第9話 地下という存在と闇の使者、アレス
ミナミとカルマは更に奥へと進んで行った。
「それにしても同じような景色だね」
「そうだな、不気味だぜ」
「カルマは災厄の弱点とか知ってる?」
「いやいや知るわけないだろ?あの方が復活したのは数時間前だし、俺も知らないんだよ」
「ふ~ん、それとさ闇の使者って何人居るの?
今更だけど数多くない?追っかけてきた闇の使者を含めても」
「多分、災厄が冥界からここに召喚しているんだと思う。
だから、ほぼ無限に湧いてくると思うが」
「が?」
「それにしても数が少ないんだ、まるで誘い込んでいるかのようにな」
「……うーん、もしも誘い込んでいるとしたら何を企んでいると思う?
私が災厄なら、私達を一つの所に集めさせ、一気に殺すとかするかも?」
「物騒だな、まぁあながちあっているのかもな。
他の奴らとかも全く会ってないし、それに妙な気配を感じないか?」
「妙?」
「ああ…、見られていると感じるんだよ。
でもそっちの方を向いても誰も居ない、変な感じなんだ」
「幽霊とか?」
「まぁ、ありえなくはないな。
幽霊とかは見えないし」
「でも、幽霊の魔物とか居ないの?」
「ゴーストとかか?まぁ、居るちゃ居るがこんな神殿に居るとは思えん。
まぁ、攻撃してくる気配も感じないし、気にすることないかもな」
「だといいけど」
そうして私達は更に奥へと向かった。
すると
「お!」
奥から歩いてくる者が
それは7ブレイカーの一人、火蓮だった。
「貴方は火蓮さん」
「君は、闇の少女か…それとその男は?」
「俺はカルマ、闇の使者だったものだ」
「だったもの?どういう事?」
「カルマにもつらい過去があったの、それで私が説得して一緒に災厄を倒すって誓ったの」
「コイツの言う通りだ、俺はお前らに危害を加えるつもりは無い。
信じられないかもしれないが、信じてほしい」
「まぁ、この子が言うならいいんじゃない?私も災厄を倒すって誓ったし、仲間の仇もあるから」
「仲間って……誰か死んだんですか?」
「ああ、7ブレイカーの一人の亜留と魔神だ」
「魔神って……もしかしてハーベルさん?」
「ああ、知り合いだったな」
「そんな……」
「助けてもらったでしょ?貴方はこれからどうする?」
「私は……災厄を討つ……私の大切な人を殺したから……」
「それなんだけど、ある者から聞いたんだけどね……私達の中に……あっち側についている者がいるかも知れない」
!?
「ちょ!おいおい、お前らの中に災厄の仲間が居るのか?」
「亜留の可能性もあるけど、あの子は違う気がする………」
「となると………私、ヨウコ、メリア、天雨さん、ギルドマスター、鈴音さん、そして鈴音さんの仲間の巫女さん。
後、マリンさん、そしてロムさんだよね」
「……怪しそうな人っていた?」
「俺は何とも、と言うかよく分からんからパスで。
ミナミはどう思うんだ?」
「私は……敵が居るとは思えない……みんな、災厄を倒す為に必死に抗っている。
そんな中に敵が居るとは思いたくない」
「……ミナミちゃんは優しいんだね、でも……敵は近くに居る…信じている仲間が、偽りの仮面をつけたヤツが居るの、仲間のフリをしたヤツがね」
「でも!そんなの……何で私達の仲間のフリをしているんですか?」
「目的は不明だけど、災厄の目的はこの世界を支配する事。
そうなると邪魔になる存在は私達、だからこそ仲間のフリをして始末する……それが手っ取り早いんでしょ?」
「ヨウコやみんなが悪いはずが!」
「ミナミちゃん、覚悟を決めないと……それに災厄は最初に攻撃してから一度も攻撃してこない。
何かあるはずなの、私たちが誘い込まれている可能性もある」
「この神殿に何かあるのかな?」
「俺は知らんぞ、闇の世界にあったとしても俺はこんな所に来たことは無いからな」
「もしも地下があるとしたら、そこに何かあるのかも?
地下というものがあるならね」
「地下……か、可能性はある」
「カルマ、分かるの?」
「いや、分からんけどこの神殿、広すぎだろ?見た目に反して、もしかしたら地下があって、そこに何かがある。
それを求めているかもな、災厄は」
「だとしたら、私達は誘い込まれている可能性もあるわね。
一網打尽にするというのなら、どうするべきか」
コツコツ。
!?
「あ!ミナミ!」
それはヨウコとメリアだった。
「二人共、追いついたんだね」
「うん、もう傷は大丈夫だよ。
勿論メリアもね」
「あのね二人共………」
私は火蓮さんが言っていたこと話した。
「敵が居るの!?」
「うん、メリアやヨウコは敵じゃないよね?」
「当たり前でしょ?私はミナミを守らないと妹死んじゃうじゃん」
「私も、災厄の仲間だったですけどミナミちゃんに言われて改心したんです。
私も敵ではありません」
「……まぁ、そうだとしたら残りはあの人達だよね」
「敵じゃないとは言い切れない、私も貴方達もね」
「分かってます、火蓮さん。
偽りの仮面をつけた人は絶対に許さない、必ず見つけて問いただしてやるもん!」
「……さてとどうする?地下があるとしても誘い込まれていたら、奴らの思う壺だ。
どうする?」
「一度だけ、攻撃を無効出来る魔法がある……それをかけて誘い込まれる」
「そんな魔法があるんですね」
「それを知っているのは天雨よ、天雨を探しましょ」
コツコツ。
「悪いがここは通さねぇ」
!?
突然現れたのは黒髪ショートヘアルビー色の瞳、赤いメッシュの入った男だ。
「闇の使者?」
「いかにも俺は、闇の使者の一人……アレス・バルド。
災厄の元へは行かせん」
「簡単には通してくれないですかね?」
カルマが言う。
「裏切り者は始末する」
ガキン!!
突然の奇襲、しかしそれをミナミが止める。
「ガキが、この俺の攻撃を見切っていたか」
「まぁね、貴方の攻撃なんて私からしたらちょちょいよ」
「くくく……良いだろう、お前と一対一で勝負してやろう。
他の者は行きたければ行くがいい」
「気前いいんだな、アレス」
「お前は災厄様直々に始末されるんだな、俺が手を出すほどでもない」
「私はここに残る、いいよねメリア」
「火蓮さん、カルマと共に行ってください」
「分かったわ、行くわよカルマ」
「ああ」
2人は奥へと進んで行った。
「さてと、お前を始末したら奴らを追いかけるとするか」
「そう簡単に私をやれると思っているの?」
「見た感じ、そこそこ出来るだけ。
先ほども偶然止められただけだろ?」
「そう、なら私がどれだけ強いか貴方で試してあげるわ!」
「ミナミ、気を付けて。
相手は多分強いよ」
「分かってる、2人の手をわずらわせる程じゃない」
「行くぞミナミ、この俺を倒してみせよ」
「やってやる!!」
ガキン!
ガキン!
ガキン!
素早い剣技、ヨウコとメリアは2人の対決に呆気にとられる。
(こんなに相手も強いなんて、ミナミ大丈夫だよね)
「やるな!この俺の剣技の速さについてこれる者が居るとは、だがしかし!」
「ぐっ!」
アレスの攻撃をくらう。
(速い!普通の状態じゃ追いつけない、なら!)
「はあ!」
私は闇の力を解放した。
「む?それがお前の全力か?」
「違うよ」
「その余裕、いつまで持っていられるかな?行くぞ!」
「はあ!」
ガキン!
ガキン!
ガキン!
(コヤツ、俺のスピードに追いついてきたか)
(これならまだやれる!私は諦めない)
ガキン!
ガキン!
ガキン!
剣がぶつかりあう音、それは激しく、見ている者も息を飲む程。
「くっ!」
「ミナミ!」
「スタミナ切れか!終わりだ!!!」
アレスがトドメを刺そうと剣を振りおそろうとする。
ガキン!
それをミナミは防いだ。
「まだ…やられてない、スタミナ切れじゃない」
「ミナミ!私も一緒に!」
「ヨウコ!これは私とコイツの戦いなの、手出しは無用だから」
「でも!」
「クククッ敵ながらあっぱれだな!その覚悟、しかと見た。
さぁ、どちらかが倒れるまでやるぞ!!!」
「負けない!私は!」
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