツッと靴の音が聞こえなくなると私はその場に座り込み膝を抱えた。必死に私の中でこれでいいんだ、これが望まれたことなのだと、心に言い聞かせる。祈ることしか私に価値なんてない。そう思わないと自分がなくなってしまうような気がしたから。
私はゆっくりと立ち上がり自分の部屋に歩く、部屋と入っても角の物陰になっている所が私の居場所、小さな鏡と小さな時計、小さなタンスが置いてある、私が自由に使っていいのはここだけらしい。鏡を覗き込み、自分を確認する。白い長い髪、開いているかどうかも分からない目、お母様たちに比べて白い肌。よく利用する人からは神のようだと言われているけど、あまりうれしくはない。
その時、お父様から呼ばれ、私はすぐにお父様のところへ向かった。「ティフィラ、今から朝のお祈りの時間だよ、信者たちを招き入れようか」そう言い微笑む。お父様は私に優しくしてくれる、そんなお父様のことが好きだ。その言葉を聞き、私はすぐに修道服に着替えてお父様あの近くに向かう。そうしてお父様と一緒に教会に向かって歩き始める。そんなに遠いわけではないが離れていることは離れているから。
お父様が外に通じる扉を開けると信者の方達がどんどん、流れ込むようになかにはいってくる。初めての頃は上手くできなかったが、お母様と鍛錬のおかげでに祈りを捧げる準備がすぐにできるようになった。信者の方々はそれを見て褒めてくれる。それが私にとって、とても嬉しい、良い事だと思っている。
お父様が話をしている間、私は静かに信者の方々を見る、あまりよくないこととはわかっているけれど、大体の年齢と、洋服を見てみる。いつも見る方はもちろん、今日は普段見慣れない人も多い気がする、今日は何かあったのだろうか、いつもよりも人が多い気がする。お父様のお話が終わり、音楽が流れ始めると私も合わせて歌う。今じゃ何も考えなくてもすらすらと言葉が出てくる。昔はこの重厚感のある音にびっくりしていたが今までは耳元で聞いても何も感じない、これが慣れというやつなのだろうか?私は流れに乗るようにそのまま祈りをささげ、お金を受け取る。お父様の締めの言葉を協会にいる、みんなで聞き、すぐに祈りは終わった。協会に来た信者の方々はそのまま外に出たり、軽いお話をしたり、何人かの信者の方々は私やお父様のところに言って懺悔を聞く。今日は2人私に懺悔を聞いてほしいという信者の方がいた。私はすぐに懺悔室に連れていく。懺悔室と言っても少し小さい部屋に白い彫刻と電気が置かれているような所であまりいいところとは言えないと思うけれど、すぐに信者の方は彫刻にひざまずき何かを唱えるように喋る。私の仕事はそれを聞きながら隣で指先を絡め、虚無に向かって祈るだけ。そんなことをしていて楽しいのか、過去に子供たちからそんなことを聞かれたこともあるが私にはわからない。なぜなら、これをしていれば少なくても家族からは怒られないから。たったそれだけの理由で私は祈っているから。信者の方は毎回、懺悔が終わるとすごく涙目になりながら私に感謝の言葉を言う。私は微笑み、その方を協会の表までお見送りをして静かにささやく、「神のご加護があらんことを」
どうも、初めましての方ははじめまして、そうでない方はよろしくどうぞ!
前回の作品からだいぶ遅くなってしまい申し訳ないです…また気長ぁーに待っていてください!w




