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遅刻魔が異世界に来たのでスピードに全振りします  作者: 春ダッシュ
第一章 《スピードに全振りします》
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第一章7話 『無能2名ただ今見参!』

「お前あんだけ大口叩いておいて皿洗いもできねぇのか!」


「しっしかたがないでしょう!やったこと無いんですもの!」


いやいや、皿洗いやったこと無いってどんな家庭よ。てか普通母上にやらされるようなことだぞ皿洗いは。


「まぁまぁ、カリンにできることはほかにありますよ!きっと……」


「何言ってんだよエレナー、こいつは掃除も注文を聞くことだってできなかっただろ?」


カリンにはすでに掃除や注文を聞く仕事をやらせてみた。だが、何一つまともにできない。


さっきなんて、早く欲しいものを言いなさい!とかお客さんに言ってブチギレられたんだぞ。


「わ、私はこんな雑用みたいなことしたことないもの!全部お手伝いさんがやってくれてたんだから!」


こいつまさか、貴族の娘とかでは

だったらなぜこんなところに仕事を?


「さてはお前、無能すぎて両親に縁切られたんじゃねぇか」


「ちっがうわよ!お父様に社会勉強として働いて来いって言われたから来たの!」


「そういえば、カリンの苗字はオリオールでしたっけ?それって……」


なになに、やっぱり有名な家柄だったの?この子貴族とかだったら俺死刑じゃん。

そんなの先に行っておけよ……


「そう、この国一の商会、オリオール商会を設立したポール・オリオールの娘なのよ」


「あのポール・オリオールの、娘さん!」


「んーー、まぁ仕事が出来ないのは仕方がないか」


「分かったならひれ伏しなさい!お金の力で国さえも動かしてしまえるんだから!」


「誰がひれ伏すかぁ!そもそもお前が稼いだお金じゃねぇだろ!」


胸を張ってドヤっているカリンに怯まず突っ込む。


「ははぁぁ!」


「なんでエレナはひれ伏してんの?」


この天然っ子は右膝を地面につけてひれ伏している。天然過ぎてマジ可愛い。


「お前なぁ、いくらすごい家の娘でも仕事ができなきゃ」


「はじめましてっ」


三人で話していると、入り口の方から大きな声が聞こえた。


「私はアリシア・ポルタ―ト、不束者だがよろしく頼む!」


白髪ロングの美女、礼儀もよくて清楚。


エレナという存在がいながら惚れてしまいそうだ。


「えっとー、もしかして新人さん?」


「そうです、今日は二人の新人さんが来る予定でしたので」


新人二人って、今日忙しすぎだろ。


ま、カリンと違ってこの人は礼儀もよくていかにも仕事できそうだもんな。


それに、大人っぽい見た目やらなんやらで、もうウェルカムよ


「一つ言っておきたいんだが……」


「なんですかー?このススムがなんでも聞きますよー」


「私はその……とても不器用で、家事全般が出来ないんだが……」


「ぅぅうお前もかぁぁぁ!」


本日仕事が全くできない新人が2人来ました。

おしまい。


俺の仕事が増えるだけじゃねえか。


「おー来たか―、俺は店長のマルコ、よろしくな!」


「っておいマルコさん!なんでこんなのばっか入れたんだよ!」


「かわいいからオッケーだろ」


あ、こいつ頭湧いてやんの、何がかわいいからオッケーだよ。


「そこにいるツインテールより礼儀がいいし、発達もいいし、カリンと交換でいいだろ」


「何よそれ!ていうか発達っていうのはどういうことなのかしら!」


プンスカ怒る少女、白髪の美女、両者ともに無能、ここに見参っと……


「アリシアだっけ?俺は涼風進、こっちはエレナとカリンだ、奥で働いているのがルミナさん、怒らせたら命が無いと思った方がいいぞ」


「そんな物騒な人ではありませんよ、姉さまは」


そんな物騒な人です、僕だけに当たり強い気がするので誰にも分ってもらえない。


「私はカリン・オリオール、父はあのオリオール商会創設者!ひれ伏すがいいわ!」


「まだ言ってんのそれ」


「ぶった切ればいいのか?」


え、今なんと?最初から気になっていたが、このアリシアは剣を帯刀している。その剣の柄を握りながらなにやら怖いことを言っている。


「あの~アリシアさん?何で今にも一刀両断しそうな構えを?」


「私は剣士だ!切れと言われれば切るしかあるまい!」


「誰も切れとか言ってねぇだろ!」


わかった、こいつは脳筋過ぎて何でも剣で切るという発想に変換してしまう。

つまりは命の危険度がさらに高くなったわけだ。


「す、すまない、最近何も切っていないもので……」


「アハハ……いいのよいいのよ、仲良くしましょ……」


凄まじい苦笑いをするカリン。


「か、かっこいいぃ!」


「またエレナはなんでこのヤバイ奴に、そんなキラキラした目を向けれるのやら」


「私は何をしたらいいのだ?早く仕事がこなせるようになりたいのだが」


「その前に一つ、その刀はこの店の中では抜くなよ?いいな」


しょんぼりした顔で小さく頷く。

これでとりあえずは一安心、だが仕事が全くできない新人二人の指導なんて骨が折れる。


そうだ!


「今から新人二人には店の前で呼び込みをしてもらう!」


そう、皿洗いや注文を聞くことが出来なくても、店の前で呼び込みくらいはできる。

しかも二人は可愛い。見た目だけなら日本でもトップクラスだ。


そんでもって俺はエレナと二人でゆっくり仕事ができるってもんよ。


我ながらナイスアイディーア。


「それじゃよろしくー!」


「それなら私にもできそうだ、早速行ってくる」


アリシアは店から出ていく。


「はぁー仕方ないわ、呼び込んでくればいいのでしょう」


カリンもだるそうにしながらアリシアについていく。


「いよぉーし、俺たちも仕事を始めようか」


「あの二人大丈夫でしょうか……」


心配そうに外を見つめるエレナ。


「大丈夫大丈夫!なんかあったら俺が責任取るから!」


責任取るとか、ちょっと格好つけたことを言ってしまった。


「分かりました!ススム君がそういうなら!」


そうして二人は仕事に戻っていく。


ほったらかしにしてはいけない二人をほったらかして……


ここまで読んでいただきありがとうございました!

もし面白いと思っていただけたなら、ブックマークをしていただけると励みになります!


この作品が好評であれば、最後の最後までしっかり連載していくつもりですので、これからもよろしくお願いします!

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