第4話 悲しき過去の男
ミナミ達は神殿にたどり着き、中に入るとボロボロになって居た。
「争っていた跡があるね」
「奥かな?」
「ミナミ様、ヨウコ様……何者かが居ます」
?
すると柱の後ろから出てくるものが
「待ってたぜ、闇と光の子とそのメイド」
それは赤髪ショートヘアの男だ。
「貴方は誰?」
「俺は闇の使者の一人、カルマ」
「待ってたってどういう事かしら?」
「勿論、お前達の始末だ。
あの方……まぁお前らも知っているが災厄様が復活した。
災厄様はこの地を我が物にする為に、邪魔をしてくるものを始末しろと俺達に命令した。
そして、邪魔になる存在は7ブレイカー、巫女、そしてお前達……まぁ一部冒険者も含まれているがな」
「災厄、それが今回の異変の首謀者の名前ね。
名前通りに災厄を起こして面倒になりそう」
「お喋りはここまでだ、さぁ誰が俺の相手をするんだ?
3人まとめてかかってきてもいいぜ」
「どうするミナミ?」
「ここは私が行かせてもらいます、ミナミ様ヨウコ様のご迷惑をおかけしたので」
「いや、別にそれは」
「何だ?メイドが相手か?お前、確かこっちの者だよな?名は?」
「私はメリア、お二人の側近かしら?まぁ貴方程度では私の相手など務まりませんけど」
「言ってくれるじゃねぇか!!!はああ!!!」
ガキン!!
(急な攻撃、それに)
「はぁ!はぁ!はぁ!」
(速さも中々、私に追いつきそう……ふふっまぁでもこの程度なら!)
ガキン!!
!?
メリアの剣技によってカルマの持っていた剣が吹き飛ぶ。
(コイツ!一撃で俺の剣を!?)
「ここまでよ」
「あ?何か勘違いしているが今のは準備運動だ。
ここからが本番だ」
!
(空気が変わった!?)
!
(な!?いつの間に私の間合いに!?)
「はああ!!!」
「きゃあああ!!!」
カルマの衝撃波がメリアを直撃、思いっきり吹き飛んだ。
「メリア!」
「ガキ2人、来いよ」
「はああ!!!」
私は剣を抜き斬りかかる。
ガキン
ガキン。
(狙いが定まらない、でも!)
「ライトボール!」
ヨウコはタイミングを見計らって、魔法を飛ばす。
ドカーン!!!
「ミナミ、大丈夫?」
「うん、それよりもメリアをどうにか回復させたいけど」
「待てや、ガキ共」
煙の奥からカルマが姿を現す。
「まぁそう簡単には倒せないよね〜」
「その魔法を使ったガキ、流石だな……俺に直撃させたのは」
「は、はぁ」
「だが無意味だ、俺にはその程度の魔法など効きもしない。
ましてや災厄様にはな」
「何が言いたいのあんた、さっきから手を抜いてる?
言動も変だし」
「……お前らは今、幸せか?」
「え?幸せ?……今の状況で幸せとか思ったことないわ」
私はそう答えた。
「俺には大切な妹が居た……向こう側…お前らの言う闇の世界で俺もお前達のように普通に生活していた。
だがある日、王が代わり今の災厄様が王となった。
そして全てが変わった……災厄様は争いを好み、人の死を笑い、そしてこの世界を支配すると言った」
「そんな王なら民は黙ってないでしょ?それに巫女だって居るはずでしょ、そっちの世界にも」
「王に歯向かったものは一人残らず、残忍な殺され方をした。
女、子供、例え王の次ぐ子だとしてもな」
「酷い」
「そして俺の妹は王のメイドだった、だが小さなやらかしで俺の妹は殺された、俺は城に向かい、王に言った。
だがヤツは妹を小さな虫が死んだ程度と言った、そして俺は何かが壊れた……俺は王に斬りかかり、抗った。
だが俺は冒険者でもない、すぐにやられたが俺は最後まで諦めなかった。
そしたら王……災厄様は、向こう側の世界を支配した暁にはお前の妹を生き返らせてやろうとな。
お前の強さを見込んでだと言っていた……だから」
「そんなの嘘よ!生き返るわけない!」
「嘘だとしても俺は妹が居ない世界はもう嫌なんだ!
だから、俺は災厄様の部下となりそして抗う……全ては妹の為!」
「今の貴方を見て妹は喜ぶとでも思ってるの!!!
私だったら、最低な兄って思うわよ!!!」
私は声を荒げる。
「うるさい!!!俺の妹の為、死んでくれよ!!!貴様ら!!!!」
ガキン!!、
「死ぬわけにはいかない!!!はああ!!!」
ザクッ!
「……がはぁ……」
ミナミの剣がカルマの腹を貫いた。
ドサッ。
「ミナミ大丈夫?」
「うん、ヨウコはメリアを見てきて。
この男は私がトドメを刺すから」
「分かった」
ヨウコはメリアの所に向かった。
「はぁ……はぁ……はぁ……死ぬ……のか、俺は…」
「そうだよ」
「クソ……俺がもっと強ければ、お前に勝てたのかもな」
「それは分からない、でも私は平和の世界の為に災厄を倒す」
「くっ……はぁ、はぁ……トドメをさせよ。
この世からおさらばして妹に会いに行く」
「……それがあんたの言葉なのね」
私は剣を構え
ザシュ。
(……)
(俺は死んだのだろうか……妹に会いたいと思い、そして災厄の部下となった。
正しいとは俺は思っていない、この行動も全て。
きっと妹は怒るだろう、間違った選択をしたから……だが……俺は妹に会いたい……この思いだけは消えない……)
「ヒール」
!?
カルマの傷が癒えた。
「な、なぜ!」
私は回復魔法を唱えた。
「許さない」
「は?」
「私は、命を粗末にする者は許さない。
抗わずに抵抗もせず、言う通りのままの貴方が特に許せない」
「……敵だぞ俺は」
「私も皆に虐められていた時期があった、私は抗わずにやられていた。
歯向かえばきっともっと酷いことがあるって思って歯向かわなかった……」
「……それで?」
「でも、私の事を気にかけてくれている人が居た。
私を助けてくれる人がいたから、私はここまでこれた。
ヨウコもあっち側だけど私は許した、だから貴方も……災厄が考えていることが本当に正しいと思っているの?
貴方の妹はそれを望んでいるの?」
!
数ヶ月前
闇の世界、街の近くの村。
「〇〇!何していたんだ?」
「あ、お兄ちゃん。
夕日を見ていたんだよ、綺麗だね」
「ああそうだな」
「王様が変わったんだよ、あのね……私、怖いの」
「怖い?王がか?」
「うん、何か良からぬ事が起きそうな気がして……私ね、この静かに争いもなく楽しく暮らせることがとても楽しいの。
だから、争いは起きてほしくない……」
「……争いは起きないさ、もしも〇〇が危険だった時は俺がそいつをぶっ飛ばしてやる」
「ふふっお兄ちゃんは優しいね」
「当たり前だろ……俺はお前の兄だからな。
妹を守るのも俺の生き方だからな」
「変なの〜」
!
………。
…………。
「妹は争いを嫌っていたと言っていた、平和の世界を望んでいた。
いつも通り毎日を求めていた……」
「今の貴方を見たら妹はこう思うでしょう、私が兄にこんな事を言わなければって……」
!
「……俺は妹が居ない世界はもういらないと思った。
もしも妹が生き返るのなら俺はどんな手でもやろうとしていた……だがこれは間違いなんだな……」
「ええ、貴方の強い想いは他人の私達には分からない。
けど、想いを聞いて寄り添う事は出来る、変える事は出来るから……だから、命を粗末にしないで欲しい」
「……お前、ガキなのに言ってることが大人っぽいぜ。
まぁ嫌いじゃねぇがな」
「ふふっ、初めて言われた」
「……なぁ、俺もお前達と同行していいか?メイドをやってしまったのは俺だから、多分動けそうにないし」
「ミナミ」
ヨウコがメリアを連れてきた。
メリアはふらふらした状態だった。
「この人はもう襲ってこないから大丈夫、それよりもメリアはここで休んでいてよ。
ヨウコ……お願いできる?」
「その人、本当に大丈夫なの?敵だよ?」
「大丈夫、話はつけたし…それに彼にもつらい過去があったから……」
「分かった、私はこの神殿の所でメリアを回復させておくね。
メリアの回復が終わったら私とメリアもミナミ達に追いかけるから」
「分かった、それでお願い」
「ミナミ……様……どうかご武運を……ヤツはヤバいです……」
「メリアも知っているんだよね、災厄が」
「ええ、くっ……気を付けてよ……ミナミ様……そしてあんたも」
「分かってる、あんたの仇も討ってやるさ」
「ふっ……」
メリアはゆっくりと壁にもたれかかる。
「メリアは大丈夫だから、2人は行って」
「行こう……カルマ」
「ああ、仇討ちだ」
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